社内報制作のスキルを高めるための雑誌の見方
社内報のご担当者に求められるスキルは他の業務にはない専門的なスキルも多く、その範囲も幅広いのですが、大きな問題はそれらを学ぶ機会が極めて少ないことではないでしょうか。事実、企画の立て方や執筆、デザインに関する書籍を見ても、社内報制作に直接関連づけられているものはほぼ皆無と言えます。
けれども、何を学べば良いのか、あるいはその学び方さえわかれば、身近にあるものから多くを学ぶことができることも事実です。その身近にあるものこそが雑誌。
そこで今回の記事では雑誌から学べる社内報づくりの「学びのポイント」についてお伝えしてまいります。
社内報担当者には広範囲かつたくさんのスキルが求められる
社内報の担当者には台割設計、年間計画、コンテンツ企画、編集、執筆、デザイン、写真撮影、動画撮影、動画編集といった企画や編集、制作に関する技術的なスキルのほか、アンケートやWebのアナリティクスを用いた分析のスキル、紙版やWeb版など多様なツールを適切に活用する運用やプロデュースに関するスキルなど、多くのスキルや幅広いスキルが求められます。
これらのスキルはいずれも短期間で容易に身につけることは難しいばかりでなく、体系的にわかりやすくまとめられた教材や学習機会は極めて少なく、社内報の担当者は日々の業務で常に高い問題意識を持ち、不足しているスキルを自ら気づき、それらを独学で学びながら、学んだスキルをつなぎ合わせて全体的なレベルを高めていくことが求められます。
まずは編集や制作に関するスキルから身につける
そうした多くのスキルが求められるなかで、社内報の編集や制作に関するスキルから高める理由は、社内報に関する業務の大半がそれらのスキルに関係していることや、社内報のクオリティーアップと直結したスキルであることはもちろんですが、何よりも学ぶことが楽しく、すぐに成果や効果、結果が得られるため、モチベーションが高まり、それを維持し続けることができるからです。
もちろん学び方によっては楽しさを感じなかったり、モチベーションが高まらなかったりするのですが、そうならないようにするための学習方法こそが雑誌の活用なのです。
雑誌から得られる3つのスキル
雑誌を活用した社内報づくりのスキルアップの方法は、たくさんの雑誌を見て社内報を作るための「読み手の視点」「テクニック」「目利き力」を高めていくことにあります。
「読み手の視点」とは読者の興味を惹くためのより良い見せ方、「テクニック」とは、読み進めやすい流れや、情報をわかりやすく伝えたり興味深く伝えたりする方法や切り口、「目利き力」とは良いものを良いと判断できるチカラや、そうではないものに対して何を変えれば良くなるのかという目を持つことです。
雑誌を活用したスキルアップの方法と要点
雑誌から学べる台割設計のポイント
ここからは雑誌を活用したスキルアップの方法と要点についてお伝えしてまいります。
まずは台割設計に関するスキルについて。社内報は雑誌と同じように複数のページが連なったツールです。
これは「読み手の視点」と大きく関係しているために、非常に重要なポイントです。
社内報を表紙から1ページずつ熟読する方は少なく、通常は手に取ってペラペラと見て興味を感じたところから読み進めたり、あるいは裏表紙から見たりします。
このように社内報は読者の閲覧行動を想定しながら一冊の流れやリズム、テーマや情報の連鎖や展開、特集の規模感や重要感、アクセントとなるページづくりなど、読者を惹きつけたり、読者の閲読行動をサポートしたりする台割設計を考えることが求められます。
雑誌はこれらが熟考されて設計されているツールですので、こういった点を読者の立ち位置で見て感じることで、多くを学びとることができます。
雑誌から学べる年間計画のポイント
定期刊行物である社内報の年間計画について、同じく定期刊行物である雑誌から多くの学びを得ることができますが、その大きなポイントは特集の展開。
ここで押さえる点としては年間の展開方法です。実際に雑誌を一年分揃えて見渡してみると、取り扱われているテーマは重複していることが多く、常に新しいものを取り上げているのではないことに気づかれると思います。
雑誌の特集はその雑誌のカテゴリーやコンセプトに基づいて、発行される時期の読者の興味やニーズに合わせたテーマで展開されているのですが、ポイントはテーマの展開だけではなくターゲットも興味やニーズの違いを見出して年間で計画的に展開させている点です。
その他にも雑誌ごとに熟考された多種多様な展開方法がありますので、ぜひ社内報の年間計画を立てるという目線で雑誌を見てみてください。
雑誌から学べるコンテンツ企画のポイント
雑誌から学べるコンテンツ企画は主にテーマの掘り下げ方、特集など複数のページにわたるコンテンツのページの展開方法や切り口の拡げ方となります。もちろんコンテンツのテーマやネタそのものも学びやひらめきが得られることも少なくはないのですが、スキルアップといった点では先にお伝えしたポイントを読み取ることが、今後の企画づくりの応用力を養う上で効果的です。
また、良い企画はタイトルに表れるとも言われるように、企画力を高める上でタイトルから学べることは意外と多いです。
と言うのも、タイトルは企画のコンセプトや企画に込めた問題や課題の解決に関する意図を、読者にいかに関係づけるかという視点で考え抜かれているのです。
雑誌からその点を学ぶにあたってはまずタイトルを見て、読者の何を解決しようとしているのか、何を問題提起しているのかといったことを想像すること。正しい答えは見当たらないのですが、そういった観点でモノを見ることで、企画を立てる発想力や論理力が徐々に身についてきます。
読まれる社内報の企画力を高めるポイントについてはこちらへ
雑誌から学べる編集・執筆のポイント
編集や執筆については文章の流れやリズム、表現方法のほか、コンテンツ内の情報の切り口、情報の分け方、コンテンツのタイトルや見出しのつけ方や表現方法、本文とキャプションの分け方など多岐にわたります。そうしたなかで、執筆については文章力を高めるための参考文献や学習機会も多いので、雑誌からの学びとしては情報の切り口や分け方とキャプションを見ることをおすすめします。
特にキャプションについては読みやすい誌面にするために重要です。社内報はついつい文字数が多くなりがちなのですが、実は本文で語っているなかの多くをキャプションに逃がすことができます。
また、読者はページをペラペラと見たときに、見出しや本文よりも写真に目が向きがちなのですが、雑誌はこの行動様式を利用してキャプションに注力し、キャプションをきっかけに中身を見ていただき、購入を促すという手を使ったりもしていますので、読みやすい社内報にするための編集力の向上にあたっては、ぜひ雑誌のキャプションに注目していただければと思います。
雑誌から学べるデザインのポイント
雑誌から得られる学びとして、最も効果的な点がデザインです。
雑誌から学べるデザインは主に、誌面全体や要素の見せ方の工夫、見出しなどの文字の詰め方、タイトルの作り方、写真の組み方、カラーリングといった、レイアウトや飾りつけ、各要素の見栄えの良い作り方のほか、情報の流れや展開、情報の整え方や分け方、段組み、余白など間のとり方といったような全体の構成やバランス、読みやすくする流れ、飽きさせないための抑揚のつけ方、テーマと見た目の関係性など。
このように、雑誌から学べるデザインのポイントは非常に多いのですが、これらのポイントを意識しながら見るだけで、これまでには感じなかった工夫がたくさん目に留まりますので、それらを社内報づくりで実践すればするほど、社内報づくりがどんどん楽しくなっていくと思います。
また、デザインのスキルが高まると社内報の見栄えは急速に良くなり、全体的な品質も高まる実感が得られますので、雑誌からの学びとしては、まずデザインから着手されることをおすすめします。
雑誌から学べる写真撮影のポイント
写真撮影についても編集やデザインと同じように、雑誌からたくさんのことが楽しく学べるポイントとなります。そのなかで写真撮影のテクニックについてはたくさんの参考文献があり、Webで検索するだけでもたくさんヒットしますので、雑誌ではそれらからは学べないポイントを学び取っていきます。
そのポイントとしては写真の構図、人物のポーズ、撮影する角度や目線。
これらはそれぞれの雑誌のコンセプトとも関係していますので、雑誌からはそういった観点で写真を見ながらポイントを学び取っていきます。
また、魅力的な写真を撮影するために大切なことは、魅力的な写真をたくさん見ることです。
これは文章やデザインにも言えることですが、写真は頭のなかにイメージを描くことができる写真しか撮れませんので、日ごろからたくさんの良い写真を見て、頭のなかに描くことができるイメージをたくさんストックしておくことが必要となります。
質の良い雑誌は写真が優れていることが多いので、魅力的な写真のストックを増やすには欠かせない教材となるのですが、学び方としてはそのほかに、普段はあまり手にしない、ターゲットの年齢層や性別が異なる雑誌を見ることで、イメージのストックの幅を広げていくことも、社内報づくりに欠かせない学びポイントとなります。
まとめ
社内報の担当者となって間もない方は、これまでの業務とは異なる必須スキルが多く、その幅も広いうえに、それらを高めるための学習機会が少ないという問題があります。今回の記事ではそういった問題の一部分でも楽しくクリアしていただければとの思いで、雑誌からの学びのヒントや着眼点をお伝えしてまいりました。ぜひこの記事をきっかけに、社内報づくりのスキルがアップしたといったことや、社内報づくりが以前よりも楽しくなったと思えるようになっていただけると嬉しく思います。
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