“見られる動画社内報”制作の基本
社内報といえば、冊子やWebサイトを用いてトップメッセージや企業情報を伝えるツールとして浸透していますが、現在では情報を得る手段が多様化しているため、冊子やWebよりも情報を豊かに伝えることができる動画を好んで社内報に採用する会社も急速に増えています。
その背景には、撮影・編集が容易に行えるようになったことで、社内報担当者自ら制作作業に取り組める環境が整ったことが挙げられます。
今回は動画社内報を作るための基本的な手順とポイントについてお伝えします。
動画社内報を始める前に押さえるべきポイント
まずは、このポイントのイメージを掴んで頂くため、すでに社内報に動画を取り入れている複数企業が行った社内アンケートの「動画を好む理由・好まない理由」項目の回答に触れながら解説していきます。
「動画を好む理由」
「文字を読まなくても良いので気楽に見ることができる」
「短い時間でさまざまな情報を得ることができる」
「さまざまな現場の雰囲気や働く人の表情を見ることができる」
「業務のノウハウやテクニックを学べる」
「息抜きやリフレッシュの役に立つ」
「動画を好まない理由」
「忙しくて見る時間がない」
「見るために一定の時間を確保しなければならない」
「職場内で動画を見る雰囲気がない」
「何を見れば良いのかわからない」
「文字情報の方が要点をつかみやすい」
これらの回答をもとに、見られる動画社内報にするポイントをまとめると、
- できるだけ短い時間で見られる動画にする
- 動画に合うテーマを選ぶ
- 内容が一目でわかるタイトルやサムネイルを作る
- テロップや字幕を活用してポイントを明示する
- 社内のサイネージなどでも見られるようにする
となります。
見られる動画づくりで大切な「企画」と「公開」
動画制作は「企画」「構成」「撮影」「編集」「公開」の5つのステップを踏みながら進めていきます。
その中で最も重要なステップは「企画」と「公開」の二つです。もちろん構成も撮影も編集も大切ですが、「企画」がしっかりしていることが前提で、そうなることで制作段階での迷いが減り、効率的に作業を進めていくことができるのです。
ただ自身では素晴らしい動画が完成したと思っていても、それを「素晴らしい」と判断するのは多くの従業員です。アンケート結果でも「何を見れば良いのかわからない」という回答が多かったことから、この問題を解決する重要なステップ二つ目を「公開」とします。
ここでいう「公開」とは、見られる動画にするために、視聴者の従業員が、「何が示されている動画なのか」「どのような効果が得られる動画なのか」といったことを知るための情報を設定することを指します。
これら踏まえながら、ここからは動画制作のプロセスについて解説します。
動画社内報を作る5つのステップとポイント
ステップ1:企画
「企画」とは動画の目的やコンセプト、運用を計画するためのステップといえます。まずは目的を具体化してみましょう。例えば社内コミュニケーションへの課題について、動画にすることでどのように解決できるかなどを明確にし、その課題に向けてどのような切り口やアプローチで見せていくかをコンセプトにしていきます。これらを効果のある施策にするために、公開タイミングなど運用方法を決めることで「企画」が成立します。
ステップ2:構成
「構成」のステップでは、会社として発信したいメッセージと従業員の心に響かせるためのシナリオを考えながら、どのように動画として見せていくのかを検討していきます。
キャッチーなコメントだけを出演者に求めるのではなく、言語では表すことのできない職場における「現場の熱意」「和気あいあいとした人間関係」といった、映像ならではの雰囲気も伝えるようにしましょう。
シナリオには撮影方法や場面展開、出演者の動き方やコメント、効果音の内容や使い方などを記します。これは撮影や編集をするための設計図のようなもので絵コンテとも呼びます。
ステップ3:撮影
撮影は絵コンテをもとに行っていきますが、ポイントとして視点、画角、カメラワークの3つに分けられます。
視点とは被写体を見る位置のこと。例えば製造現場のプロフェッショナルとしての誇りを伝えるシーンを撮りたい場合、モノを作る人の手元を下から見上げるようにして、その先にある真剣な眼差しを押さえることなどを視点と言います。画角は、背景が幅広く映っていることを広角、アップの場合は挟角(望遠)と言います。この画角範囲は視聴者が見たときの印象にも大きく影響してきます。撮影しながら被写体に近づいたり、離れたりといったカメラワークと併せながら、映像に変化を与えられるよう意識してみましょう。
ステップ4:編集
撮影した映像の各カットを絵コンテに基づいて切り取ったり繋いでする他に、字幕やテロップといった文字情報、ナレーションや効果音、BGMを加えたりする作業のことを編集と言います。
見られる動画社内報を作るためには、文字情報が有効であるとお伝えしましたが、編集時の字入れは可読性が重要なのでゴシック体を基本的に使用します。また白抜き色ふちの袋文字を採用することで読みやすさも増します。音響については、メッセージを効果的に伝えるために必要なBGM、動画で伝える情報をわかりやすく解説するナレーションなどが該当し、動画ならではの効果を得ることができます。
ステップ5:公開
「公開」は見られる動画社内報を作るための最も重要なステップとお伝えしてきましたが、そのポイントはタイトル、サムネイルと振り返りです。
タイトルでは、コンテンツのテーマや動画の取材対象をそのままにする場合がよくありますが、それだけでは忙しい従業員に視聴を促すには要素が足りません。そのような人たちに見てもらうには「訴求力」のあるタイトルが必要です。動画を見る必要性や魅力が伝わってくるタイトルを考えることが極めて重要なポイントとなります。サムネイルも同様に、訴求力を意識した視聴者を惹きつける画像を選定してください。
また公開後の「振り返り」は必ず行いましょう。改善点を具体化して、次回の動画制作に活かすことは、見られる動画社内報へと成長させるために欠かせないポイントです。
まとめ
今回は、見られる動画社内報を作るためのステップについてお伝えしてまいりました。
動画は構成や撮影、編集といったプロセスそのものも重要ですが、見られる動画を効率的に作成するための「企画」と「公開」が極めて重要となります。
つまり、最初と最後のステップにしっかり取り組むことで、動画社内報の効果は高まっていきますので、ぜひこの考え方を取り入れていただければ嬉しく思います。
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