テレワーク時代の社内報の作り方 Vol.01 インタビュー・撮影時の注意点
テレワーク(在宅勤務やサテライトオフィス勤務、モバイル勤務など)がすっかり定着した感のある昨今、社内報制作においても、インタビューや撮影を非対面で行う機会が増えているのではないでしょうか。今回の記事では、テレワーク時代の社内報制作でおさえておくべきポイントや注意点をお伝えします。
テレワーク時代で高まる社内報の役割
感染症の拡大は、一方でテレワークの急速な普及という思わぬ副産物を残した感があります。業種や職種による差はあっても、今や多くの企業において、テレワークはありふれた勤務スタイルとなっているのではないでしょうか。
働く社員にとって、また会社にとっても、効率よく働くことができるテレワークは良いことばかりのように見えます。半面で、新たなリスクもはらんでいるのではないでしょうか。
そのリスクとは、「社内コミュニケーションの機会が減る」ことです。
社員同士が顔を合わせてコミュニケーションをとる機会が少なくなれば、組織としての一体感が生まれにくくなったり、一人ひとりのエンゲージメントが低下したりするなど、弊害も懸念されます。
そのような求心力の低下を防ぐために役立つのが、社内広報活動です。テレワークが普及した今日だからこそ、社内広報の役割はますます大きくなっていると言えるでしょう。
顔を合わせなくても働くことができる時代だからこそ、社内報を通じて「一体感」や「結束力」を高めたいものです。
ただし、それは「以前の状態まで、時計の針を戻そう」ということではありません。
社内報で伝える内容も、また制作の過程も、テレワークの普及に合わせてブラッシュアップさせる必要があります。
誌面で社員の皆さんに「新しい働き方」を呼び掛けていても、社内報自体が非効率で旧態依然とした作られ方をしていては、説得力が生まれません。伝えるべきメッセージも、伝わりにくいのではないでしょうか。
従来からの制作ノウハウに、テレワーク時代ならではの新たな手法も加味して、時代の流れに即した社内報を作っていきましょう。
テレワーク時代の社内報制作で鍵を握るのはリモート取材
社内報の制作には、編集会議に始まり、関係先への取材依頼、ライターやデザイナーとの打ち合わせ、印刷会社との打ち合わせなど、コミュニケーションの場面が多数存在します。
こうしたコミュニケーションの大半は、今日ではWeb会議システムなどを活用することで、リモート化が可能です。打ち合わせのために、わざわざオフィスへ足を運んだり、相手方に足を運んでいただく必要性は、以前と比べると小さくなっていると言えます。
一方で、従来のように対面でないと難しいと思われる工程もあります。
それは、コンテンツ(記事)を作成するために行う、インタビューや撮影といった取材活動です。
取材対象者から、インタビューで興味深いエピソードを引き出し、生き生きとした表情のカットを撮影するためには、可能なら本人とその場で対面して取材することが望ましいと言えます。
とは言え、昨今ではテレワークの普及もあり、取材対象者が常時出社して勤務していないことも考えられます。あるいは、対象者が地方や海外の拠点に勤務されている場合もあるでしょう。
それなのに、社内報を制作する側が対面取材にこだわっていては、実現できる企画の幅が制約されてしまいます。
一方、リモート取材を活用すれば、在宅勤務の方はもとより、本社から離れた地方や海外の事業所に勤務されている方にもアプローチすることができます。
場所の制約が取り払われることで、企画の幅が広がるのみならず、社内の一体感を醸成するという社内報発行の目的にも合致するのではないでしょうか。
従来から行ってきた対面取材に加えて、必要に応じて適宜リモート取材も組み合わせて、ハイブリッドな取材を実施できるようにしたいものです。
リモート取材で魅力あるコンテンツを作るには?
では、リモート取材では、どのような点に注意すべきでしょうか。
記事を作成するためのインタビューと、写真撮影について、ポイントをいくつかご紹介します。
1. インタビューを実りあるものにするには
オンラインでの打ち合わせやコミュニケーションが一般化しつつある今日では、インタビューも、リモートで対応していただける環境が整いつつあると言えるでしょう。1対1のインタビューだけでなく、複数の取材対象者による対談や、座談会形式であっても同様です。
リモートでのインタビューと、その後の記事作成を円滑に進めるためには、たとえば次のような準備や工夫が役立ちます。
質問内容を事前に伝えておく
リモートでも対面でも、インタビュー取材では限られた時間の中で、話し手の言葉を引き出さなくてはなりません。どのようなことを話してほしいのか、事前に項目をピックアップし、取材対象者に渡しておきましょう。あらかじめ考えていただく時間を提供することで、取材対象者がその場で考え込んだり、話がまとまらなくなったりするのを防げます。
音声通信の状態を確認する
その場で対話ができる対面取材と異なり、リモート取材ではパソコンやスマートフォンなどの機器を経由して会話することになります。機器のマイクやスピーカーが正常に作動しているか、あらかじめ確認しておきましょう。インタビューする側はもちろんですが、取材対象者の側にも、事前確認をお願いしておくと安心です。また、取材対象者が社外にいる場合などは、通信状態の確認も必要です。
冒頭で自己紹介をしていただく
多くの場合、取材時には録音をするかと思われます。しかし、対談や座談会など複数の方にお話しいただく場合、後で聴き直したときに、誰が発言しているのか分からなくなることも往々にしてあります。取材対象者が複数の場合は、最初の発言時に「〇〇です」と名前を言っていただくと、混同を防ぎやすくなります。
2. 撮影に行けない場合の対処法
リモートでも実施できるインタビューに対して、「その場にいないと対応できない」のが、写真撮影です。
インタビューをリモートで実施した上で、写真は現地に足を運んで撮影させていただくというのも、1つの方法でしょう。
しかし、取材対象者が在宅勤務や遠隔地勤務などであれば、足を運ぶのが難しいこともあります。そのような場合は、取材対象者ご本人や、周囲の別の方に、写真撮影を代行していただくことになります。
撮影をお願いする場合は特に、どのような写真が欲しいのかを、明確に伝えておきます。下記のポイントを抑えておくとよいでしょう。
ラフデザインを作成して渡しておく
ラフデザインと言うと、制作段階で必要になるものであり、取材時にはまだ必要ないと思われる方がいるかもしれません。しかし、ラフデザインを渡した上で「この場所に、こんな写真がほしい」と説明することで、撮影者に意図を明確に伝えることができます。
具体的な撮影イメージを伝えておく
「何を撮るか?」だけでなく、「どう撮るか?」も重要です。プロのカメラマンであれば、誌面の内容や掲載位置などから最適な撮影方法を判断してくれますが、本職でなければ難しいものです。
上記のラフデザインを基に、(ポートレートであれば)顔の向きや表情、手の置き位置、ポーズなど、こんな写真が欲しいというイメージを言葉で伝えます。もしイメージが絞りきれなければ、複数のパターンを想定してもよいでしょう。
内容だけでなく、画角や明るさ、解像度の設定なども、重要な要素。制作を担当しているデザイナーに聞けば、具体的なアドバイスがもらえるはずです。
解像度や画質など、あまり気にせずに撮影してもらいたい場合には、撮影画像を大きな面積で使うことは避けたほうが無難です。ラフデザインを作成する際に、考慮しておきましょう。
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テレワークの普及は社内報活性化の好機
出社の機会が減り、互いに顔を合わせる場も少なくなったことで、これまでと同じ方法で社内報を制作することが難しくなったと感じている方は多いでしょう。しかし見方を変えれば、社内広報や社内コミュニケーションの重要性がクローズアップされている現状は、社内報を活性化するための大きなチャンスだとも言えます。
今回は、テレワークの時代に即した社内報制作の新たなポイントをご紹介しました。今後も社内報ご担当者さまのお役に立てるよう、お悩みやお困りごとの解決に活かせるような情報やノウハウをお伝えしてまいります。ぜひご期待ください。
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