動画社内報の著作権や守るべき法律・ルール
最近は社内報で動画を用いることが増えてきています。そうしたなかで、たくさんのお客さまから、動画に関する著作権や肖像権、その他の法的な疑問について相談をいただくことが増えてまいりました。
そこで今回の記事では、動画での著作権をはじめ、予め知っておくべき法律のことについてお伝えしてまいります。
記事監修:弁護士 南 陽輔
社内報の動画の著作権や肖像権について
社内報の動画は主に、
①社内報のご担当者がご自身で撮影して編集した動画
②ご担当者が依頼した制作会社が撮影して編集した動画
③従業員の方が撮影した動画をご担当者が編集した動画
④従業員の方が撮影した動画を制作会社が編集した動画
⑤従業員の方が撮影して編集した動画
に分かれます。
まず、著作権についてですが、著作権は本来、創作した個人に帰属します。
ただし例外もあり、その一つが会社の業務として制作したものについては、その著作物は職務著作や法人著作と言い、この場合の著作権は会社に属することになります。
つまり、①の場合の著作権は会社にあることになります。
②については、基本的には制作会社に著作権が帰属しますので、契約において、著作権の譲渡や著作者人格権の不行使等を定めておいた方が良いです。
問題が複雑になるのは③~⑤です。まず、③~⑤について、従業員の方に撮影を業務として依頼した場合は①と同様、著作権は会社にあります。
他方で、従業員の方が撮影した元の動画の著作権については当該従業員の方に属することになります。従業員が趣味で撮影したり編集したりした動画を投稿していただく場合、その動画の著作権は従業員にあります。
ただし、編集後の動画に別途の著作権が生じるのかという点にも注意が必要になります。編集の内容(元動画を切り取っただけのものか、編集者による創作が加えられているのかなど)によって創作性が認められれば、編集動画の制作者にも著作権が帰属するというのが原則です。したがって、③~⑤について、従業員の方に編集を業務として依頼した場合は①と同様、著作権は会社にあります。
④は編集を従業員ではない制作会社が行っているので、編集された動画に創作性があり著作権が生じる場合には、契約書等で何も定めていなければ制作会社に帰属することになります。したがって、契約書で編集後の動画の著作権は会社に属する、あるいは制作会社から会社に譲渡することを明記しておいたほうが良いでしょう。いずれも素材として用いている動画の著作権は従業員にあります。
こうした点を踏まえ、動画を従業員から受け取って編集したり、あるいはそのままWeb版の社内報などに掲載する場合は、予めその動画を使用する目的や範囲、期間等について、動画を提供していただく従業員に意思確認し、できれば書面を取り交わしておいたほうが良いでしょう。
この点については肖像権も同様です。
肖像権とは、自分の顔や姿態をみだりに「撮影」や「公表」などをされない権利のことですが、肖像権は著作権とは異なり、業務中に撮影した動画でもその権利は従業員にあります。
つまり肖像権についても、動画を使用する目的や範囲、期間等について、出演していただいたり、ご本人が映っている動画を提供していただき、それを社内報として使用する場合は、予め従業員との間で、使用許諾について取り交わしておいたほうが良いと言えます。
使用許諾の範囲について、特に注意しておくべき点としては、動画の著作権を持っている従業員や、動画に出演している従業員が退職されるとき。
退職後の使用についての許諾を得ていない場合、著作権や肖像権を有している従業員から、公開している動画の削除を要請されると、削除せざるを得なくなってしまうケースもあります。
こうしたことを踏まえて、撮影する動画の利用については予め、途中退職される可能性も視野に入れた内容で、その従業員の意向を確認しておくことが望ましいと言えます。
⑤での動画社内報の作り方が一般化しつつあります。プロの手を借りず動画社内報を作成するポイントや方法についてはこちらへ
動画社内報で注意すべき法律やルール
動画のみならず写真の撮影においても同様なのですが、社内報の撮影でついつい見過ごしがちな法律やルールがありますので、ここからはその点についてお伝えしてまいります。
社内報の撮影は動画も写真も、社内の敷地内で撮影することが多いと思います。
この場合は社内規定に沿って行えば問題ないのですが、会社の敷地外で撮影を行う場合は注意が必要です。
例えば、社屋の外観を撮影する場合です。
外観を撮影する場合は通常、社屋に面している道路など、会社の敷地外から撮影します。
この場合は、もし撮影時間が長時間に及び、一般の方の通行の妨げとなってしまう事態が想定されるのであれば、予めその道路を管轄している警察署に撮影許可(道路使用許可)を申請しておく必要があります。
このように、公共の場で撮影を行う場合、撮影する対象(人やモノなど)が会社の敷地内にあるとしても、撮影者が公共の場から撮影する場合は、公共の場の利用の妨げになる場合には、予めその場を管理している先に申請を出して許可を得ておく必要があります。
ただ、申請する先は意外と複雑で、道路の場合はその地域を管轄している警察署なのですが、例えば公園であれば公園の管理事務所*、または自治体の役所。河川敷の場合はさらに複雑で、管理事務所がある場合は管理事務所、管理事務所がない場合はその河川敷のある自治体、または国土交通省の各地方整備局の各管轄管理事務所となります。
また、撮影可能な範囲についても、場所ごとに規定されているなど、事前に調べておくべきことは多々あります。
このように、会社の敷地外での撮影にあたっては、事前に十分な時間をとって調べたり、あるいは申請して許可を得ておく必要が生じることを踏まえて、入念に計画した上で、撮影する際にはそのルールを守ることはもちろん、通行の妨げにならないように注意したり、あるいは通行している方など、撮影する対象以外の方の肖像権を侵害しないように注意しながら撮影することが求められます。
ここまでは会社の敷地外での撮影で、申請や許可が必要な場所などについてお伝えしてまいりましたが、公共の場と思える場所でありながらも撮影することができない場所があります。
それは神社やお寺の境内です。
もちろん、なかには申請して許可を得れば撮影することが可能な神社やお寺もありますが、基本的には撮影できないと考えた上で、撮影したい神社やお寺に問い合わせてみることをおすすめします。
ではなぜ神社やお寺の境内で撮影できないのかについてですが、それは、神社やお寺の境内は聖域だからです。法律的に見れば、境内は、当該神社・お寺(宗教法人など)の所有物であり、境内で撮影してよいかどうか判断する権利は当該神社・お寺にあると言えます。
もちろん、観光客などで混雑することも多く、長時間にわたる撮影はそういった方々の邪魔になったり、あるいは危険だからといったことや、あるいは時期によっては撮影可能とされている場合もあったりなど、神社やお寺によって撮影に関するルールはさまざまですが、いずれの場合も神社やお寺は聖域であるがゆえに、基本的には撮影NGとされています。
もし撮影の許可をいただいた場合でも、神社やお寺では正面からの撮影はNGです。と言うのも神社の場合、正面は神様が通る道ですので、参拝する際にも人が通ることは控える場所ですし、お寺でも同様です。
ついつい荘厳な本殿を背景に真正面から撮影したくなりますが、それだけは撮影許可が下りた場合でも、計画段階から避けておきましょう。
この他にも動画や写真については、さまざまな法律やルールがありますが、詳しくは過去に掲載した「社内報制作で注意するべき著作権について」にてお伝えしていますので、そちらも併せてご覧ください。
*各公園への申請が必要となるのは、撮影目的が営利・非営利に関わらず、公園の一定の場所を一定の時間、排他的、独占的に使用するような場合
まとめ
動画は社内報のツールとして、非常に魅力的で可能性に溢れていますが、注意するべきこともたくさんあります。最近ではドローンを用いるケースも増えてきていますが、ドローンで動画を撮影する場合は、今回の記事でお伝えした内容のほかにも、さまざまな規制がありますので、さらに注意が必要となりますが、ドローンを用いた社内報の動画や写真の撮影については、別の機会に改めてお伝えしたいと思います。
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