社内報コラム

社内報の安全性を考える

社内報の安全性を考える

 

社内報のWeb化を検討していると、意外と早い段階でぶつかるのが「公開のしかた」の問題です。つまり、「誰が、どこから、どうやって見るのか?」ということ。中でもセキュリティに関しては、担当者や経営層からこんな声が上がることもあります。

「ベーシック認証のIDとパスワードを知っていれば、外部の人でも社内報が見られてしまうのでは?」

確かにその通りです。IDとパスワードを誰かが他人に教えてしまえば、それだけで閲覧できてしまいます。でも、これを理由にWeb社内報をあきらめるのは、少しもったいないかもしれません。

今回は、こうした不安の背景を整理しながら、「じゃあ、どんな公開方法が考えられるのか?」を、できるだけわかりやすくご紹介します。

セキュリティと利便性のバランスをどう考えるか

1.ベーシック認証:もっともシンプルな方法

最も手軽で導入しやすいのが「ベーシック認証」と呼ばれる方法です。特定のIDとパスワードを入力しないと、社内報のWebページを閲覧できない仕組みです。

この方法の良いところは、導入コストがほぼかからず、専門的な知識がなくても設定や運用ができる点です。一方で、退職者や第三者にパスワードが漏れてしまうと、閲覧されてしまうという弱点もあります。また、誰が見たかなどの履歴を取ることもできません。

この不安に対して、多くの企業では「運用」でカバーしています。例えば、パスワードを月に一度変える、変更後のIDとパスワードを全社員向けにメールで通知する、長期間使わないIDとパスワードは破棄するなど、定期的なメンテナンスによってリスクを最小限にとどめる工夫をしています。

「簡単に始めたい」「閲覧のハードルは低くしておきたい」といった場合には、ベーシック認証は非常に現実的な選択肢になります。

 2.社員ごとのIDで管理する:セキュリティ重視型

もう少し厳格な管理をしたい場合、「社員ごとにログインIDを振り、個別認証で閲覧させる」方法があります。これは、社員番号やメールアドレスを使ってログインする形式や、社内ポータルサイトと連携して閲覧させる形式などが該当します。

この方法では、誰が読んだか履歴を取ることができ、離職者など不要なアクセスを制限することが可能になります。一方で、システム導入に費用がかかり、IDの管理や更新が手間になるという側面もあります。

しかし、人事部門がすでに管理している社員データベースと連動すれば、運用の負担はある程度軽減できます。また、Google Workspaceなどを導入している場合は、Googleアカウントを使ってログインする仕組みにすることも可能です。セキュリティを優先しながらも、既存の仕組みを活かすことで、より現実的な運用ができるようになります。

3.社内ネットワーク(イントラネット)での限定公開

「外部から絶対に見られたくない」という要望が強い場合、IPアドレスで制限をかけたり、社内ネットワーク(イントラネット)限定で公開する方法もあります。この方法は、社外からのアクセスを技術的に遮断できるという点で、非常に高いセキュリティレベルを実現できます。

ただし、自宅や外出先からはアクセスできないため、VPN接続が必要になったり、スマホでの閲覧が不便になるという課題もあります。特に在宅勤務が普及している今の時代には、やや不向きと感じられるかもしれません。

4.社内ツールと連携して公開する

Teams、Slack、Googleサイトなど、社員が日常的に使っているツールの中で社内報を展開するという方法もあります。これにより、既存のアカウントをそのまま活用できるため、専用のシステムを新たに導入しなくてもすぐに始めることができます。

一方で、これらのツールを利用する場合、デザインやレイアウトの自由度が低くなることもあり、外部の制作会社と連携して凝ったビジュアルを作りたいといったニーズには応えづらい側面もあります。

「簡単に始めたい」「読まれることを優先したい」という目的には、非常に相性の良い方法です。

結局、何を選べばいい?

セキュリティ対策は「万全を目指す」ことも大事ですが、「誰に、どう読んでもらいたいか」という目的とのバランスをとることがもっと大事です。

気軽に読んでもらいたい場合は、ベーシック認証や社内ツールの活用が適しており、しっかりとした管理をしたい場合は、個別ID認証やイントラネットとの連携が向いています。

そのうえで、「どこまでやるか」を社内で共有しておくと、後々のトラブルも防ぎやすくなります。

 

迷ったら、比較表で整理してみよう

セキュリティと利便性を「点数化」して比較する表を作ってみると、検討がスムーズになります。

公開方法 セキュリティ 利便性 コスト 主な特徴
ベーシック認証 ★★☆☆☆ ★★★★☆ 導入が簡単・月1パス変更で安心感UP
個別ID認証 ★★★★☆ ★★☆☆☆ 管理が大変だが安心感は高い
イントラ限定 ★★★★★ ★☆☆☆☆ 社外から完全遮断・閲覧は不便
社内ツール連携 ★★★☆☆ ★★★★☆ GoogleやTeamsでの運用に適する

最後に

「公開の方法」に正解はありません。大切なのは、自社のスタイルや目的に合わせたやり方を選ぶことです。

Web社内報は「伝えるための手段」であって、目的ではありません。誰に、どう読まれたいか。それを軸に置きながら、無理のないセキュリティ運用を目指しましょう。

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