はじめての社内報制作 第3回読まれる社内報を作るコツ
はじめて社内報を担当することになった皆さんへ。
「シリーズ はじめての社内報制作」は、皆さんが楽しく自信を持って社内報制作に取り組めるようサポートすることを目的に、社内報制作の基本から、読まれる社内報にする秘訣までを、できる限りわかりやすく解説してまいります。
読まれる社内報を作るポイントとは?
読まれる社内報にするためには4Cの視点、つまり社員の視点で問題や課題を見つけて、改善、改良を進めるといった、マーケティングを行うことが必要なんじゃよ。
マーケティングとは社員の視点で、改善点の検討や、検討したことの実践、実践した効果の測定や検証といったことを、より具体的に、そして抜け漏れを最小限に抑えながら取り組んでいくことで、これによって読まれる社内報に向けて着実に前進することができるようになるんじゃよ。
<上司>社内報、あまり読まれていないね。
<山田>そうですね・・・(自分も担当するまでは読んでいなかったもんな〜)
<博士>相変わらず、あまり読まれておらんようじゃのう?
<山田>うわ!びっくりした!
<博士>そんなに驚かんでも。ところで君は社内報が読まれていない理由をどのように考えているのかね?
<山田>そうですね・・・
内容が面白くなかったり、デザインが良くないからかなと・・・
<博士>それもあるじゃろうが、読まれない社内報の原因はマーケティングをしていないからじゃよ。
君はマーケティングの4Pや4Cというフレームワークを知っておるか?
<山田>なんとなくですが・・・
<博士>マーケティングの4Pは、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションの4つのポイントの頭文字のPを用いたもの。
4Cは、カスタマーバリュー、コスト、コンビニエンス、コミュニケーションの4つの頭文字をとったもの。
この違いは、4Pは売り手の視点、4Cは買い手の視点なんじゃよ。
<山田>つまり、プロダクトやプライスは売り手の視点で、それを買い手の視点にしたものが、カスタマーバリューやコストといった感じですね?
<博士>その通りじゃ。
読まれる社内報にするためには4Cの視点、つまり社員の視点で問題や課題を見つけて、改善、改良を進めるといった、マーケティングを行うことが必要なんじゃよ。
マーケティングとは社員の視点で、改善点の検討や、検討したことの実践、実践した効果の測定や検証といったことを、より具体的に、そして抜け漏れを最小限に抑えながら取り組んでいくことで、これによって読まれる社内報に向けて着実に前進することができるようになるんじゃよ。
<山田>つまり、読み手である社員の視点でPDCAを回していくということが、社内報のマーケティングということですね?
社内報でマーケティングの4Cを実践する
<山田>ところで博士、社内報の運用として、マーケティングの4Cの視点を取り入れるためにはどうすればよいんですか?
<博士>まずは、カスタマーバリュー、つまり社員にとって『価値』があるかどうかを考えるんじゃ。
<山田>社員にとっての『価値』ですか。
それはつまり、社内報の内容が社員にとって役に立つものかどうかを考えるということですか?
<博士>その通りじゃ。
具体的には、経営方針や会社の動きだけでなく、社員が関心を持つテーマや、社員の仕事やキャリアに活きる内容、意欲的に働けたり、安心して働くことができる情報などが掲載されているかどうかが、社内報にとっての『価値』に該当するんじゃ。
<山田>なるほど。
例えば、何かのプロジェクトをネタとして取り上げる場合、その内容だけではなくって、スムーズに進めるための裏話といったことや、成功事例の紹介などですね?
<博士>おお、なかなか良いセンスをしておるのう。
まさにその通りで、プロジェクトの内容だけなら他のツールで紹介されていたりするが、その裏側や水面下にある努力や工夫は、そういったツールでは語られないことが多く、まさに社内報ならではの、そして社員にとって価値のある情報となるんじゃよ。
<山田>社員が知りたいと思う内容という考え方でネタを探すだけではなく、社内報だからこそ語れることや、社内報じゃなければ語れないことを探して載せるといった感じですね?
<博士>そうじゃ。
それこそが読まれる社内報にする第一歩。社内報の『価値』なんじゃよ。
<山田>面白いですね!
ただ、コストについてですが、社内報は社員がお金を支払うことはないので、コストはゼロですよね?
<博士>いやいや、マーケティングの4Cのコストは、お金として支払う費用のことだけではなく、それを手に入れるための『労力』や『時間』といった、『負担』のことを表しているんじゃよ。
<山田>確かに社内報は文字を読むことや、それを理解すること、読んだり理解したりする時間といった負担を強いるツールといえますね。
社員にとっての『価値』だけで読ませようとするのではなく、最適なコストがどの程度なのかを考えながら記事を作ることが大切だということですね?
<博士>その通りじゃ。
<山田>わかりました!
では、コンビニエンスについてですが、これは社員にとっての利便性といったことですか?
<博士>コンビニエンスという観点は、読まれる社内報を考える上で、最も見逃されがちじゃが、実は極めて重要なポイントなんじゃよ。
<山田>そうなんですね?
利便性ということで、てっきり手に入りやすいかどうかだけだと思っていました。
冊子を一人ひとりの机に配布するとか、Web社内報の場合は、スマホ版を作成したり、セキュリティを最適化したりして、いつでもどこでもみられるようにするとか。
<博士>もちろん、そういったことも重要なことじゃ。
マーケティングを要約すると、人がお金を出してでも手に入れたいと思うものを、その人の前に価格をつけて置いてあげることなんじゃよ。
そしてコンビニエンスは、人がお金を出してでも手に入れたいと思うものを、その人の前に「どうぞ」と置いてあげることなんじゃよ。
<山田>つまり社内報に置き換えると、「あなたが求めている情報や、手に入れたい情報はここにありますよ」と、目の前に置いてあげることだということですか?
<博士>そうじゃ。
社員が「欲しかった情報だ!」といった認識や判断を、社内報を手にした瞬間、感じ取れるようにすることがキモなんじゃよ。
<山田>手にした瞬間。読む前ということですね?
<博士>そうじゃ。
読んだあとに欲しかった情報だと感じてもらうのは、コンビニエンスではなくカスタマーバリュー、つまり社内報の『価値』なんじゃよ。
<山田>読む前に、しかも瞬時に欲しい情報だと気づいてもらう。
そのためには見出しやデザインが重要ですね?
<博士>そうじゃ。
さっきの、社員の机に配布したり、スマホで見られるようにすることは、いわば販売チャネルを最適化したり多様化するということじゃが、瞬時に欲しい情報だと気づいてもらうといった点は、製品に置き換えるとパッケージのようなものと考えると、わかりやすいんじゃないかのう?
<山田>パッケージですか。
けど、パッケージはコンビニエンスではなく、コミュニケーションのような気もするのですが?
<博士>そう考えられなくもないが、コミュニケーションは社内報の内容や見せ方というよりも、社員の役に立つ情報が社内報に載っていることを伝えたり、読まれたりする手段や関係を築く取り組みのことなんじゃよ。
<山田>伝えたり、読まれたりする手段や関係を築くことですか?
<博士>そうじゃ。
例えば社内報のアンケートを活用してPDCAを回すという話をしとるが、これも伝えたり、読まれたりする手段や関係を築く取り組みで、4Cのコミュニケーションにあたる取り組みなんじゃよ。
<山田>どういうことですか?
<博士>社内報のアンケートは、単に読まれているかどうかを見るだけのものではなく、社員が社内報にどんな期待を持っているか、どんなふうに活かしているのかを問いかけて、その回答を通して、社員の社内報に対するニーズや閲覧行動を捉えたり、それらと社内報の現状とのギャップを測ったりする取り組みなんじゃ。
<山田>つまり、社員のニーズや読み方を捉えて、どうすればもっと読まれる社内報になるかを考えることがコミュニケーションということですね?
<博士>その通りじゃ。
そのほか、全社メールやイントラネットの掲示板で、社内報の記事の内容や読むポイントなどを伝えることも、コミュニケーションとしての取り組みなんじゃよ。
<山田>なるほど。
何が載っているのかを、社員が目にしやすく、興味を持つような方法で伝えること。
そのために、社員が何に興味を持っているのかを知ること。
そういったことをしながら、社内報を読まれるツールに育てていくといった感じですね!
<博士>つまり、君は社内報を作る担当者ではあるが、社内報は会社や社内報の担当者の視点だけではなく、社員の視点も含めて、双方向で作り、育てていくことで、読まれる社内報はもちろん、社員から期待される社内報にしていくことができるんじゃよ。
<山田>読まれる社内報にするためには、マーケティングを行う必要がある。
それは双方向の視点で4CをもとにPDCAを回すことで、そうやって社内報をより良いもの、読まれるものに育てていくということですね。
<博士>その通りじゃ。
<山田>ありがとうございます!今日から早速やっていきます!
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