社内報のマンネリ化を解消する方法とは?
社内報ご担当者のお悩みに「マンネリ化」があります。社内報は、定期的かつ継続的に発行するツールです。同時に「会社に関する新鮮な情報」や「社内報ならではの情報」を読者に期待されているツールとも言えるのではないでしょうか。つまり、社内報は常に新しい情報や見せ方、テーマ、切り口を考える必要があるため、マンネリ化との戦いと言っても過言ではないのです。そこで、今回は、そのようなお悩みを解消する方法をお伝えしていきます。
常に新鮮な情報が求められる社内報はマンネリ化しやすい
社内報は定期的かつ継続的に発行し、しかも他の広報ツールと比べても発行頻度が高いので、どうしても「マンネリ化」が起こりやすいツールです。
明確なニーズを持つ外部のターゲット向けに発行される採用案内や統合報告書、株主通信などの広報ツールは、掲載情報に基準や範囲があり、内容や見せ方にも継続性が求められる側面があります。しかし、社内報はそのような基準がなく、成果や効果についても他のツールと比較して抽象的です。基準もなく常に新鮮な情報が求められる社内報は、いかにマンネリ化させないかが課題となることが宿命とも言えるかもしれません。
マンネリ化防止の最初の一歩はマンネリ化の原因を知ること
そんな特性を持つ社内報に対して、まずは主なマンネリ化の内容を整理しましょう。
社内報のマンネリ化は大きく2つあります。
- 特集のテーマやネタが見つからない
- 定番のコンテンツや毎年行っている企画の内容や見せ方がずっと同じ
これらのマンネリ化を解消するために、まず「マンネリ化」の原因を見てみましょう。
特集のテーマやネタが見つからない3つの原因
「特集のテーマやネタが見つからない」ことによるマンネリ化は
- 毎号同じ人や同じ伝え方ばかりになる
- 前年以前と同じテーマや内容になる
- その両方
に集約されます。
これは、特集のテーマの決め方がかかわっています。
特集テーマの決め方 3つのパターン
- 理念や経営方針に基づいてテーマを考える
- 年間行事や季節に合わせて考える
- 特集のテーマの基準を特に定めていない
それぞれが、マンネリ化しやすい原因をかかえています。
理念や経営方針に基づく特集は、「見せ方」がマンネリ化しやすい
理念に基づいて特集テーマを決めると、理念や経営方針と直接関係することが条件となるため、どうしても経営層や事業トップのインタビューや、理念や経営方針をテーマにした社員の取り組み紹介、座談会などの企画になります。
その結果、登場人物が限定され、たびたび同じ人が登場したり座談会ばかりになったりしてしまいマンネリ化します。
年間行事や季節に合わせた特集は「切り口」がマンネリ化しやすい
季節や行事にあわせて特集を考えると、前年との違いをどうするかという点でマンネリ化を防ぐことに苦心することになります。
新年号は経営トップの年頭所感や役員のコメント、春は新入社員紹介、夏は6月の株主総会を受けて、新しい経営体制や役員紹介、決算、秋はその他のの重点テーマ(コンプライアンスや安全、ESG、SDGsなど)のように、毎年同じ特集になっている社内報は多いのではないでしょうか。
社内報の「季節」に関するネタについてはこちらへ
テーマだけを拠り所に考えるとマンネリ化する
特集のテーマの決め方を決めていない場合は、そもそも特集で何をテーマとするべきかを、その都度考えることになり、結果的に「これまでにやったことがない特集をする」ことが基準となってしまいます。その結果、先の二つのパターンを行ったり来たりしつつマンネリ化させないことが課題という、方向性やゴールがまったく見えない手探り状態での取り組みをされていると考えられます。
これらは、実は共通した問題を秘めています。
それは、テーマだけをもとにネタを考えているという点です。
経営理念や長期ビジョン、経営メッセージ、新入社員、決算、コンプライアンス、SDGsなどはいずれもテーマですが、テーマを基準に内容や見せ方を考えることは不可能なのです。
では、どうすれば良いのか。
それは「基準」を持つことです。
外部に向けた広報ツールには基準があることが多いです。例えば統合報告書は、会社の財務的活動と非財務的活動について、統合報告に関するフレームワークをもとに内容を検討していきますが、その根本には「株価や時価総額を向上し続けるために、社会からの信頼や投資家からの期待を高める」という発行よって得たい効果について基準があります。
社内報の場合はどうでしょうか?
特集のマンネリ化を防止する特効薬は「ねらい」
社内報の基準となるのはまず「発行目的」です。
発行目的には「経営理念の浸透」や「社員間コミュニケーションの活性化」「より良い企業風土や文化の醸成」などを設定されているかと思いますが、これらには目指すターゲットに与えたい心理的な状態が欠けている場合が多いのです。先の統合報告書の例でいうと「社会からの信頼や投資家からの期待を高める」に当たる部分です。
この、ターゲットに与えたい心理的な状態のことを「ねらい」と言いますが、これが設定されていないと「マンネリ化」が起こりやすくなります。
たとえば、発行目的が「理念の浸透」の場合、「どうすれば理念が浸透するか」と考えても答えは見つかりづらく、理念をかみ砕いて伝えようとして「経営者に語っていただく」「役員の体験をもとに伝える」、「成り立ちを歴史からひも解く」という企画になり、マンネリ化させないためのバリエーションとしてはすぐに限界を迎えてしまうのです。
そこで、必要になるのが「ねらい」です。
私たちは、社内報の究極の「ねらい」は「社員と組織を明るく元気にして成長を支える」ことだと考えています。
この「ねらい」と掛け合わせると、「社員と組織を明るく元気にして成長を支えるために、理念をどのように伝えれば良いのか」と考えられるようになり、「理念の伝え方」の点の発想から、「社員や組織の元気や成長と理念との関係」の線の発想へと転換できるわけです。
さらに、「発行目的」と「ねらい」に「読後感」を加えると、線の発想が面の発想になり、記事の書きぶりや見せ方も関係させながら考えられるため、発想の幅が広がります。
ちなみに「読後感」とは、その記事を見た人が、どのような感情を抱くかについてで、使命感や安心感、高揚感、緊張感、充実感など「〇〇感」で示します。
●参考記事:読まれる社内報づくりのコツ!企画づくりに必須の「読後感」とは?
https://labo.liaison-kikaku.co.jp/column/2020/07/20/post-516/
定番コンテンツは「アソビ」や「トレンド」でマンネリ化を防ぐ
「定番のコンテンツや毎年行っている企画の内容や見せ方がずっと同じ」マンネリに対しても、同じ考え方で解消することができます。
定番のコンテンツとは、職場紹介や製品の紹介、社員紹介、健康コンテンツ、ダイバーシティ推進、ESG、SDGs、CSR、社員投稿企画などです。
これも、先ほどの考え方と同様に、ねらいを掛け合わせることでマンネリ化を防ぐことができます。
この中でもっともマンネリ化しやすい職場紹介を例に考えてみます。仮にねらいを「社員と組織を明るく元気にして成長を支える」とします。
職場紹介は、職場のミッションや仕事の内容を伝えるだけではなく、たとえば戦闘ゲームになぞらえて、職場や職場で働く人の特性を「攻撃力」「防御力」「正確性」「成長性」「関係性」に分類したレーダーチャートにして紹介したり、動物や食べ物に例えたりしながら職場の特徴を語るなどのアイデアが浮かんできます。
毎年行っている、新入社員紹介や社員投稿企画などは、社員に紹介してもらう項目づくりが課題となりがちです。この場合も、ねらいや読後感を毎年少しずつずらしたり、それらに加えてその時々のトレンドなども加えていくと、マンネリ化は確実に解消されていきます。
実践 マンネリ化させない企画の考え方とまとめ方
では、ここまでご紹介した考え方で「理念」に関する特集のアイデアをご紹介します。
(仮定)
経営理念に「顧客第一」とある企業の場合
また、ねらいは「社員と組織を明るく元気にして成長を支える」とします。
STEP1 まず「ねらい」をもとに特集の切り口を掘り下げる
- 「顧客第一」をより詳しく知ることによって、誰もが理念を深く知り「ワクワク感」を得られる記事にできないか
- 抽象的に表現されている理念が、実は日々の行動など身近にあるんだと「親近感」が得られる切り口にして、「社員と組織を明るく元気にして成長を支える」ような「顧客第一」を伝えられないか
などと、掘り下げていきます。
すると、理念をどうかみ砕くかではなく、より社員に近い立ち位置でアイデアを探る思考になることにお気づきでしょうか? 経営者や役員、歴史による「解説」にとどまっていたアイデアの幅が広がる可能性が高まるのです。
こうして掘り下げた結果、以下のようにまとめられたとします。
テーマ:理念の浸透
ねらい:社員と組織を明るく元気にして成長を支える
読後感:実は日々の行動など身近にあるんだといった親近感
ここまでくると、どのような記事にしていけば良いのか、何となくイメージが見えてきたり、アイデアが出てきたりしないでしょうか?
STEP2 内容を具体化する
次にそのイメージやアイデアを言葉や文字に置き換えていき、内容を具体的に考えるプロセスへと進めます。
ここでは先ほど読後感に設定した「身近」という点に注目します。アイデアを深めていく際に注意するポイントは、例にあげた「顧客第一」のように営業だけがターゲットになりがちなものでも、さまざまな立場や役割の社員にとっても価値や効果のある、つまりすべての社員の元気や成長に役立つ記事にするためにはどうすれば良いかという発想で考えることです。
すると、営業以外の立場で企画を立てることはできないかという発想につながり、例えば
- 営業以外の職種の人に向けて、営業から顧客について語っていただく
- 営業以外の職種の人に、顧客をどのようにとらえてどのような考えや思いで取り組んでいるかを語っていただく}
- 営業以外の職種の人も含めて、日常生活で顧客の立場で感じたすごいサービスを募って伝える
などの案が浮かんできます。
STEP3 内容を具体化することで実現性をみて段取りを決める
一つ目の「営業から顧客について語っていただく」という案は、複数名の営業担当者に顧客のニーズだけではなく、顧客から得ている信頼や期待、課題を語っていただいたり、顧客との関係構築のプロセスや要点を紹介していただいたり、他の職種の方たちに「顧客とはどのような存在か」を伝えます。
二つ目の「営業以外の職種の人の顧客理解と取り組み」は、社内報担当者としては企画段階では想像の域を出ないので、まずは実態を知った上で企画の内容を具体化させます。そのために他部署や各職種のトップにヒアリングをして、企画の内容に関するアタリをつけて、記事の内容や展開を具体化していきます。
三つ目の「日常生活で顧客の立場で感じたすごいサービス」は、基本的には全社的なアンケートを実施して、記事のタネを集めることが多く、少し手間が必要になりますが、社員の身近にあるさまざまな体験を通じて、「顧客第一」を考えるきっかけとなる情報を伝えることができる、少し変化がありながらさまざまな気づきを生み出す可能性が高い特集を組むことができます。
テーマだけを頼りに企画を立てるとそのバリエーションには限界があるのですが、このようにテーマとともに「ねらい」を設定すると、先ほどの例では「親近感」に焦点を当てるだけでも、3つの方向性が生まれました。「ねらい」を少しかみ砕いてみることで、企画の幅や奥行は無限に広がっていくので、マンネリ化することはなくなるのです。
●参考記事:【withコロナ時代の社内報】企画を考えるためのポイント
https://labo.liaison-kikaku.co.jp/column/2020/06/02/247/
まとめ
いかがでしたでしょうか。他社の事例を見る機会が少ない社内報。マンネリ化を防ぐために、他社事例など参考を探すことは悪くはないのですが、それらを自社の社内報に応用することは意外と難しい場合もあります。むしろ他の広報ツールと比べて自由度が高い点に注目して、「ねらい」や「読後感」を定めることをルール化することで、お悩みを解消できる可能性が著しく高まります。ぜひこの考え方を取り入れて取り組んでいただければと思います。
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