社内報の年間計画の必要性と得られる効果
より良い社内報づくりに向けた取り組みとして重要なことのひとつに「年間計画」があります。
今回の記事では、年間計画を取り入れることによって得られる「効果」とその必要性についてお伝えします。
年間計画を立てることで得られる3つの効果
企画のマンネリ化を解消したり、変化し続ける事業環境や社内の状況に合わせたり、制作の業務に関する問題や課題を具体化したりするために、社内報は紙版もWeb版も、年に1度は全体的かつ俯瞰的な振り返りを行うことをおすすめします。
加えて、振り返ることで浮き彫りになった問題や課題、改善すべきポイントは、次の年にしっかり解決・改善するための方法を、年間計画を立てて検討することをおすすめします。
振り返りや年間計画は、まず「特集企画の軸やテーマ」、「編集様式やデザインの見せ方」、「制作の進め方」という企画・制作・進行の3つのポイントを基準にし、さらにその他の問題点も洗い出し、改善策をとりまとめます。
なかでも特集企画の軸やテーマについては、時間を割いて、しっかりと考える必要があります。
その理由は、社内報の内容をより良くするだけにとどまらず、企画の軸やテーマをあらかじめ計画として具体化することによって、残りの2つのポイントである制作と進行の問題を解決することにも大きく関係するからです。
企画の軸やテーマを決めることによって解決される、制作や進行に関する問題とは
- 制作進行の平準化と安定化
- コミュニケーションの効率化や円滑化
- 伝える情報のレベルの向上と幅の拡張
です。
社内報の作り方・制作までの流れについてはこちらへ
制作進行の平準化と安定化
社内報には経営方針や長期ビジョンを全社に周知するという役割や、経営理念の浸透、企業風土や文化の醸成などに加えて、社内コミュニケーションの活性化や従業員エンゲージメントやモチベーションの向上、タテヨコナナメのより良い関係性の構築など、さまざまな役割があります。
そうした役割を踏まえて、これまでの1年間を振り返り、この先の1年間をどのような方針で何を伝えるのかを考え、さらにそれを発行の回ごとに落とし込むことが、企画の軸とテーマを決める流れとなります。
このような工程を踏むことなく、号ごとに企画のテーマを考えるという進め方をしていると、制作進行期間は企画のテーマを決める期間となり、取材や原稿作成などの編集業務や、デザインや校正などの制作業務の期間、掲載のための人選やその調整、取材や原稿執筆などの多方面への依頼に関する期間も圧迫されます。
これまで前号が校了してからしか次号の企画について検討できていなかったとしたら、あらかじめ企画の軸やテーマが決まっていると、前号の校正業務がある程度安定してきた校了前のタイミングやすき間時間で詳細の内容を検討できたり、2号・3号先の企画に向けて対応できるようになります。
たとえば次々号にダイナミックな特集を行うので、その前の号は業務負荷の少ない内容にしておこうといった調整も図れるようになります。
もちろん社内報は経営の意向などやその都度の状況に応じて、当初の計画を変更する必要や突発的な問題に対応せざるを得ない場合も多いかと思いますが、あらかじめ年間計画など基準をつくって進めていると、臨機応変に対応したり計画を後送りして活用したりすることも可能となり、年間を通じた業務の安定化を図ることができます。
コミュニケーションの効率化や円滑化
社内報制作には、社内報担当者、自部署内の方々、編集委員の方々など社内報制作に関わる方に加えて、取材や原稿を依頼する対象となる経営層や従業員、あるいは外部の制作スタッフとさまざまな立場の方たちとの情報共有や意思疎通を図るためのコミュニケーションが必要です。
そのコミュニケーションの元となるものとして、まずは発行目的や編集方針があります。
ただ、発行目的や編集方針だけでは内容として何を作るのかまでは説明できません。
そこで、年間の企画の軸やテーマをあらかじめ決めて、それをコミュニケーションの基本情報とすることで、多方面の関係者とコミュニケーションを行う際にも時間を大幅に削減することが見込めます。
さらに、年間計画は、発行目的や編集方針よりも具体性が高い情報となるため、認識の齟齬を最小化したり、早い段階で関係者がそれぞれの立場や考えをもとに意見したり、それらを集約したり調整したりすることができます。そのため、実行段階のコミュニケーションが、年間計画を立てずに進める場合よりもはるかに滑らかになることが期待できます。
伝える情報のレベルの向上と幅の拡張
企業経営において社会とのより良い関係が求められるなど、著しく変わり続ける経営環境やその加速化が影響して、社内報で取り上げるべきテーマや内容の対象は、事業の拡大や多方面への展開という経営的な広がりのほか、以前と比べてはるかに増えてきています。
また、働き方の多様化がますます広がり、エリア間や職種間はもちろん、同じ部署で働いている人同士の関係も距離感が広がっている点を捉えると、そういった人たちの目や耳に代わって、現場に足を運んで情報を集めて伝える社内報の必要性は、これまでよりも高まってきています。
さらにはDXをはじめ、これまでにはなかったような概念や考え方が日々の仕事に次々と組み込まれていく現代において、社内報には、新しい概念や考え方を先取りして伝えたり、そういった状況でも従業員一人ひとりが高いモチベーションを持って新たなチャレンジができる風土を醸成することが、より一層強く求められつつあります。
このように、企画内容にこれまでよりもはるかに高いレベルや幅の広さが求められる状況で、企画をその都度考える進行では対応しきれなくなってきていると言えます。
しかし、年間企画の軸やテーマをあらかじめ決めておくと、号の枠を超えたスケジュールで運用することが可能となるため、号ごとの企画内容を深く掘り下げたり、事前の情報収集や知識を収得しておくことができたり、社内報で伝える情報のレベルを高めることにも役立ちます。
また、企画の内容によっては1号あたりの制作期間だけでは時間が足りないと考えられるようなものであっても、年間計画を立てて進めることで、その時間をあらかじめ想定することができます。その号の制作期間を待たずにスタートを切ることも可能なため、号ごとに進める方法よりも、内容の幅を格段に広く検討することができます。
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まとめ
年間計画は、これまでも毎年考えて進めてこられたご担当者さまはたくさんいらっしゃいますが、その重要性はこれまで以上に高まってきています。
特にあらかじめ考えておくこととして、年間の特集テーマはもちろん、今後はそのテーマを実施するための事前準備をいつから開始するのか、年間を通じていつ、何をしておくべきかという号の枠を超えた進め方まで、事前にしっかり検討して進めることをおすすめします。
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