社内報コラム

【社内報のネタ】トップ対談の実践ポイントとは?

【社内報のネタ】トップ対談の実践ポイントとは?

経営方針や経営トップの考えを伝える有効な方法として、社長と外部有識者との対談企画があります。今回の記事では、社長と外部の専門家や有識者との対談について、その手法を取り入れる理由と、実践のポイントについてお伝えします。

経営方針が従業員に伝わりづらくなってきている背景

経営方針に関する社内コミュニケーションとは、その方針を従業員一人ひとりが正しく理解・納得・共感し「自分ごと化」すること、その方向に向かおうとする意欲を高めることと言えます。

方針の背景に対する従業員の知識や理解度の差が、「自分ごと化」に大きく影響することを踏まえて、社内報では正しい知識を提供したり、理解度を高める工夫を行ったりします。

ただ、最近の動向として、企業は経営方針を抜本的に見直すようになっており、そのため経営方針が伝わりづらくなってきています。

かつては、競合する会社に対していかに自社が支持を得るかについて、社内外の経営資源の調達や状砂活用方法、相乗効果を生み出す仕組みや考え方が示されていました。顧客や競合、仕入先、協力会社など事業領域に基づいて定められる経営方針は、領域規模やシェア、地位、目標を具体的な数値で示す場合が多く、従業員共通の理解や納得を得ることは比較的容易だったのです。

社内報ではそれらの情報を伝え、理解や納得の次の段階にあたる共感や自分ごと化、意欲的な行動を促すことに注力されてきました。

ところが最近は、ESG経営やSDGsなど企業への期待や要請の拡がりを受けて、「持続可能な社会を実現するために会社はどのように存在するのか」という方向に経営方針が大きくシフトしてきました。

なかには、会社の存在について、その意味や意義を再定義したり、経営や組織の在り方を、戦略レベルだけではなく、風土や文化も含めて、抜本的に刷新するなど、経営をトランスフォーメーションさせることを目指す会社も多数見られるようになりました

社会の期待や要請に基づく経営の抜本的な変化により、社内コミュニケーションや社内報の課題も、会社や社会との持続的な関係をいかに築き続けるかという根本にある問題意識を全従業員に浸透させることへと変わってきたのです。

経営方針の浸透に有識者対談が有効な理由

このような状況を受けて、社内報に取り入れられるようになった手法が社長と外部有識者との対談です。

経営方針に社会の期待や要請、社会課題などを反映するようになり、従業員が経営方針を「自分ごと化」することが難しくなっているとお伝えしました。そこで、経営方針の浸透に寄与するひとつの方法が、実際に社会の期待や要請を外部の声をとおして紹介し、その期待に対する社長の考えを伝えることができる有識者対談です。

トップの思いや意向を伝える方法についてはこちらへ

客観性と信頼性

策定した経営方針の背景にある社会の期待や課題について、事業環境や社会の動向に精通している第三者の有識者から述べてもらうことで、客観性と信頼感が担保されます。外部の客観的な視点を交えることで、方針の背景にある社会からの期待は自社のひとりよがりなものではないということが従業員にも伝わります。

対談による気づき

また、従業員に分かりやすくメッセージを伝えられる手法であることはもちろんですが、トップご自身が有識者との対談を通じて新しい気づきや学びを得ていただける機会にもつながります。

また、多様な質問テーマを通じてそれらの深い理解を促すと同時に、従業員にトップと同じ視座で社会や事業を見るきっかけを提供することもできます。

社内報への興味・関心

社内報は、その目的からどうしても従業員の登場がメインとなるメディアです。そこに、外部の有識者が登場することで、その企画自体への関心や注目度が高まり、社内報の閲覧度が高まる効果も期待できます。

対談企画を成功させるポイントとは

社長と外部の専門家や有識者との対談では、専門家や有識者の方にご本人の専門領域や視点で、社会の動向や期待、要請について語っていただき、社長はそれを受けて、ご自身の認識や理解をはじめ、ご自身がお持ちの問題意識や経営方針の内容や込められた意図、そして、従業員への期待を語っていただきます。

ポイント:有識者の立ち位置

気をつけるべきポイントは、専門家や有識者の方を、経営方針や社長の考え方を評価する立場にならないようにすることです。
主従関係にならないように、事前の準備をしたり、当日の進行を行ったりすることが極めて重要となります。

ポイント:企画の趣旨

人選した方に対してもトップに対しても、なぜその方でなければならないのかを具体的に説明する必要があります。うまく納得いただけないと、そもそも対談する意味がわからないと、発案が却下されることも。外部有識者の方に何を語っていただくのか、自社のトップには何を語っていただくのか、それぞれ具体的に考えなくてはなりません。

ポイント:人選と交渉

時間と労力をかけて、対談相手について調べたにもかかわらず、有識者に断られたり、膨大な謝礼が予算的に難しかったり、トップからNGが出たりする場合があります。そのため計画段階では複数の方を優先順位をつけて人選し、スケジュールをみながら複数の方に状況を確認しつつ、正式な依頼をする微妙な舵取りをすることが必要になっていきます。

ポイント:仮台本

事前準備や当日のスムーズな進行を可能にするポイントが、仮台本です。

仮台本とは、両者に話していただくテーマと、質問項目やその想定回答を記したものです。

外部対談の場合は、あらかじめ回答も含めて内容を共有しておくことが必要です。初対面で豊かに語り合っていただくためにも、掲載する内容を具体的に双方に伝えておくことが、対談を成功させるカギとなります。

意図を事前に伝えられていない場合。企画の趣旨から大きくズレた流れで話が盛り上がってしまい、記事にすることができない会話で、貴重な時間が進んでしまいかねません。

ポイント:仮台本のつくり方

仮台本は、対談前にすでに対談されたかのような視点で、社内報の担当者自身が質問に回答するという、非常に難しい作業が必要となります。

社長の回答は、日々の業務や経営層との関わり合いをもとにしたり、上司や社長室、秘書の方に相談したり、可能な場合は社長ご本人に相談したりすることで、おおよその内容を決めることができます。

 

外部の方のコメントについては、新聞や雑誌、Web検索などで過去の発言を入念に調べて考える必要があります。

こうして書き上げた仮台本を事前に両者に共有し、何がテーマなのか、どう回答すれば良いのかを示しておくことで、当日の司会進行にも落ち着いて取り組むことができます。また、対談そのものが望まない方向に向かうというリスクも非常に小さくなり、両者にとっても、その記事を読む読者にとっても、有意義な機会にすることができます。

まとめ

社長と外部の専門家や有識者との対談は、経営方針の浸透だけではなく、社内報自体にプレミアム感を持たせることができ、読まれる社内報にするためにも極めて有効な手段です

実現にあたっては、いくつものハードルはありますが、その先には、それまでには体験したことのないような結果はもちろん、難しいことにチャレンジして乗り越えたという個人的な充実感も非常に大きいものを感じることができると思います。

経営方針の浸透がますます難しくなる今、社長と外部の方との対談についてぜひチャレンジしてみてください。

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