社内報コラム

社内報のKPIづくりへの考え方と方法 第一部

社内報のKPIづくりへの考え方と方法 第一部

さまざまなビジネスの現場でKPIが求められる様になった昨今、社内報に関する業務も例外ではなく、KPIを設定して運用しようとする会社が増えてきました。

特にWeb社内報は閲覧に関するデータの取得が容易なため、そのデータや指標を用いてKPIを設け、Web社内報を運用していこうとする動きが加速しています。

ただ、KPIはさまざまな局面での判断や意思決定に大きく影響するため、正しく設定することが重要です。

そこで今回は二部に分けて、正しくKPIを設定するための考え方やポイントと、主にWeb社内報に焦点を当てた社内報のKPIの設定に考え方や方法の例をご紹介します。

PV数をKPIに設定してはいけない

最初にお伝えすること。

それは、閲覧者数やPV数をKPIにすることは論理的に不可能だという点を押さえておく必要があるということです。

その理由は、KPIが「現場でコントロールすることができる指標」にしなければ、正しく運用することができないからです。

KPIはKey Performance Indicatorの略で、「重要業績評価指標」と訳されますが、これをもう少し噛み砕くと、事業の成功への鍵を数値目標に置き換えたものだと言い表すことができます。

目標は行動の結果ですので、目標と行動には相関性がなければなりません。

つまり、目標と現状を照らし合わせて、何をすれば目標を達成できるかを、行動のあり方や取り方で考えることができるといったことが、KPIを考える際の必須の要件なのです。

こういった点を踏まえて考えると、閲覧者数やPV数は、現場でコントロールすることができる指標ではない、KPIとしては相応しくない指標だということをご理解いただけるのではないでしょうか。

PVはKGIに用いる指標

では、閲覧者数やPV数は何か。

それはKPIではなくKGIで用いる指標です。

KGIとはKey Goal Indicatorの略で、重要目標達成指標と訳される、事業の成功に向けて期間中に達成する目標値。

KPIとKGIの関係は、KGIを達成するために必要な行動を数値化したものがKPI。

KGIをKPIから見ると、KPIを達成することで得られる結果がKGIとなります。

閲覧者数やPV数は、読まれる社内報にするために取り組んだことの「結果」ですので、これらはKPIではなく、KGIだということがご理解いただけると思います。

KPIの前にKGIを理解する

社内報のKPIを設定するために、まずはKGIを明確にする必要があります。

そこで、まずはKGIとはどのようなものなのかについてお伝えします。

KGIは、例えば営業部門でしたら、期末に達成する売上目標で、開発部門の場合は、開発した製品の購買者数や利用者数の目標値がKGIとなります。

つまりKGIは、事業の成功へのステップを期間で区切り、その期間内に達成する目標値だということです。

これを社内報制作に置き換えると、社内報としての成功に向けて、期間中に達成する目標を数値で設定することになります。

「社内報制作の成功とは何?」でKGIを考える

ここで重要なポイントとなることが、「社内報制作の成功とは何?」ということです。

話を社内報のKPIの設定に戻しますが、社内報のKPIを設定するためにはまず、「社内報としての成功とは何か?」ということを定義して、それを数値として表現できる指標、つまりKGIを定めることによって可能となります。

ここまでを整理すると、社内報のKPIを設定するためには、KGIをどういった指標で設定するかを考える。

そしてKGIを設定にあたっては、「社内報制作の成功とは何?」を明確にすることが最優先かつ最重要の要件となります。

では、「社内報制作の成功」とは何か?

社内報制作事業の成功は発行目的の実現だが

社内報制作の成功とは何か。

それは発行目的を実現することです。

ただ、発行目的は通常、経営理念や方針の理解・浸透、社内コミュニケーションの活性化、モチベーションの向上、一体感の醸成といった、抽象的で計測することが極めて難しいものとなっています。

また、これらの目的は人事部門や総務部門など、他の部門の目的と重複している内容でもあるため、目的がどの程度実現しているのかを、社内報の成果として測ることは不可能だと言えます。

発行目的を実現するための役割を果たし続けること

そこで着目すべき点は、社内報制作は、社内報という「メディア」を通じて、情報の伝達やコミュニケーションする機会を創出することで、発行目的が実現するための効果を出すということです。

先ほどお伝えしました通り、社内報の発行目的は、社内報だけの目的、あるいは課題ではなく、さまざまな部門の施策や、各部署内のマネジメントなど、経営施策として果たすべきテーマです。

社内報制作の役割は、メディアを用いて、発行目的に資する情報を全社に伝えたり、社内のコミュニケーションに機能させたりすることで、経営の施策を推進、あるいは補完するといった、横串の機能で目的の実現を目指すことだと言えます。

つまり、社内報制作の成功とは、社内報制作に委ねられているこの役割を果たし続けることとなります。

そして発行目的の実現はその役割の先にある全社的な命題として捉えることで、KPIの設定に際して、その前に検討すべきKGIを設定することが可能となります。

社内報のKGIは横串の役割が機能すること

ここからは、社内報制作のKPIの設定の前に行う、社内報制作のKGIの設定の考え方と方法についてお伝えします。

繰り返しになりますが、社内報制作の成功とは、社内報という「メディア」を通じて、情報の伝達やコミュニケーションする機会を創出することで、発行目的が実現するための効果を出すことだとお伝えしました。

その効果とは、発行目的に資する情報を全社に伝えたり、社内のコミュニケーションに機能させたりすることで、経営の施策を推進、あるいは補完するといった、横串の機能が有効に働いている状況や状態が得られることです。

つまり、発行目的に資する情報が全社に伝わっていることや、社内報が発行目的に向けた社内のコミュニケーションに十分に機能していることが、社内報制作の成功ですので、これがゴールとなります。

このゴールを数値で表すことができる指標と、その数値を設定することが社内報のKGIの設定です。

KPIとKGIの関係を理解する

続いて、KGIとKPIの関係や指標の基本的な考え方についてお伝えします。

まず、KGIについてですが、これは重要目標達成指標という言葉が示す通り、事業成功に向けて期間中に到達しておくべき目標の指標であり、その数値がKGIとなります。

そして、KGIをどのように達成するのかといったことを定めることがKPIの設定となります。

この関係性が示す通り、KGIはKPIの数値目標を達成すると、自ずと達成できるものです。これをKPIから見ると、KPIを達成することができれば、KGIは達成するといった関係になります。

この関係が成立していることが、KGIやKPIの設定において、極めて重要だという点をしっかり押さえておいてください。

KPIは数値であることを押さえておく

KPIは重要業績指標という言葉が示す通り、あくまでも指標であり、数値だという点がポイントとなります。

社内報制作の業務にはさまざまなものがありますが、KPIはKGIを達成するために、最も重要なプロセスの進捗や達成度を測るための指標を導き出し、そしてその指標に対してKGIを達成するために必要な目標値を割り当てていきます。

KPIの設定に欠かせないCSF

KPIの指標はKGIの達成に向けた進捗や達成度を測るものを選択します。

その指標を導き出すためにはまず、KGIを達成するために必要な要因を導き出します。

この要因のことをCSFやKFSと言います。

CSFとはCritical Success Factorの略で、重要成功要因と訳されます。

KSFはKey Success Factorの略で、CSFと同様、重要成功要因と訳されます。

この「重要成功要因」という言葉が示す通り、CSFやKSFはいずれも、KGIやKPIのような指標のことではなく、要因、つまり結果を生み出すための過程や要素のことを表しています。

そしてCSFやKSFと言われる「成功要因」をどの程度実行すれば、KGIを達成することができるのかを数値で表すものをKPIと言います。

つまり、KPIはCSFやKSFの実行量を定める指標なのです。

CSFは現場でコントロールできるものでなければならない

KGIの達成やKPIの設定にCSFやKSFが必要だと言うことをご理解いただけたと思いますので、続いてはCSFやKSFの捉え方や導き出す際の注意点をお伝えします。

なお、CSFとKSFは同じ意味を持つキーワードですので、これ以降はCSFに統一してお伝えしてまいります。

例えば、売上目標をKGIとして取り扱う営業部門のCSFは主に、顧客への訪問や提案が該当します。

CSFはこのように、KGIで設定している目標値の達成に直結している要因である必要があります。

加えてCSFは、顧客への訪問や提案といったように、現場でコントロールできるものでなければならないという点もしっかり押さえておいてください。

KPIの設定はCSF正しく理解しておくことが前提

現場でコントロールできるCSFとは、KGIへの進捗状況を随時確認しながら、状況に応じて柔軟に対策を立てることができる要因のことです。

CSFが現場でコントロールできるものではないものになっていると、進捗状況に対する適切な処置を施すことができません。

この点はKGIやKPIを定める上で、極めて重要なポイントですので、しっかりとした認識や理解を持って取り組まれることをおすすめします。

つまり、KPIを設定するためには、どのような要因がCFSとして有効なのかを、適切に判断することが求められるのです。

第一部まとめ

ここまでは、KPIの設定にはKGIが必要であり(正しくはKGIを達成するためにKPIを設定するという流れですが)、KGIの達成のためにはCSFを適切に導き出す必要があるといったことをお伝えしました。

そして、KPIの設定は、CSFの数値目標として指標を選択し、その指標に目標値を設定することとなるといったことをお伝えしました。

第二部では、社内報制作のKPIをいかに設定するかといったことをお伝えします。

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