読まれない社内報の原因を徹底追及・原因はまさかのキャプション?
もっと読まれる社内報にするために、興味をひく企画を考えたり、本文の文字数を減らしたり、デザインや写真、イラストなどビジュアルに凝ってみたり、さまざまな工夫をするものの、なかなか読んでもらえないといったお悩みをお持ちの社内報のご担当者さまに、すぐにでも取り組める「目から鱗」の発想をご紹介します。
読まれない社内報の3つのポイント
りえぞん企画では、より良い社内報づくりのためのご支援を行っています。数号分のバックナンバーをお借りして隅々まで拝見して課題を見つけ出すのですが、その社内報がよく読まれているか、あまり読まれていないかについては、実はほぼ瞬間的に判断しています。
瞬時に判断できる「読まれない社内報」のポイント3つ
- 見出しに魅力がない
- 写真が印象に残らない
- 写真のキャプションが短い
見出しや写真については色々と工夫したり、本やWebサイト、セミナーなどで勉強したりしている方は多いと思いますが、写真のキャプションについては、疎かになっていないでしょうか。あるいは「写真のキャプション」が読まれる社内報のための必須項目だということは、意外な盲点だったのではないでしょうか?
ただ、読者視点で考えると決して意外ではないことに気づかれるはず。目の前の社内報が今よりも読まれる可能性を高めるために、どなたでもすぐに取り組めることですので、ぜひ挑戦してみてください。
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社内報編集は「写真のキャプションから考える」という発想
社内報に掲載されている文字情報の中で、読者との距離感が最も近い文章がキャプションです。つまり原稿や誌面構成を考えるとき「写真のキャプションから考える」という発想は、読まれる社内報を作るために極めて有効な考え方なのです。
情報誌などを見るときのご自身の行動を想像、または実際に近くにある冊子を手に取って試してみてください。
どこから、どのように見ましたか?
私の場合、以下のような行動になりました。
- 表紙に記された大きな見出しや写真に惹きつけられる
- ページをぺらぺらと開く
- 表紙の見出しに関する情報が掲載されているページを探す
- その記事を見つけて見出しとリード文をなんとなく見る
- その記事のページをぺらぺらめくって全体を見る
- 気になる写真やイラスト、図などを目で追う
- 写真や図に付いているキャプションを読む
- その情報に魅力を持つことができれば本文の小見出しを見る
- 興味深い小見出しがついている本文を読む
- さらに興味が深まれば記事の最初から読む
と言った流れでした。これはあくまでも私の例ですが、情報誌を読む一連の流れのなかで、文字で伝えている具体的な内容として読者と最初につながるのは、記事の本文ではなく、写真のキャプションでした。
一方、社内報をはじめ、情報誌は通常どのように制作されているかというと、
- タイトルやリードを作成する
- 本文を作成する
- 写真を選んでキャプションを作成する
- 原稿や写真をもとにデザインする
といった流れではないでしょうか。
社内報のなかでもっとも早く読まれる可能性が高い文字情報、読者である社員の皆さまとの距離が近い「写真のキャプション」が、本文原稿よりも後回しになっています。
写真のキャプションから考えるコツ
これまで写真のキャプションは、見出しやリード、本文の原稿を考えて、そして掲載する写真を選んでから考えてこられたと思います。しかし、今回は「写真のキャプションから考える」という方法をとり、まず文章から考え、次にその文章を表す写真を選んだり、撮影する写真の内容を考える、という順番をご提案します。
こうすることで、読者にいち早く伝えたい情報を、読者ともっとも近い場である写真のキャプションで表現することができるのです。
そして、その情報は文字だけではなく写真とともに伝えられるので、極めて伝わりやすくなります。写真のキャプションから考えて原稿を作成すると、これまでは本文で伝えていた情報をキャプションに移すことができるため、読まれない社内報としてよく言われる「文字数が多い」といったお悩みを解消することも可能かもしれません。
原稿作成の前に「サムネイル」を描いて写真のキャプションを考える
それでは、写真のキャプションから考える方法についての流れをお伝えします。
- 予定しているページ数の枠を描く
- 掲載する内容をページごとに記す
- 文字で伝えたいことを写真キャプションとして記す
- そのキャプションが語れる写真を選ぶ(撮影前であれば写真のイメージを記す)
- イラストや図を入れる場合はその内容やイメージを記す
- 写真やイラスト、図では表現できない要点を本文原稿のポイントとして記す
- 見出しやリード文の表現の方向性や仮案を記す
これは、一般的な社内報の作成方法とはほぼ逆の流れとなります。
ここからは、写真のキャプションから考えて記事を作成する具体的な作業についてお伝えします。ポイントは、原稿の執筆に取り掛かる前に「サムネイル」を描くことです。サムネイルとは、紙に小さな誌面の枠を描いて、その中に見出しやリード文、本文、写真、イラスト、図など、誌面に配置する要素や、それらを配置する場所やサイズを記す、誌面づくりのための視覚的なメモ書きのことを指します。
サムネイルを描く意味は、企画で考えたねらいや読後感、ページ展開プランを踏まえて、掲載する文字原稿や写真、図などの内容や量、それぞれのサイズ、配置のしかたなどを、視覚的にシミュレーションすることにあります。写真のキャプションから考える社内報づくりでは、サムネイルでそれぞれのページに入れる内容を記すときに、同時に写真のキャプションの内容を考えながら、そこに掲載する写真を選んだり、撮影する写真のイメージを記します。
コツは、これまでは本文で記していたような内容を、一度すべてキャプションで表現してみようと試みることです。もし、サムネイルで誌面の構成を考えることが難しい場合は、それぞれのページの枠の中や横などに、そのページに配置したい写真などの要素と写真キャプションを、箇条書きで記しても問題ありません。
まとめ
社内報づくりは標準化された方法や情報が非常に少なく、どの会社の担当者さまもほとんど手探りの状態で取り組まれています。今回は、社員の皆さまと社内報の誌面の「関係性」に着目し、その関係性を強くする方法を読者の「行動」から発見してみましたが、社内報制作のより良い方法は、今回お伝えした方法に限らずまだまだ未開拓だと言えます。
そして、もっと良い方法や見落としている点などがまだまだたくさんあると思いますので、今後も引き続き、読まれる社内報づくりのお役に立つ情報をお届けしてまいります。ご期待ください!

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