企画づくりのための情報収集とは? 情報の集め方と深め方
社員の皆さまに有益な情報や必要な情報を伝えるために、経営や現場の動向など社内の情報を集め続けることは大切です。その一方で、読まれる社内報にするためには、外部のさまざまな情報にもしっかり触れておく必要があります。
そこで今回の記事では、読まれる社内報をつくるための、外部情報の収集と活用についてお伝えします。
外部情報で社内報のテーマや伝え方の切り口を考える
社内報づくりのために外部情報を収集する目的は主に2つあります。
- 会社の経営や事業を取り巻く環境や動向、背景を理解しておく
- 社内報のテーマや伝え方の切り口を考えるヒントにする
社内報は経営方針や課題、経営者の意向や考えなどを伝えたり、さまざまな事業や部門、部署の取り組みを全社に共有したりします。それらの情報を正確に伝えるために、社内報担当者は、会社の経営や事業、活動を取り巻く環境や動向、背景などを理解しておく必要があります。あるいは理解するための基本的な知識を備えておかなくてはなりません。
また、外部から得られる情報は、社内報をつくるときのテーマの設定や、伝え方の切り口を考える際にも有効です。
特に、テクノロジーが加速度的に進化し、人の価値観や行動様式の多様化が進むなど、世の中の変化や変容のスピードが速く、その内容も多岐にわたる今、企業の経営に大きな影響を与える問題や課題が次々と生まれてきます。
これらの問題や課題は、社内報の新しいテーマとして検討していく必要があることはもちろんですが、同時に、情報の伝え方の改善改良を図る上でも、常に気を配っておく必要があります。
外部情報の集め方
さまざまな情報があふれるなかで、社内報担当者が押さえておくべき外部情報は3つ。
① 社会や経済、法律など世の中の動向や問題に関する情報
② 経営のトレンドや課題、業界の動向など企業経営に関する情報
③ 人のライフスタイルや生活様式、価値観、流行や風潮などに関する情報
①の「社会や経済、法律など世の中の動向や問題に関する情報」は、主に新聞やニュース、ビジネス誌などでモニタリングし続けます。②の「経営のトレンドや課題、業界の動向など企業経営に関する情報」は、①同様に新聞やビジネス誌をモニタリングしながら、業界新聞や業界誌などを日々チェックしておきます。
これらの情報は通常、日々のクリッピングなどの広報業務や部署内の会議やコミュニケーションで得ることができていると思います。
一方で③の「人のライフスタイルや生活様式、価値観、流行や風潮などに関する情報」は、意図的に収集しないと得ることができません。
しかし、人のライフスタイルや生活様式、価値観、流行や風潮などに関する情報の幅は広く、何から手をつければ良いのかがわからないと思います。
そこで、①や②で集めた情報をヒントに③の情報を集めていく方法をお伝えします。
人のライフスタイルや生活様式、価値観、流行や風潮などに関する情報の集め方
例えば、最近は新聞やビジネス誌、テレビのニュースなどでも、「働き方改革」がテーマとしてよく取り上げられています。特に新型コロナウイルスの流行に伴って多くの会社で取り入れられた、在宅勤務やリモートワークは、人の価値観に大きな影響を与え、実際にリモートワークを標準的な働き方にするといった流れまで出てきました。
そうした状況を受けて、働き方に対する社員の意識は少なからず変化している可能性があると感じたり、働き方の意識が変わる可能性を起点に、新たに知っておくべき社会的なトレンドがあるのではないかと疑問を感じたりします。
そこで、まずはWebで「働き方 ニュース」で検索してみます。
主なテーマとして
- リモートワーク
- 副業
- 裁量労働制
- オフィス中心主義の終焉
- デジタルトランスフォーメーション
- 地方移住
- ゼロトラスト
などがヒットします。
このように、単純に検索しただけでも、社内報担当者として意識しておくべきキーワードがたくさん出てきますし、さらにそれぞれについて調べていくと、新たなテーマが出てきます。また、それらの情報を検索する過程で、社内報のテーマとして検討する対象が見つかるだけではなく、伝える切り口についても、たくさんのヒントが得られます。
社内報としてすでに取り上げる予定のテーマがあるときでも、企画を立てる前に外部情報にあたってみることが大切です。その理由は二つあり、一つは、関連するキーワードや、関係する問題や課題、人の意識など、そのテーマの本質や関連情報を知ること。もう一つは当初は考えてもみなかった情報やアイデアが得られる可能性があることです。
外部情報の活用で注意すべき3つのポイント
社内報づくりにおいて外部情報を収集し続ける目的は、「会社の経営や事業を取り巻く環境や動向、背景を理解しておく」ことと、「社内報のテーマや伝え方の切り口を考えるヒントにする」ことだとお伝えしました。
外部情報の収集は、社内報の企画の幅を広げたり深みを持たせたり、情報の正確性や興味深さを生み出すことが本来の意味となります。
ただ、外部情報について、そのまま使用したり転用したりするような活用は、以下の理由から極力避けることをおすすめします。
- 法的な問題
- 正確性の保証
- 編集の放棄
「法的な問題」
まず、法的な問題としては、著作権が関係します。一般的に得られる外部情報は、すべて誰かの著作物です。もちろん、公表された文書等に関する引用や転用、転載について、法的な規程や基準、解釈によって認められていると判断できるものもありますが、原則的には認められていないなど、弁護士などの専門家以外が安易に判断することができません。
なかには、クレジットを表記することで認められるものなどもありますが、その際にも著作者に問い合わせることをおすすめします。
「正確性の保証」
新聞や雑誌の情報は、通常新聞社や出版社が独自に取材や調査して記事にしている場合が多いのですが、Webサイトの情報は、二次加工・三次加工されていることも多く、その情報の正確性も担保されていません。
以前、健康に関する情報を大手企業がWebサイトを通じて発信していましたが、それらの情報が外部ライターが独自に調べて執筆した、医学的な裏付けのないものだとして批判される事件がありました。これと同じように、もし、不正確な情報を社内報に掲載して、全社員に向けて発信した場合、間違った理解を全社的に定着させてしまう危険性があります。
「編集の放棄」
社内報づくりにおいては、意外とこの観点が漏れている場合が多々見受けられますので注意が必要です。編集には情報をわかりやすく伝えたり、興味深く伝えるという役割だけではなく、間違った認識や理解につながらないようにするといった役割があります。
伝えようとするテーマについて、集めた情報をほとんど編集することなく引用や転載だけで掲載すると、その情報は読み手である社員一人ひとりの独自の解釈で受け取られたり、理解されたりしてしまう可能性があります。
つまり、意図を持った編集が行われていない記事は、情報の伝わり方に対して、一切の責任を持たないものとなってしまうのです。
外部情報の収集は、社内報づくりにおいて欠かせない取り組みですが、その反面、注意点を意識していなければ、せっかくの取り組みが逆効果につながる可能性があることを、しっかり理解していただければと思います。
情報を収集したら実際に記事を作成していきます。読み手を引き付ける社内報のルールについてはこちらへ
まとめ
魅力的な企画を立てる力を身につけるために、有益な情報をスピーディーに集めることは、アイデアを考えることよりも重要なスキルだと思います。
そのスキルを高めるためには、新しいキーワードや興味のあるテーマだけではなく、すでに理解していると思っていることについても調べ直すなど、日頃から外部の情報を得る取り組みをしておくほうが、安易なテクニックを追求するよりも明らかに効果的です。
理解しづらいテーマはもちろん、興味がないテーマに取り組む必要がある場合は、企画力を高めるチャンスだととらえて、ぜひたくさんの外部情報に触れてみてください。
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