社内報コラム

「祝う」だけで終わらせない! インナーコミュニケーション起点の周年事業戦略(前編)

「祝う」だけで終わらせない! インナーコミュニケーション起点の周年事業戦略(前編)

この記事をご覧いただいている皆さまの中には、まさに2、3年後に周年を控えているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも、いざ具体的な取り組みを決めようとしても、「パーティーって必要?」「そもそも周年って何するもの?」と行き詰ってしまう…。そんな方のために、「社内報ラボ」だからこそお届けしたい、インナーコミュニケーション起点での周年事業活用についてお伝えします。

 

 

周年事業のトレンド

ターゲットは、社外から社内に

企業が事業を営む上には、さまざまなイベントがあります。新製品発表会や地域住民との交流会といった、いわゆる催しだけではなく、中期経営計画の発表や社長交代なども重要なイベントです。企業はこれらのイベントを、顧客の他、あらゆるステークホルダーと良好な関係を築くための事業機会として活用しています。

その中で、設立から一定の年数が経過した「周年」に執り行う「周年事業」を、改めて見直す企業がここ数年で増えています。これまで周年といえば、アニバーサリー色が強く、主に顧客や取引先に向けて感謝を伝え、自社の今後のビジョンをPRする場として捉えられてきました。

それが、ここ数年は従業員に向けて自社の「存在価値」や「ありたい姿」を共有する場として戦略的に活用する企業が増えてきているのです。

効果は、再び社内から社外へ

この変化の背景の一つには、2000年以降に注目され始めた「従業員エンゲージメント」の重要性があります。日本でも終身雇用が当たり前の時代が終わり、個人の価値観が多様化する中、従業員が企業の目指すべき姿にどれだけ共感できているかが、企業の業績や成長に影響を及ぼすという考えが定説となりました。

そこで、企業にとって記念すべき節目の年を、インナーコミュニケーション起点で戦略的に事業に取り入れる。そして、これまで共に企業を形づくってきた従業員と、いま一度、企業の存在価値やありたい姿を共有し、深い共感を醸成することで、従業員エンゲージメント向上につなげていこうとする企業が増えてきたのです。

エンゲージメントが高まると、従業員が社内で良い波及を生み出し、さらに顧客や取引先など社外ステークホルダーへの発信者となります。つまり結果的に、その効果は社内から社外へと広がっていくと考えられています。

インナーコミュニケーション起点の周年事業

メリットとデメリットを考える

従業員エンゲージメントの向上の他にもさまざまなメリットがあります。一例と共に、デメリットについても考えてみます。

 

《メリット》
・従業員のモチベーションアップ

従業員に向けた周年事業の取り組みの一つに、長年の事業貢献に対する表彰や贈答品の授与などがあります。従業員は自分の功績や取り組みが会社全体に認められたと自覚でき、さらなる成長へのモチベーションアップを促すことができるでしょう。また、人は他者からの期待で成長すると言われています。教育心理学でいう「ピグマリオン効果」です。周年と既存の社内表彰制度をうまく連動させることで、社員にやりがいや成長を感じてもらえる機会にもできるでしょう。

・社内結束の強化

従業員を集めた大規模なパーティーやイベントを行う企業もあるでしょう。会社全体が一堂に会することで帰属意識を高めたり、交流の機会が創出でき、従業員同士の結束が高まることも期待できます。会期後も各部署の交流が継続できれば、社内の一体感が一層高まり、事業活動力の向上にもつながります。

・キャリアイメージが描きやすくなる

周年事業を活用し、従業員に向けて自社が目指す「未来」を発信することで、従業員自らも未来や展望、夢を描きやすくなります。「数年後、数十年後もこの会社と共に歩んでいく」という自身のキャリアイメージが想像しやすくなるはずです。

 

《デメリット》
・コストと業務負荷

規模の大小はあれ、パーティーやイベント、告知用をはじめとする各種制作物や贈答品の用意には、費用がかかります。自社内で行うのか、外注するのかでも費用に差が出てくるので、注意が必要です。

また、多くの企業ではプロジェクトチームを組むなどで、周年事業にあたる場合が多いでしょう。一時的なものとはいえ、通常業務と共にプロジェクトを担当する従業員への業務負荷のコントロールや評価などについても、企業やマネジメント側の配慮が求められます。

社内報・Web社内報を有効活用する

一般的に、従業員エンゲージメント向上のために効果的なツールとしては、社内報やWeb社内報があります。ただし、社内報やWeb社内報のウィークポイントとして、「情報発信からポジティブな影響が波及するまで時間を要する」ということが挙げられます。

一方、周年事業におけるコミュニケーション施策そのものは「スピード感や熱量の伝播、縦横無尽なコミュニケーションが可能」という特徴があります。社内報やWeb社内報で、日ごろから企業の想いを伝え共感の土壌をつくりながら、周年事業のイベントなどで、従業員と直接、自社の存在価値やありたい姿について語り合える機会を設けることができれば、従業員は日ごろの理解や共感を、体感をもって強く昇華させることができます。それは、従業員にとっては、ある種の「答え合わせ」の機会とも言えるかもしれません。

いかがでしたでしょうか。インナーコミュニケーション起点で周年事業に取り組む意義についてお伝えしました。次回の後編では、具体的な事例と共に周年事業を成功に導くコツについてご紹介します。

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