社内報コラム

読まれる社内報のデザインの鍵は「余白」にある

読まれる社内報のデザインの鍵は「余白」にある

読まれる社内報にするために、デザインは重要な役割を果たしますが、その中でも「余白」は極めて重要な要素です。

今回の記事ではまず、「伝わらない」といった視点で、デザインの問題を3つお伝えし、それらをもとに「余白」の重要性と活用方法についてお伝えします。

伝わらないデザインには主に3つの問題が潜んでいる

伝わらないデザインには

  1. 情報量をコントロールしていない
  2. 情報を適切な位置に配置していない
  3. 余白をつくらない

といった3つの「ない」が含まれています。

 

デザインは、見栄えを良くするだけではなく、情報を「整理整頓」するという機能があり、これを「レイアウト」と言います。

 

整理整頓の整理は
「要るものと要らないものを分ける」
「要らないものを処分する」

整頓は「要るものを使いやすいように区分け」
そして区分けしたものをそれぞれ「決められた場所にきちんと置くこと」です。

 

1の「情報量をコントロールしていない」とは、整理ができていないデザインで、「必要な情報と不要な情報を分ける」ことと、「不要な情報を処分する」ことを行なっていないデザインです。

2の「情報を適切な位置に配置していない」とは、整頓ができていないデザインで、「必要な情報を適切に区分け」して、区分けしたものをそれぞれ「目線に沿った位置にきちんと置くこと」ができていないデザインです。

つまり、1や2が含まれているデザインは、不要な情報を取捨選択が十分ではなく、必要な情報を適切に分けていない、正しい位置に配置していないといった、レイアウトができていないデザインとなります。

伝わるデザインにするためにはまず、情報を必要と不必要に分け、不要な情報を排除し必要な情報を適切に分けて、それらを目線の流れに沿って配置することから始めます。

「余白」はムダなスペース?

最後に3つ目の「余白をつくらない」とは整理整頓ができておらず、適切なレイアウトが行われていないデザインのことを表しています。

情報を整理整頓するという考え方を持つと、1の「情報量をコントロールしていない」や、2の「情報を適切な位置に配置していない」は、必要性と何をすれば良いのかといったこともわかりやすくなりますが、3つ目の「余白をつくらない」という点については、なんとなく理解できるけれども、具体的に何をすれば良いのかわからないといった方も多いと思います。

限られたスペースに可能な限り、たくさんの情報を載せる社内報などの広報誌において「余白」は、無駄なスペースだと考えられる方も多いとは思いますが、実は「余白」こそが、伝わるデザインにするためのレイアウトにおいて、極めて重要な役割を果たすものなのです。

また整理整頓がしっかりできているデザインでも、適切な「余白」がないと、整理整頓がムダになる可能性も秘めているのです。

「余白」とは意味のある「間(ま)」のこと

余白を文字通りに捉えると、「余った白い部分」となりますが、正しくは意図的な「間(ま)」のことです。

「間」とは、モノとモノとの間(あいだ)を表すほかにも、たくさんの意味があります。

例えば「間が悪い」といった場合は、タイミングや状況を表し、「間延び」といった場合は、締まりや緩みの度合いを表します。

余白のないデザインの誌面を言い換えると、間が悪い誌面、間延びした締まりのない誌面となります。

間が悪い人や間延びしたような話し方をする人の印象と同じように、間が悪い誌面や締まりのない誌面は、人に良くない印象を与えてしまいます。

逆に、余白が効いている誌面は、感じの良い締まりのある誌面となり、人から親しまれ、慕われることで、結果として伝わりやすく、読まれる誌面となります。

「余白」は人の期待や気持ちに寄り添う

余白はこのような、印象や雰囲気のほかにも重要な意味を持っています。

少しイメージしてみてください。

海が見渡せるラグジュアリーなレストランの、広々とした静かな個室で、地元の魚介類をふんだんに使った和洋折衷のメニューを注文した際に、みずみずしい新鮮な魚介類で彩られながらも、隙間なくふんだんに盛り付けられた大きな丼が、目の前に現れるとどう感じるでしょうか?

新鮮な魚介類が隙間なくふんだんに盛り付けられている丼は非常に魅力的ですが、明らかにその場の雰囲気にはあっておらず、何よりも、それをいただく人の期待やその場の気持ちには応えているとは考えられません。

本来、このような雰囲気の場であれば、数切れのお刺身が大きな器に上品に盛り付けられ、和洋折衷のディナーらしく、そのお刺身の周りに、バルサミコ酢などがチョンチョンと彩られたようなものを期待しないでしょうか?

一方で、漁を終えた漁船がたくさん並ぶ、活気あふれる漁港の近くにあって、地元でその日に水揚げされた新鮮な魚介類を提供してくれる定食屋さんでは、先ほどのような丼と一緒に、魚のあら汁などと一緒に出てくると、ものすごくお得な気分になります。

このように、余白は人の期待や気持ちに大きく関係する、重要なスペースなのです。

読まれる社内報にするための「余白」の活かし方

情報の整理整頓がしっかりできているデザインでも、適切な「余白」がないと、読み手の期待や気持ちに応えていないデザインと言え整理整頓がムダになる可能性を秘めており、せっかく努力して行なった整理整頓が、全く効果をなさない結果になるどころか、マイナスの効果が発生する可能性があります。

逆に誌面に余白を上手に適切に取り入れることで、誌面は一気に良くなりますので、最後に、余白の活かし方について、まとめてお伝えします。

情報を区分けする

まずは情報をわかりやすく区分けする際に余白を用いること。

誌面に配置する情報を、関連性に基づいて余白の量や幅を調整すると、誌面が一気に見やすくなり、読者に分かりやすい誌面だといった印象を与えることができるようになります。

読みやすい間を作る

文字の間(字間)や行の間(行間)に、程よい余白を取り入れて、文字が読みやすくする。

どの程度の余白を用いることが最適なのかについては、使用するフォントや文字のサイズ、1行あたりの文字数、縦書き横書きなどによって異なりますので、目で見て判断すると良いでしょう。

目線を誘導する

余白には、読み手の目線を誘導する効果があります。

例えば、タイトルの文字の間を広く取りすぎると、文字がバラけてしまい、誌面全体に影響して間の悪い、どこに目線を置けば良いのかがわからないデザインになります。

そうなってしまった場合は、タイトルの文字の間を詰めて、その文字列の周囲に少し広めの余白を作ると、タイトルに締まりが出て、目線が向きやすくなるといった効果が得られます。

重要な情報を強調する

読まれるデザインの重要な点として「わかりやすい」ことが挙げられますが、わかりやすいデザインとは、「何が大切なのか」が明確なことです。

最も重要な情報と、それ以外の情報を余白で区分けすることで、誌面は自動的に「大切なことはこれですよ」と伝えてくれるようになります。

期待や気持ちに応える

余白のないデザインは一般的に、カジュアルで元気な印象になる反面、チープな印象になる可能性があります。

余白をたっぷり取った誌面はそれとは逆に、上質な印象となりますが、元気が溢れ出るような誌面にしたいときはその効果が得られなくなる可能性があります。

ムダをなくしてスッキリさせる

情報を区分けする際に、安易に罫線や枠で分けていませんか?

罫線や枠で情報を区分けすると、その罫線や枠の周囲に余白が必要となります。

一方で、余白で情報を区分けすると、罫線や枠で区分けするよりも少ない余白で済むとともに、デザインの余計な素材や装飾を減らすことができるので誌面がスッキリします。

余白も誌面に配置する「素材」の一つとして捉え、上手に活用すると、誌面のさまざまなムダを排除することが可能となります。

まとめ

余白は社内報などの誌面のデザインだけではなく、インテリアコーディネートや、お店の「らしさ」を演出する上でも取り入れられる要素であるばかりでなく、最近では、人との接し方やコミュニケーションにおいても「余白」が注目されるようになってきてるように、何かと何かの関係を築いていく、極めて重視な要素として検討の対象として取り上げられるテーマとなってきています。

一方で、ギリシアのパルテノン神殿の柱の間隔のように、神聖さや崇高さを印象づける要素として、古代から研究されていたり、絵画の芸術性を決定づける要素として考えられたり、あるいは日本の「わびさび」の演出として、知性と感性を問われる要素として扱われるなど、非常に奥深さのある要素です。

ぜひこの機会に「余白」について注目していただき、社内報のデザインに活かしてみるといった取り組み方をしていただけると嬉しく思います。

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