【はじめての社内報制作】 第12回 これだけは押さえておきたい社内報の法律のこと

はじめて社内報を担当することになった皆さんへ。
シリーズ はじめての社内報制作は、皆さんが楽しく自信を持って社内報制作に取り組めるようサポートすることを目的に、社内報制作の基本から、読まれる社内報にする秘訣までを、できる限りわかりやすく解説してまいります。

目次
自分で調べた情報だけで判断しないこと
<上司>次の社長コラム、このテーマパークで撮った写真を使ってほしいそうだよ。
<山田>わかりました!……って、あれ?
この写真、有名なキャラクターが写っているけど、使ってもいいのかな?
<博士>良いところに気づいたな!
まず、そのキャラクターは著作物に該当する可能性がある。
そのキャラクターと一緒に並んで写っている点も引っかかるな。
<山田>一緒に並んで写っている点というのは、どういう点が問題なんですか?
<博士>ただ写り込んでいるだけなら、問題は大きくないんじゃが、これは写り込みといった範疇も越えているため、この写真を無断で社内報に掲載するのは避けたほうがよいかもしれんと考えられるんじゃよ。
<山田>そういった細かな違いがあるんですね。
そもそもなんですけど、法律のことは詳しくないので、こういった写真が届くと、いつも困ってしまうんです。
<博士>受け取ったものを右から左へ受け渡すだけではなく、法律をしっかり意識している点は良いことじゃな。
<山田>ありがとうございます。
<博士>それじゃ今日は、社内報に関係する法律で、特に気をつけたいポイントを整理しておこうかのう。
<山田>ぜひお願いします!


ネットの素材、使っても大丈夫? −著作権について−
<博士>社内報に関する法律のことで、最もよく問題になるのが「著作権」じゃな。
<山田>さっきの写真の件もそうですね。
<博士>そうじゃ。
著作権とは何かという点じゃが、これは創作的に表現した「著作物」を、その著作者、つまり作り手が保護する権利のことなんじゃ。
そして、著作権は創作物に対して自動的に発生する権利で、社内報に関わる素材の多くが対象となるんじゃよ。
<山田>インターネットの画像・記事・キャラクターなどは、出所が不明なまま使用してはいけないということは聞いたことがあります。
<博士>その通りじゃ。
<山田>最近はネットにフリー素材などもたくさん出回っていますけど、それは使っても大丈夫ですか?
<博士>フリー素材も「商用利用不可」「クレジット表記必須」など条件付きのものが多いため、利用規約をしっかり確認することが大切じゃ。
<山田>そうなんですね?
それじゃ、社内の資料や他部署が作成したパワーポイントの資料などはどうですか?
<博士>社内資料や他部署作成のスライドも、使用時には作成者に確認を取るのが望ましい。
<山田>社内だから大丈夫と思っていたけど、確認は大事なんですね。

<博士>うむ。情報の出どころを意識することは、読者との信頼関係を守る第一歩じゃ。
「言い換えたらOK」は危険? −引用のルール−
<山田>あと、ネットの情報を使うとき、どこまでが「引用」になるのか悩むことがあります。
<博士>良い視点じゃな。
誰かの意見や主張、調査結果などを紹介する場合には、「誰の情報か」「どこから得たか」を明示するのが基本じゃ。
<山田>出典を明示するというやつですね?
ところで、出典元の文章をそのままの文章を使うのではなくって、言い換えなどをしてもダメなんですか?

<博士>表現を変えて使用すると、著作権を侵害したことになる可能性があるんじゃ。
<山田>そうなんですね。
社内報は外部の情報を引用することも少なくないので、もう少し詳しく知りたいです。
<博士>引用のルールは文化庁が「著作権テキスト」という教材を出しておる。
詳しくはそれに目を通すと良いが、そこにはこのように記されておる。
【条件】
1 すでに公表されている著作物であること
2 「公正な慣行」に合致すること(例えば、引用を行う「必然性」があることや、言語の著作物についてはカギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること)
3 報道、批評、研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること(例えば、引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であることや、引用される分量が必要最小限度の範囲内であること、本文が引用文より高い存在価値を持つこと)
4 「出所の明示」が必要(複製以外はその慣行があるとき)
※美術作品や写真、俳句のような短い文芸作品などの場合、その全部を引用して利用することも考えられます。
※自己の著作物に登場する必然性のない他人の著作物の利用や、美術の著作物を実質的に鑑賞するために利用する場合は引用には当たりません。
※翻訳も可
出典:文化庁「著作権テキスト」令和6年度版
<山田>引用の他にも、行政機関の資料に関するルールなども記されているんですね!
<博士>著作権などについて困ったときは、まずこれに目を通すと良い。
納品されたイラストを流用しても良い? −制作会社が作った素材の活用−
<山田>社内報として外部の制作会社に作ってもらったイラストって、社内で流用しても大丈夫ですか?
<博士>その判断には注意が必要じゃ。
著作権の扱いは契約によって異なる場合が多い。
<山田>どんなことに注意すれば良いんですか?
<博士>まず、「使用許諾」のみであれば、編集・再配布・別媒体での利用は、通常は制限されるんじゃ。
<山田>そうなんですね。
それだともちろん、キャラクターなどのイラストやデザインも、勝手に使ってはいけないということですよね?

<博士>そうじゃ。
レイアウトの流用や改変、イラストの二次利用は、契約で取り決めていなければ、著作権の侵害となる場合がある。
<山田>そうなんですね?
著作権はウチの会社に帰属するといった契約をしていても、流用してはいけないと考えておくべきですか?
<博士>そうじゃな。
例えば完成した納品物としては問題にならなくても、契約でデザインやイラストの二次利用といったことまで事前に取り決めているかどうかを確認する必要はある。
<山田>そういった取り決めを事前にしていれば、使っても良いということですか?
<博士>その場合も、制作会社に確認はした方が無難じゃな。
納品されたデータを再編集しても良い? −制作会社が作ったデータの活用−
<山田>あと、どんなことに気をつければ良いですか?
<博士>まだまだたくさんあるんじゃ。
例えば、他のツールで流用するために、制作したデザインのデータ制作会社に提供してもらうことなんかがあげられるかのう。
<山田>納品物の著作権がウチの会社に帰属するなら、そのデータを流用することは可能なんじゃないんですか?

<博士>いや、その契約はあくまでも納品物にのみが対象で、通常は制作データにまでは及んでいないことが多い。
<山田>それじゃ、データを勝手に使うことはできないということですね。
<博士>そうなんじゃ。
特に、制作データというのは納品物を作成するための「中間生成物」や「中間成果物」といって、納品物とは明確に区分けされておるんじゃよ。
<山田>そうなんですね。
てっきりそういったデータの著作権もウチの会社に帰属しているものと思っていました。
<博士>著作権は完成物だけではなく、そこに使われている写真やイラスト、文章、フォントなど、さまざまな著作物によって構成されておるんで、注意しておく必要がある。
動画で注意すべき点 −写り込み・環境音−
<山田>最近は動画を活用することも増えてきたんですけど、ここまでに教えていただいた点以外で、特に動画の場合に注意すべき点はありますか?
<博士>もちろんあるとも。
動画では、静止画以上に「背景」や「音」への配慮が求められる。

<山田>背景や音ですか?
<博士>さっきも言ったが、背景というのはいわゆる「写り込み」のことじゃよ。
有名キャラクターのポスター、美術作品、テレビ画面の写り込みも、著作権に問われる場合があるんじゃ。
<山田>そうなんですね。
では、音に注意するとはどういうことですか?
<博士>これも写り込みと同じで、例えば撮影現場で流れていたBGMが音声に入っていた場合、楽曲の著作権が問題になることもあるんじゃよ。
<山田>著作権って、撮影現場でたまたま収録されてしまった音にまで関係するんですか?
<博士>意図的ではなく、軽微で不当に害しない場合は問題ないとされておるようじゃが、配慮は必要なんじゃよ。
<山田>ものを作るという仕事は、内容や見せ方だけではなく、法律にもかなり気を使う必要があるんですね。
<博士>そうなんじゃよ。
「社内だから写っていい」はNG −肖像権のこと−
<山田>ここまでは著作権に関することでしたけど、他の法律で気を付けるものもあるんですか?
<博士>そうじゃな。
いろいろあるが、忘れてはいけないこととして肖像権がある。
<山田>あ、そういえば以前、社員の写真を使ったら、「映りたくなかった」と言われたことがあります。

<博士>まさに「肖像権」や「プライバシー権」に関係する話じゃな。
社内報であっても、社員の顔や名前を無断で掲載することは、トラブルの原因となりうるんじゃよ。
<山田>確かに、たとえ社内だけに配られる社内報でも、自分が写っている写真を勝手に使われるのって嫌ですよね。
<博士>そうじゃな。
基本的には写真や動画の撮影時に「社内報での掲載の可能性がある」と伝えたり、同意を得ておくことが大切じゃ。
<山田>Web社内報の記事に、退職者の顔写真が残っているんですけど、これは大丈夫ですか?
<博士>何も取り決めをしていない場合は、基本的には削除や差し替えの対応を検討した方が無難じゃ。
ただ、多くの会社では、「退職時の対応」について方針を定めて、合意を得ておくことで、その問題を予め回避するようにしているようじゃよ。
<山田>そういうやり方があるんですね。
<博士>そういった方法をとる場合も、上司や法務部門に確認をしてから進めるようにするんじゃぞ。
自分で調べた情報で判断せず上司や法務部門に確認すること
<山田>わかりました。
それにしても、法律に関して判断が難しいことが多いですね。
<博士>そうじゃな。
社内報や広報は、情報を扱う仕事なので、この他の法律も関係することがあるんじゃよ。
<山田>どんな法律が関係するんですか?
<博士>例えば、
著作権以外の知的財産権だと、商標や特許に関する法律が関係する。あと、個人の権利の保護といった観点では、肖像権の他に個人情報保護に関する法律、名誉や信用に関する法律などがある。
そのほか、景品表示法や業界によっては薬機法などが関連してくることもあるんじゃよ。
<山田>そんなにあるんですか?
<博士>そうじゃな。
それに最近では生成AIを使うことも多くなってきておるが、生成AIで生成した文章などには、既存の著作物の模倣や複製した情報が含まれている場合があるので注意が必要じゃ。
<山田>それだと気づかない場合がありそうですね。
<博士>もちろん、生成AIで生成された情報を使うことが、使用している生成AIツールの利用規約の禁止事項に該当していないかどうかも確認しておく必要がある。
<山田>確かにそうですね。
法律の全てを正しく把握したり、理解したりすることは難しいのですが、常に気をつけておく必要があるということはよくわかりました。
<博士>そうじゃな。
気をつけておくことで、気づけることは多いのは確かなので、そういった姿勢で社内報づくりに臨むことが大切じゃな。
もし気になることがあっても、自分で調べた情報だけで判断しないことも重要じゃ。
<山田>わかりました。
上司や法務部門に確認するようにします。

<博士>社内報ラボでは、法律の専門家の監修による記事も載せているので、それも参考にすると良いぞ!
◾️AI生成物に著作権は発生するのか?侵害ケース3選と対策方法を解説
◾️動画社内報の著作権や守るべき法律・ルール
◾️社内報制作で注意するべき著作権について
<山田>早速見てみます!
ありがとうございました!!
※本記事は、社内報制作に関わる一般的な法的留意点を整理したものであり、法律的な助言を行うものではありません。
具体的な事案への対応については、社内の法務部門または専門家にご相談ください。

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