社内報コラム

オンボーディングとは?具体的な施策や効果、 実施へのポイントを解説

オンボーディングとは?具体的な施策や効果、 実施へのポイントを解説

テレワークが普及するにつれ、社員同士が直に接する機会が減っている昨今。新人を組織になじませ早期戦力化を図る一連のプロセス=オンボーディングのあり方が、改めて問われ始めています。

そこで今回は、ニューノーマル時代を迎えますます重要度が増しているオンボーディングについて、具体的な施策、期待できる効果、実施するためのポイントなどを解説します。

オンボーディングが注目され始めた背景

オンボーディング(on-boarding)は新卒・中途を問わず、新しいメンバーを組織に定着させ戦力化するまでの一連の受け入れ支援を意味します。

船や飛行機に乗る「on-board」から派生した言葉で、もともとは「新しいクルーや乗客に必要なサポートを行い、慣れてもらうプロセス」を指しましたが、いつしか人事用語として広く用いられるようになりました。

オンボーディングが近年注目され始めた背景としては、少子化がますます進んでいく中で、新入社員の定着率向上が重要な経営課題になってきたことが挙げられます。

また一方で多くの企業が「通年採用」を取り入れ始めたことで、不定期に新人が組織に加わるケースが増加。その結果、従来型の「新人一括研修」というスタイルが難しくなり、きめ細かい個別の育成プログラムが必要になってきたことも影響しています。

さらにコロナ禍を機にリモートワークが定着し、人材の採用方法や教育研修の進め方も変革を余儀なくされている中、ニューノーマル時代に適した新人支援の方法論を多くの企業が模索していることも、オンボーディングへの注目度を高める要因になっていると思われます。

オンボーディングの目的と有効な施策

オンボーディングは新メンバーの定着と早期戦力化を目的としますが、本人だけに慣れてもらえばいいという“一方通行”の取り組みではありません。

受け入れる側も新メンバーの能力や個性を把握し、尊重することによって、お互いの理解を深め組織のパフォーマンスを向上させることが、オンボーディングの真の目標と言えるでしょう。

そのための有効な施策としては、例えば以下のような取り組みが挙げられます。

メンターによる支援制度

先輩社員(メンター)が新メンバーの日々の業務支援やメンタルケアを行うことで、個人の成長を支え、職場での悩みや問題解決のサポートを行う制度です。

成功へのカギは、直属の上司や部内の先輩ではなく、異なる部門の先輩がメンターとなって“斜め”から支援すること。人のつながりが部門外にも広がるため、社内への定着がよりスムーズになります。

1 on 1ミーティングの定期開催

1on1ミーティングとは、上司と新メンバーが定期的に行う短時間の面談のことです。

話すテーマは業務に関わる事柄だけでなく、今後のキャリア、心身の健康、プライベートな悩みなども含まれます。

あくまでも主役は新メンバーであり、上司は聞き役に徹するのが成功へのカギです。

全社共通の価値観や社内TIPSの共有

企業風土や共通の価値観・ビジョンをわかりやすく伝える資料、冊子(クレド)を用意しておけば、新メンバーが自社を深く知るのに役立ちます。

また、自社独自のルールや用語、手続きの進め方、各種ツールの使用方法など、社内のTIPSを整理し共有することで安心感を与えられます。社内ポータルサイトにそうした情報を掲載するのも一つの方法です。

その他にも歓迎会・同期会や会社全体の交流イベントの開催、経営陣との食事会、部活動など社内コミュニティへの招待などもオンボーディングの施策として有効です。

オンボーディングの効果

オンボーディングを実施することで、企業にはどのような効果が期待できるのでしょうか。

新メンバーの早期戦力化による組織力の向上

オンボーディングがもたらす最大のメリットは、新メンバーが短期間で職場になじんでくれるため、早期戦力化が実現して業績向上に寄与してくれることです。

そして新メンバーの早期活躍に既存の従業員が刺激を受け、組織全体のパフォーマンスも向上するという相乗効果も期待できます。

定着率向上による採用コストの削減

企業が人材採用に費やすコストは年々増加しています。リクルート社の調査(就職白書2020)によると、2019年に行われた新卒採用での1人当たり平均採用コストは93.6万円、中途採用の場合は103.3万円でした。

早期に離職されるとこうした費用がムダになるのに対し、オンボーディングによって新メンバーの定着率が向上すれば、中長期的な採用コスト削減につながります。

従業員満足度とエンゲージメントの向上

オンボーディングを通じて組織内の情報共有や企業文化への理解が進むと、社内のコミュニケーションが活性化し連携が強化されるため、従業員満足度とエンゲージメントの向上につながります。

 
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オンボーディングを実施する際のポイント

オンボーディングを実施する際は、下記の5つのポイントに留意して進めることが必要です。

入社前からの準備を徹底する

リクルートキャリア社の調査(2019)によると、入社前に人事とコミュニケーションを「した人」と「していない人」を比べると、パフォーマンス発揮者の割合に約20ポイント以上の大きな差がありました。

また、パフォーマンス発揮者のうち8割弱が入社前に人事とコミュニケーションを取ったのに対し、パフォーマンス不十分者は半数弱しかコミュニケーションを取っていないことがわかりました。

人事担当者や上司が、入社前から積極的に新メンバーとコミュニケーションを取り、受け入れ準備をしっかりと整えておくことが重要です。

組織内の人間関係を良好にする

厚生労働省の「雇用動向調査」によると、「職場の人間関係が好ましくなかった」は常に離職理由の上位に挙がっており、特に女性にその傾向があります。

後から組織に入る新メンバーにとって人間関係は大きな不安要素であり、先述の「メンターによる支援制度」「1 on 1ミーティングの定期開催」など、組織側から積極的にフォローする施策を実践する必要があります。

期待値を合わせる

新メンバーと組織の側で、ミッションや業務内容に関する認識、期待されている成果がズレているケースは少なくありません。

互いに「何を」「どこまで」求めているのか、期待値をすり合わせて確認しておくことは、ズレを少しでも解消するのにとても重要です。

教育・研修体制を整える

担当業務の内容はもちろんのこと、企業内の細かい手続きやルールをはじめ、入社後に新メンバーが知るべきことはたくさんあります。

これらをどれだけ早く効率良く学べるかによって、新メンバーの戦力化のスピードや定着率が大きく変わってくるため、教育・研修体制をしっかりと整えることが肝要です。

目標を細かく設定する

新メンバーにはいきなり大きな目標を与えるのではなく、小さな成功体験を積み重ねながら最終ゴールを目指す「スモールステップ法」で、達成感を与えながら成長を促していくのが理想的です。

そして目標をクリアするたびに、周りから多くのフィードバックを受けられる環境を整えることも重要です。

まとめ

オンボーディングは新メンバーの定着率向上と早期戦力化に有効なだけではなく、従業員同士の結束や関係性が深まるなど、社内コミュニケーションを強固にするきっかけにもなります。

ニューノーマル時代にふさわしいオンボーディングのあり方を改めて見つめ直した上で、自社に最も適した施策をぜひ検討してみてください。

 

 

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