スマホのカメラ機能で社内報撮影を依頼してみよう
社内報制作の上で、工場や営業など現場で働く従業員の方に撮影依頼をするケースは多いと思います。当記事では、現場の従業員の方に、スマートフォン(以下、スマホ)のカメラで人物写真を上手に撮影していただくためのコツと、依頼をする際の注意点についてお伝えします。
社内報において写真を重視する会社が増えている
社内報は従業員の皆さまにとって、各拠点や現場の雰囲気を知ることができたり、普段会うことができない人の表情や姿を見ることができる唯一のツールです。社内報の役割としても各拠点やそこで働く人の写真をたくさん掲載することは非常に重要な取り組み。
同時に、写真には見る人に強い印象や大きな影響を与えたり、言葉では伝え切れないメッセージ性があるため、社内報のクオリティを高めたり、従業員の皆さまから愛される社内報を作る上では、極めて重要な素材だと言えます。
また最近では多くの企業が社内報制作時に写真や動画の活用に注力し、その動きと並行するかのように、スマホの性能自体も進化しているため撮影のハードルも格段に下がりました。これにより良い写真を撮影できる機会も多くなっています。
じつはスマホで撮影した方が良い写真になりやすい
スマホのカメラ機能が進化することで、一眼レフのような細かな設定を都度しなくても自動で露出調整したり、ピントや色調などを最適化してくれるため、一般の人でも上手な写真を撮ることが容易になりました。
社内報においても、職場やイベントのような「風景写真」は、細かな点をあまり気にしなくても、きれいな写真が撮れるため、現場で働く従業員の方に撮影を依頼する際には、スマホで撮っていただいた方が良い写真が得られやすいことも。
一方、人物写真を依頼する場合「どのように撮れば良いのかわからない」と言われることも多いと思われます。特に、職場内や工場などの屋内は暗い場所が多く、例えスマホで撮っていただいても、暗い写真や粗い写真が届くことが少なくありません。
そこで、スマホで写真を上手に撮るコツについて、社内報特有の事情を踏まえて、依頼書にそのままコピー&ペーストして使っていただけるように、スマホでの人物撮影を依頼する際の、全てに共通する注意点と、上手に撮影していただくためのアドバイスを、いくつかのシチュエーションに分けてお伝えします。
1.人物の写真撮影を依頼する際の注意点
2.上半身の切り抜き用の写真の撮影を依頼する
3.全身の切り抜き用の写真の撮影を依頼する
4.背景を活かした写真の撮影を依頼する
5.ポーズ写真を依頼する
1.人物の写真撮影を依頼する際の注意点
※写真撮影を依頼する際に共通する注意点です。
・レンズをきれいに拭いてから撮影してください。
・撮影モードを最高画質に設定して撮影してください。
・ズームを使用する場合は2倍までにしてください。
・明るい場所で逆光にならない向きで撮影してください。
・社内規定に則った服装や着用の規則に注意して撮影してください。
・ポケットに何も入っていない状態で撮影してください。
・写真をアプリ等で加工したり画像の容量を落としたりせずに、撮影したそのままの写真をご提供ください。
上記は、すべての撮影シチュエーションに共通する注意点です。依頼書には必ず記載してください。
特に「レンズを拭いてから撮影してください」と「ズームを使用する場合は2倍までにしてください」という点は忘れがち。ズームについては特に注意が必要です。極端にズームを使用すると、写真の解像度が粗くなる可能性がありますが、一方で被写体に近づきすぎると、画面に歪みが出てしまい、撮影する人物も歪んでしまうことがあります。
ここからは、依頼する写真の内容をもとに、撮影していただくシチュエーションに分けて、より良い写真を撮影していただくためのアドバイスについてお伝えします。
2.上半身の切り抜き用の写真の撮影を依頼する
上半身の切り抜き写真で失敗しやすいポイントは、人物の背景がごちゃごちゃしていて、切り抜くことができないような写真になっていたり、頭の上や腕、肩が写真からはみ出ていたりすることです。また、表情の指示を忘れてしまい、届いた写真の表情がバラバラということも起こりがちです。
それらの点を踏まえて、依頼書には以下のポイントを記してください。
・できるだけ白い壁の前や背景がごちゃごちゃしていない場所で撮影してください。
・被写体の方には壁から1歩程度離れた場所に立っていただいて撮影してください。
・腰から上が画面にすべて入るように撮影してください。
・頭の上や両腕の左右が画面からはみ出ないように撮影してください。
・●●のカメラ目線の写真をお願いします。(●●には「笑顔」や「真面目な表情」などが入ります)
・撮影した写真のお顔に歪みを感じる場合は、被写体から少し離れてズームを使用してください(ただし2倍以内で)
★・顔全体が暗くなったり、下半分が暗くなってしまう場合は、被写体の方に白い紙を地面とほぼ平行に持っていただき、上からの光がその紙に反射してお顔にあたるようにして撮影してください
・直射日光が強くあたる場所で撮影する場合は、お顔に強い影が出ないように、逆光や真横からの光を避けて、やや正面に光があたる向きで撮影してください
★のポイントは、少し複雑ですので省いても構わないのですが、やっていただけそうな場合は、ぜひ記しておいてください。
この方法は、モデル撮影の際に撮影のアシスタントが反射板を持って、光をモデルにあてている光景をイメージしていただくとわかりやすいと思います。この反射板のことを「レフ」と言いますが、白い紙でもレフの効果が得られますので、光によってお顔の表情が暗くなる場合は、ぜひ取り入れていただけると良いと思います。
3.全身の切り抜き用の写真の撮影を依頼する
全身の切り抜き用の写真も基本的には上半身の写真を依頼するときと同じです。
ただし、全身写真の場合は、被写体の方に白い紙を持っていただいて撮影することはできませんので、上半身だけの撮影のときよりも、撮影する場所の明るさや光に注意していただく必要があります。
・できるだけ白い壁の前や背景がごちゃごちゃしていない場所で撮影してください。
・被写体の方には壁から1歩程度離れた場所に立っていただいて撮影してください。
・腰から上が画面にすべて入るように撮影してください。
・頭の上や両手・両腕、足の先が画面からはみ出ないように撮影してください。
・●●のカメラ目線の写真をお願いします。(●●には「笑顔」や「真面目な表情」などが入ります)
・撮影した写真のお顔や体に歪みを感じる場合は、被写体から少し離れてズームを使用してください(ただし2倍以内で)
・直射日光が強くあたる場所で撮影する場合は、お顔に強い影が出ないように、逆光や真横からの光を避けて、やや正面に光があたる向きで撮影してください
4.背景を活かした写真の撮影を依頼する
背景を活かした写真は、切り抜き用写真よりもハードルが高くなります。
けれども、以下の点に注意して撮影していただけると、一般の方でもかなり良い写真が撮れるようになります。
・カメラの設定でグリッドをオンにして撮影してください。
・画面に示された縦横の2本の線(グリッド)の真ん中、または左右の線の位置に人物が来るように撮影してください。
・頭の上が画面からはみ出ないように撮影してください。
・全身を撮影する場合は、頭の上と足の先が画面に収まるように撮影してください。
・ポートレートモードがある場合は、ポートレートモードで撮影してください。
・画面を見て被写体が小さいと感じた場合は、ズームで大きくするのではなく、撮影者が被写体との距離を縮めて撮影してください。
ご覧いただきました通り、背景を活かす写真の撮影は、切り抜きを想定した場合よりもかなり専門的になります。
特にグリッドを用いた撮影は、普段からよく写真を撮っている方は問題ないのですが、写真をあまり撮らない方にとっては専門的すぎて敬遠される可能性があります。
そういった懸念を極力避けるために、依頼書にはグリッドを使用したバランスの良い構図の写真と、そうではない写真を貼り付けて、出来上がりのイメージがわかるようにすることをお勧めします。
また、被写体との距離が遠い場合についてですが、そういった場合、あまり写真を撮らない方は、ついついズームを使ってしまいがちです。しかし、ズームは先ほどお伝えしました通り、画質が粗くなることにもつながりますので、基本的には撮影者が撮影する立ち位置を変えることが原則です。
もちろんズームを効果的に使用すると、その場の雰囲気をより鮮明に見せたり、ダイナミックに見せたりすることができるのですが、依頼する場合、そこまでこだわった写真を期待することは厳しいと思いますので、依頼する場合は極力ズームを使用しないようにした方が良いと言えます。
5.ポーズ写真を依頼する
ポーズの依頼は言葉だけで伝えることは極めて難しいため、社内報のご担当者が職場内の方に協力していただき、サンプルとなる写真を撮影して依頼書に貼って依頼しましょう。
その際は、できるだけたくさんのポーズの写真を掲載して、現場の方に選んでもらえるようにすることをおすすめします。
ポーズのバリエーションは、インターネットで「撮影 ポーズ」と入力し、「元気な」、「自信満々」、「コミカル」、「トレンド」などのキーワードを付け足すと、たくさんのポーズ写真が出てきます。
なお、それらの写真の画像をコピーして使用することは違法行為ですので、あくまでも参考としてご自身や周囲の方がそのポーズを再現して撮影したものをご使用ください。
どんな目的で何に使いたいのかを具体化する
撮影を依頼する場合は、上記でお伝えしたような、どんな写真を撮影していただきたいのかといったことや、撮影する際の注意点の前に、何のための写真が欲しいのか、何に対してどのように使いたいのかを、具体的に説明する必要があります。
これを依頼書にきっちり記載して、依頼する相手に明確に伝えることで、撮影のポイントや注意すべきことが理解しやすくなります。
そこで、依頼書にはできれば、撮影していただく写真のイメージはもちろんですが、それらの写真が配置されるデザインやレイアウトのイメージも同時に伝えることをおすすめします。
具体的には「ラフデザイン」といった、誌面の完成イメージを依頼書に貼り、その完成イメージのどこに、どのような意図で配置するのかを文字で記します。
まとめ
スマホのカメラ性能が進化したことによって、誰もが美しい写真を撮ることができるようになり、撮影を依頼した際の写真も、これまでにはないようなきれいな写真が届くようになりました。
ただ、その結果、撮影を現場に依頼して取り寄せることを前提としている点に少し懸念もあります。
社内報には本来、社内報のご担当者がさまざまな現場や現地に赴き、その現場を見て、肌で感じたことで、机上では想像できなかったことを発見して、従業員の皆さまにその体験を共有するという役割もあります。
また、現地や現場に赴くことで、社内報の読者である従業員の皆さまと直接コミュニケーションをするということも、極めて意義深い取り組みだと言えます。
もちろん、全ての現場に赴いて撮影することは業務としては不可能ですが、できるだけ現場に赴き、どうしても不可能な場合だけ、依頼するという考え方で取り組まれることをおすすめします。
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