編集会議が活性化しない原因とその解決方法
参加者の誰もが目線を上げようとしない混沌とした場の空気が一転し、せきを切ったようにたくさんの意見やアイデアがあふれ出す。
社内報の編集会議で、そんな奇跡がこの世の中に存在することを信じられるでしょうか?
実はあるんです!
そこで今回の記事では、編集会議が活性化しない原因と、編集委員会に参加する方たちから、活発かつ前向きな意見やアイデアが活発に出る会議にするための方法お伝えしてまいります。
さまざまな会社で行われている編集会議の実態
広報活動を活発に行っていくために、多くの会社で拠点ごとや部門ごとに編集委員や広報委員、通信員を配置する体制を築かれています。
そしてそれらの会社では、広報部門が幹事となって委員会のメンバーと定期的に会議を開かれていますが、そのなかで社内報に関しては特に、編集委員のメンバーからの情報や意見を大切にしようとされています。
ただ、残念なことにたくさんの社内報担当者の方から、「編集会議を開いても委員から意見が出ない」というお悩みを耳にします。
実際、さまざまな拠点や部門で編集委員を担っていただいている方たちが集まる編集会議では、期待通り、または期待していた以上の意見やアイデアが出ることは極めて稀なのではないかと思います。
通常は、混沌とした空気が漂う中で、社内報担当者が背中に流れる汗を感じながら、いろいろ調べた会議の運営ノウハウを駆使して、なんとかその場を盛り上げようとするも、その想いとは逆に、その場はどんどんよどんでいく。
そんな編集会議がいろいろな会社で定期的に執り行われている実情があります。
会議運営ノウハウだけでは社内報の編集会議は活性化しない
会議の活性化をねらったさまざまなテクニックや方法は、書籍やWebサイトを検索して調べると、たくさんのノウハウに関する情報が得られます。
ただ、これらのノウハウだけでは、社内報の編集会議は活性化することは難しいと言えます。
一般的な会議を活性化させるノウハウは、部署内での会議を想定しているものや、初めて顔を合わせる人同士の会議が想定された内容となっています。
そういった会議に対して、社内報の編集会議は2~3ヵ月に一度や年に一度といった定期的に開催される会議です。
さらに、関わり合いを持ったことがないわけではないけれども、人間関係はほとんど築けていないといった、極めて緩やかなつながりを持った人たちが集まる会議と言えます。
こういった開催(参加)頻度や参加者同士の関係性を想定した会議運営のノウハウは、一般的な情報からは見つけることが極めて難しいと言えます。
社内報の編集会議が活性化しない理由と解決方法
社内報の編集会議が活性化しない理由として大きくは
①意見を得るために必要な情報が十分に伝わっていない
②参加者同士の人間関係が築けていない
③より良い意見のきっかけを提供できていない
の3つがあげられます。
ここからは、社内報の編集会議が活性化しない3つの理由とともに、その解決方法についてお伝えしてまいります。
①意見を得るために必要な情報が十分に伝わっていない
編集会議に参加されるメンバーの方々は通常、それぞれの部署での仕事(本業)に日々忙しく取り組まれている方々です。
そういった方々に、編集会議で意見を出していただくためには、編集会議を開催する目的や議題だけでは十分ではありません。
まず、最も重要な情報は社内報の発行目的や編集方針、コンセプト、年間の目標などです。
次に、社内報編集の主幹部門、あるいはその担当者自身がとらえている課題や、感じている課題感を共有する必要があります。
また、課題や課題感だけを伝えても、その解決につながる意見は通常、容易には出てきません。そこで意見のきっかけをつくるために、他社の事例など、自社とは異なる社内報の情報を伝えます。
さらに、社内報も他のことと同じように、役割やその範囲、活用方法などは年々変化していますので、そういった情報を伝えることも大切です。
②参加者同士の人間関係が築けていない
編集会議はさまざまな拠点や部門で働く方たちに編集委員として集まっていただく会議ですので、編集会議以外でメンバー同士がコミュニケーションをとる機会はほとんどありません。
しかも、1年でメンバーが入れ替わったりするような体制の場合は、参加される方たちはお互いにほとんど初対面といった関係性となります。
このように普段顔を見合わせることもなく、お互いに相手のことをほとんど知らない状況で開かれる会議では、参加される方は率先して手をあげることを躊躇されたり、お互いに遠慮しながら誰かの発言を待ったり、その場の空気の状態や流れを読みながら意見を考えたりされます。
しかも、誰もがなかなか意見を出さないような混沌とした会議では、抽象的な表現になりやすい肯定的な意見よりも、具体的に表現しやすい批判的な意見が出やすくなります。
こうなるとその場の空気は凍りついてしまいますので、会議はどんどんこう着した状態になっていきます。
こういった傾向を踏まえて、編集委員会の会議をさまざまな意見やアイデアが活発に出る場にするためには、参加者同士の人間関係を予め築いておくことが大切です。
ある会社では1年に一度、参加者同士の懇親の機会を持つためのプログラムを含めた一泊二日の合宿を実施して、より良い意見やアイデアが誰からも積極的に出していただけるような場づくりをされたりしています。
③より良い意見のきっかけを提供できていない
あまり詳しくない分野や領域の話題に対して、意見やアイデアはなかなか出てきません。
例え何かが頭に浮かんだとしても、たくさんの人に向けてそれを伝えることは、相当な勇気が必要だと思います。
社内報の編集会議は社内報について意見を出し合う場ですので、普段は社内報とは異なる部署でお仕事をされている方たちからすると、社内報の担当者は会議の議題、つまり社内報編集に関するプロであり、自分たちは素人だという認識になります。
そんな関係性で意見やアイデアを募っても、それらが活発に出る状態ではないことが、改めて冷静に考えてみると容易に想像することができます。
そこで、編集委員の皆さまに社内報編集のプロになってもらうということではないのですが、専門的な知識や技能の一部を身につけていただくと、そうではない状態のときと比べて、各段に意見やアイデアが出やすくなります。
そこで、編集会議のプログラムとして、社内報に関する意見やアイデアを募るだけではなく、少しずつでも編集やデザイン、執筆、写真撮影など、社内報のクオリティーを高めるための知識や技能を提供することをおすすめします。
もちろん、本来の業務を残して参加していただいている方たちに、上から目線で何かを教えるという状況は良くないので、社内報制作を依頼している制作会社の方に協力していただいたり、あるいはその道のプロの方を招いて教授していただいたりといった方法で、社内報をつくるための知識や技能の一部を、編集委員の皆さまに提供したり、あるいは体験していただいたりします。
3つの理由と解決方法を踏まえて会議の基本的な活性化策を取り入れる
お伝えしてまいりました、編集会議が活性化しない3つの理由と解決方法は、社内報の編集会議の特性を踏まえたものでした。
これらに加えて会議を活性化させる基本的な方法を取り入れることで、編集会議はこれまでよりも活性化するとともに、有意義な場になります。
そこで、最後に会議を活性化させる基本的な方法をお伝えします。
会議の目的、議題、考えてきていただきたいことを事前に共有しておく
会議の目的と議題を明確にするだけではなく、会議の場で出していただきたい意見やアイデアについても、事前にそのテーマや例を案内しておきます。
社内報担当者はファシリテーターとして参加者を主役にする
会議の参加者から活発な意見やアイデアを聞き出せるようにするために、自らの意見は控えて、参加者や参加者の意見を会議の主役になるように会議を進めます。
会議の冒頭はアップテンポでノリ良く進める
会議の雰囲気はもとより参加者の頭の回転速度も、会議の冒頭の雰囲気によって決まりますので、会議の冒頭は前向きでノリ良く、ややアップテンポぎみに進められる議題を設定したり、そのための準備をしておきます。
意見やアイデアを発言者との会話で盛り立てていく
発言された意見やアイデアをそのまま記録するだけで終わらせずに、賛同意見や疑問を投げかけて、その意見やアイデアを盛り上げていったり、あるいは抽象的な意見やアイデアを深掘りしていったりして、意見をより有意義なものへと盛り立てていきます。
タイムキーピングで会議にメリハリをつける
意見やアイデアが延々とで続ける会議は生産的ではありません。場を盛り上げて、たくさんの方の発言を促したり、意見を盛り立てたりしながらも、しっかりと時間をとらえて、ほど良いタイミングで意見やアイデアの集約をしたり、方向づけたりしていきます。
最後にしっかりと参加者の認識を揃える
大切な会議では通常、会議後に議事録を作成して共有して認識を揃えたりしますが、参加されている方たちは本来の業務に戻られるため、議事録に目を通されない場合も想定して、会議の最後に必ず認識を揃えるようにします。
残課題や宿題がある場合は会議後にメールなどで共有する
6でもお伝えしました通り、議事録に目を通されない参加者もいらっしゃることを想定して、残課題や宿題など参加者の意識に留めたり何かを託したりする場合は、議事録だけではなく、それらの点だけをメールなどで、会議直後に速やかに共有します。
実行することが決まったことはすぐに実行する
せっかく良い意見やアイデアがでて、参加者一同がさらにそれらをより良い内容に仕立て上げていったとしても、それらが実行されなければ参加者はその会議に意味を感じなくなります。裏を返すと編集会議を活性化させるために一番大切なことは、決まったことを速やかに実行すること。
すぐに実行することが難しい内容の場合は、その目途を伝えておくこと。そして、その繰り返しを通じて、参加者との信頼関係を築き上げていくことです。
まとめ
編集会議を活性化させるポイントなどをお伝えしてまいりましたが、社内報の編集会議も一般の会議も、その場を活性化させるためには、事前の情報共有など、意見を出していただくための準備や、意見の基盤となる知識などの共有のほか、参加者同士や参加者と主催者の信頼関係が何よりも大切だということがご理解いただけたのではないでしょうか?
ここでお伝えしたことのすべてをすぐに実行に移すことが難しい場合もあるかと思いますが、少しずつでも取り入れてみることをおすすめします。
関連記事
-
あなたもやっているかも?PDF公開でありがちな失敗 PDFを公開するのは、WEB担当者にと ...
-
社内報など、モノづくりに必要なスキルは、発想するスキル、集約するスキル、意欲を得るスキルの ...
-
社内報づくりにおいて、各省庁が発信している情報やツールが非常に有効だということをご存知でし ...
-
はじめて社内報を担当することになった皆さんへ。 「シリーズ はじめての社内報制作」は、皆さ ...
-
テレワーク時代の社内報の作り方 Vol.01 インタビュー・撮影時の注意点
テレワーク(在宅勤務やサテライトオフィス勤務、モバイル勤務など)がすっかり定着した感のある ...