Z世代とのコミュニケーション方法とは? その特徴や価値観から考える
数年前から話題になり始めた「Z世代」は、現在世界の全人口の約3分の1を占め、その購買力はアメリカ国内だけで年間440億ドルに達するなど、今後世界でもっとも影響力のある消費者グループになると見込まれています。
そこで今回はZ世代の特徴や、それまでの世代との違い、Z世代の力を引き出すためのコミュニケーションの方法などについて、受け入れる側の企業の視点から考察してみました。
Z世代とは? いままでの世代とどこが違う?
Z世代は主に1996年頃から2012年頃までに生まれた若者世代のこと。「ジェネレーションZ」「ポストミレニアル」とも呼ばれ、アメリカで生まれた言葉です。
元々は1964年〜80年生まれが「X世代」と呼ばれたのが発端で、その後1981年〜95年生まれが「Y世代(ミレニアル世代)」と呼ばれたことから、X、Yに続く流れでZ世代と名付けられました。
まずは各世代の特徴を簡単にまとめてみました。
X世代
1964〜80年生まれ 現在: 40〜56歳 |
日本の「バブル世代」「就職氷河期世代」と重なるため、モノ消費を活発に行なった世代と財布のひもが固い世代が混在。全体的にプライベートより仕事に軸足を置く傾向がある。 |
Y世代(ミレニアル世代)
1981〜95年生まれ 現在:25〜39歳 |
日本の「ゆとり世代」と一部重なり、早くからインターネットに親しんで育ったデジタルネイティブ世代。ワークライフバランスを重視し、モノよりもコト消費を好む傾向がある。 |
Z世代
1996〜2012年生まれ 現在:8〜24歳 |
幼少期からネットサービスに囲まれスマホやSNSの恩恵を享受しているソーシャルネイティブ世代。社会問題に関心が強く、人とのつながりやコミュニティを重視する傾向がある。 |
(※各世代の出生時期は文献によって多少前後します。)
Z世代の上を行く「デジタルネイティブ」であるα世代(アルファ世代)も近年話題になっています。α世代についてはこちらへ
Z世代の特徴とは?
次に、もう少し詳しくZ世代の特徴を見ていくことにしましょう。
1.SNSとデジタルデバイスが生活に占める比重が高い
物心がついた時からデジタルデバイスに親しみ、SNSを使いこなしているZ世代にとって、スマホやタブレットによる情報取集や買物、取引などはごく普通の行動として浸透しています。
2.ソーシャルネイティブで人とのつながりを重視する
ソーシャルメディアが生活の一部となっており、SNSのアカウントを使い分けながら複数のコミュニティに参加したり、Twitterなどで感動をリアルタイムで共有したりするなど、人とのつながりやコミュニティを重視する傾向があります。
3.ブランドより個性・自分らしさを重視する
有名高級ブランドよりも、個性や「自分らしさ」を表現できるものを選びたいとの意識を持っています。その分、他人の個性も尊重するマインドがあるため、どの世代よりも多様性を受け入れる傾向にあります。
4.社会問題に関心が強い
ネットで簡単に国内外の雑多な情報にアクセスでき、SNSを通して世の中の諸問題に関して意見を発信したり議論を交わしたりする機会も多いため、全般的に社会問題への関心が高い傾向があります。
5.体験型の消費に価値を感じている
消費者庁の平成29年版消費者白書によると、全世代のうち「スポーツ観戦、映画、コンサート鑑賞にお金をかけている」と答えた割合は15~19歳がもっとも多く34.6%でした。情報が容易に手に入るからこそ、体験型の「コト消費」に価値を感じるのかも知れません。
【参考】消費者庁 平成29年版消費者白書「若者の消費に対する意識」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2017/white_paper_132.html
6.ネットリテラシーが高い
サイバーセキュリティやプライバシー保護への意識が高く、ネット上の発言が消えないデジタルタトゥーなどネットの弊害もよく認識しているため、24時間で投稿が自動消滅するInstagramのStoriesなどが好まれる傾向にあります。
人間的な対話を職場に求める傾向にあるZ世代
世界17か国12,000人以上の若者(16~23歳)を対象にDellが行った調査(日本:718人)では、下記のような回答結果が得られました。
- 98%(日本:92%)が正規教育の一部としてテクノロジーを利用した経験あり
- 91%(日本:78%)が類似した条件の就職機会を選ぶ際は職場が提供するテクノロジーを重視
- 80%(日本:60%)が最先端テクノロジーを活用できる業務への就職を希望
- 80%(日本:60%)がテクノロジーと自動化がより公平な就職環境を生むと考えている
- 43%(日本:33%)が同僚とのコミュニケーションで直接的な対話を望んでいる
- 75%(日本:88%)が仕事はオンラインよりも直接学びたいと考え、ショートメッセージは19%、メッセージングアプリも17%と低い(日本も同じ数字)
- 通勤と在宅勤務の比較では53%(日本:41%)が通勤を望み、58%(日本:41%)が単独ではなくチームで働くことを希望
生まれながらにして電子デバイスに触れ、ソーシャルメディアとともに育ってきたZ世代は、職場でもテクノロジーの活用に積極的であることは確かですが、意外に人間的な対話を求めていることがわかります。
【参考】デル株式会社 Z世代のテクノロジーと就職に対するグローバルな意識調査結果
https://blog.dell.com/ja-jp/zgeneration_technology/
Z世代の力を引き出すコミュニケーションの方法とは?
では、上記調査結果なども手がかりにしつつ、Z世代とのコミュニケーションについて考えてみましょう。
1.相手の価値に寄り添いメンター的に接する
必要な研修やサポートをしっかりと対話で行いながらも、デジタルネイティブであるZ世代の意見を取り入れる姿勢を持ちましょう。そのためには共同作業で同じゴールを目指すメンター的な接し方が理想的です。
個別のコミュニケーションで「仕事の目的」「評価基準」などを細かく伝える一方、良かった点や改善点、次回への目標などを細かくフィードバックしてあげると、彼らも安心して力を発揮できるでしょう。
2.会社や上司に対する信頼感を持たせる
わからないことは即スマホで検索し、常に最新情報にアクセスできる環境で育ったZ世代は、疑わしい情報や信頼できない情報には敏感に反応し、自ら真偽を判断して行動します。
「会社の言うことは絶対」などという過去の価値観は通用しない傾向にあるため、会社や上司への信頼感を持たせることが重要となるでしょう。
3.プライベートに関する価値観を尊重する
自分と他人を明確に区別するZ世代にとって、プライベートを侵す過剰なコミュニケーションはもっとも受け入れられません。距離を縮めようと休日の過ごし方を質問したり、仕事の延長のように飲み会に誘ったりすると、場合によっては壁ができてしまうこともあるでしょう。
→合わせて読みたいおすすめ記事はこちら
まとめ
IT化が急激に進んでいくなかで、デジタルデバイスに慣れ親しんできたZ世代は、どの企業にとってもこれからの貴重な戦力となってくれるはず。
そんな彼らの力を最大限引き出すためには、「見て覚える」「表情から察する」といった昔ながらの阿吽(あうん)の呼吸型とは真逆の、きめ細かいコミュニケーションの構築が鍵となりそうです。
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