【エンタメの世界はインナーコミュニケーションのヒントであふれている】第3回 持続可能なローリング・ストーンズとは?
時代を超えて人々を魅了し続け、輝き続ける柔軟性と普遍性
少し前の話になりますが、ローリング・ストーンズの『HACKNEY DIAMONDS』が、日本時間2025年2月3日に発表された第67回(2025年)グラミー賞最優秀ロックアルバムに輝きました(批評家たちの意見は分かれていますが)。
1962年に結成されてから60年以上に及び活動を続け、一度も解散することなく長年のキャリアを誇るロックバンドは、おそらくローリング・ストーンズだけではないでしょうか。幾多の危機はありましたが、これだけ長きに亘り渡り活躍し続けていられる要因はどこにあるのでしょうか? もしかしたらSDGsのヒントが少しだけ見えてくるかもしれません。
ローリング・ストーンズというDNA
彼らのルーツにはブルース、ロックンロール、R&B(リズム&ブルース)への深い敬愛があります。初期のローリング・ストーンズの楽曲は、これらの曲のカバーが中心でしたが、やがてこれらの音楽を取り入れ、融合させ、独自の解釈と創造性によって“ローリング・ストーンズ”という文化へと昇華させ、独自のDNAとして進化し、受け継がれていきます。
そのDNAは、ブルース、ロックンロール、R&Bといった音楽をイギリス中に、そして世界中に広めました(実際に、マディ・ウォーターズはインタビューで「ローリング・ストーンズのおかげで、ブルースミュージシャンたちは日の目を見ることができた」というような話をしています)。そして、1960年代のブリティッシュ・インヴェイジョンを牽引し、後のロックミュージックに多大な影響を与えました。
このような経緯で成功したバンドはローリング・ストーンズだけではありませんが、自らのルーツを見失わずに発展させ続け、解散することなく継続し続けることにより、唯一無二のDNAを進化させ続けているのは彼らだけと言っても過言ではないでしょう。そこには彼らの生き様や、時代ごとに移り変わるカルチャーの影響なども複雑に絡み合っていますが、このDNAは持続的な成長を止めることを知らないかのようでもあります。
ローリング・ストーンズというエンゲージメント
ローリング・ストーンズを70年代中期以降のメンバーの中から、注目すべき二人をピックアップして見てみましょう。
ミック・ジャガーとキース・リチャーズというカリスマ性のある中心メンバーに、仕事人とも言えるチャーリー・ワッツ(故)とビル・ワイマンがリズム隊として土台を支えます。そしてそこにロン・ウッドという“人柄”が潤滑剤としてメンバー間を取り成すことにより、解散の危機や様々な確執を乗り越えて現在に至っています。
ここで注目したいのが、チャーリー・ワッツとロン・ウッドの二人です。
ドラマーのチャーリー・ワッツは「その独特のドラミングスタイルが独特のグルーヴを生み出している」と評されています。また、黙々とレコーディングをこなすその姿勢は、キース・リチャーズからは絶大な信頼を得てもいます。
ギタリストのロン・ウッドは、ギタープレイや曲作りの面での貢献度もかなりのものがありますが、バンド内の人間関係が悪化し危機に陥った際には、その明るく朗らかな人柄でメンバー間を取り持ったというエピソードも各所で見られます。
彼ら二人の存在が、ローリング・ストーンズを長年のキャリアを誇るロックバンドとしてのエンゲージメントを支えている要因の一つであることは間違いありません。
ローリング・ストーンズという普遍性
ミック・ジャガーは数年前、あるツアー直前のインタビューで「ライブでオーディエンスが聞きたいのは、俺たちの70年代の曲なんだよね」というようなことを言っていました。これは視点を変えると、ファンたちは何十年も前の名曲を現在のバンドパフォーマンスで楽しみたいのだと、ミック・ジャガーは理解しているということが言えます。
ツアーそのものの規模やステージセットは毎回凄いものがありますが、そのライブパフォーマンスには、圧倒的なエネルギーとルーツに対するリスペクトがあり、時代に合わせて音楽性を変化させながらも過去の名曲を現代に蘇らせています。そのライブで共有された記憶を追体験することで、ファンはローリング・ストーンズというDNAを再認識し続けているのです。
その記憶の追体験は、正に“ローリング・ストーンズという普遍性”を物語っています。
ローリング・ストーンズは時代の変化に敏感であり続け、新しい音楽を取り入れ、自らのDNAをアップデートし続けてきました。そのアップデートは彼らの音楽を常に新鮮なものにし、新たなファンを獲得し続ける力となっていますが、その新たなファンもやはりまた、過去の名曲を望んでもいるのです。それこそが、ローリング・ストーンズの普遍性の証でもあるのです。
ローリング・ストーンズというSDGs
ローリング・ストーンズはまた、チャリティイベントへの出演も多数行っています。社会貢献意識が強いという印象ではありませんが、自らが楽しめるイベントへ参加することにより、その楽しさをファンやローリング・ストーンズから影響を受けているアーティストたちと共有することによって、自然と社会貢献につながる、肩の力の抜けたナチュラルなSDGsを体現していると言うことができます。
また、彼らのルーツのほとんどが黒人音楽であり、それは現代における人種差別問題への、一つのテーゼにもなっています。もともとは人種差別問題を意識してのことではなかったのでしょうが、ミュージックカルチャーの融合により、自然と我々を人種差別問題へと導くものがあり、自然な流れであるがゆえの持続性をもたらしているとも言えます。
大げさに言ってしまえば、ローリング・ストーンズは音楽というエンターテイメントを通じて、SDGsの目標達成に貢献しているという視点も持てるのではないでしょうか。
彼らの活動は、私たちに持続可能な社会の実現に向けて、自分たちにできることを考え、行動することの大切さを教えてくれます。彼らの活動がいつまで続くかは誰にも分かりません。もしかしたら明日、突然解散するかもしれません。しかし、たとえそうなったとしても、彼らの功績は、永遠に語り継がれるのです。なぜなら、彼らはロックという名の、持続可能な文化創造に多大な足跡を残したのですから。
ローリング・ストーンズの核となる部分はゆるぎないものがあります。これは、変化への柔軟性と自らの普遍性を両立させるという、現代の企業が目指すべき理想的な姿とも重なってくる、と言ったら言いすぎでしょうか。

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