“心に響かせる” 動画社内報づくりの撮影のポイント7選
Web版社内報の充実と並行して、動画版社内報(以下、動画社内報)が広く浸透してきています。
今では、スマホに十分な機能性を携えた動画撮影モードや、それをサポートしてくれるアプリが充実し、画質としてもプロ仕様の高価な機材との差を感じないほどきれいな映像を撮ることができるようになり、社内報で動画を取り入れることが、ますます容易になってきました。
とは言っても、仕上がりについて、プロが撮影・編集したものと比べると大きな差があるなど、スキル面では、まだまだ勉強が必要だと感じているご担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、動画社内報を作る際に知っておくと役に立つ、動画撮影のテクニックの着眼点についてお伝えしてまいります。
動画社内報の撮影で知っておくと便利な7つのポイント
動画社内報では映画やCMのような、ハイレベルで人を魅了するような美しい映像にする必要はなく、それを見る従業員たちも、そういったクオリティーを求めているのではなく、紙やWebといった文字中心の社内報とは異なる効果や、それらのツールでは伝えられなかったことを伝えることができれば十分なのではないでしょうか。
ただ、従業員の皆さまに、また見たいと思っていただける動画社内報を作るためには、一定レベルの動画の撮影や編集の技術が必要です。
そこで、まずは撮影に関する知識や技術の全体像を知っておくと便利な、以下の7つのポイントをお伝えします。
1. 撮影機材とレンズの効果
2. 撮影するカメラの位置
3. 撮影でのカメラの移動
4. 空間の使い方・活かし方
5. 場所や風景の活かし方
6. 照明のテクニック
7. 画面の構図・画角
撮影機材とレンズの効果
撮影に必要な機材は動画撮影用カメラのほかに、三脚や照明、カメラを手持ちで撮影する際に手ブレを防ぐ、ジンバルやスタビライザー、音声や環境音を収録するための指向性マイクや集音マイクがあげられます。
これらはいずれも、映像や音声を鮮明かつ安定的に収録するための機材となります。映像のクオリティーを高められるためにはまず、これらを順次取り揃えていくことをおすすめします。
可能であればカメラはミラーレス一眼のようなレンズ交換可能な動画撮影にも適したカメラを手に入れると、映像の見栄えや印象を変えることができるようになります。
また、広角と単焦点の二つのレンズがあると、映像表現に差をつくることができるようになります。
広角レンズはその名の通り画角を広く撮影できるほか、被写界深度と言って、その場所の手前から奥までをピントをあてて、その場を広く、深く、しっかり写すことができます。
それとは逆に単焦点レンズは被写界深度が浅く、これによって焦点をあてている前後は、ぼやけた映像となり、被写体を際立たせた、象徴的な印象を醸し出す映像を撮ることができるようになります。
撮影するカメラの位置
スチール写真と同じように、動画もカメラ位置を工夫することで、映像から受け取る印象を意図的に生み出すことができるようになります。
主な位置としては、ハイアングルやローアングルで撮る方法や、正面からや斜め前からといった手法などがあります。
カメラ位置を変えることで、日常とは異なる目線で被写体を写すことができるため、見る人に非日常的な視点や体験を提供することができます。
その他にも、クローズアップや超クローズアップといった、被写体にできる限り寄って撮る方法や、ポイントオブビューと言って、動画の登場人物の語り手の目線で撮ったり、向かい合って会話をしているシーンで、聞き手の肩越しから語り手を撮る方法など。撮影時のカメラ位置を考える一つとして知っておくと、映像のバリエーションも増えます。
撮影でのカメラの移動
動画は写真とは異なり、被写体のさまざまな動きを見せることができます。被写体だけではなく撮影する側も動きながら撮り続けることも可能ですので、それらのバリエーションを知っていると、映像の見せ方の幅が大きく広がります。
まずはカメラの移動の方法として「固定ショット」があります。こちらは三脚などでカメラを固定しながら撮る方法で、これもバリエーションの一つとして知っておくことをおすすめします。
次にカメラを移動させて撮る方法の基本として「パン」と「スライド」があります。パンは三脚で固定したカメラを左右に振る取り方、スライドはカメラを真横にスライドさせて撮る方法。スライドは三脚につける「スライダー」という機材を用いると、カメラをスムーズにスライドさせて撮ることができます。
また、ティルト・アップと言って、カメラを足元から上方向にスライドさせて撮る方法や、上から下へ降ろしていくティルト・ダウンがあります。これらはいずれもレンズの方向と地面とを平行に保ち続けながら撮ることがポイントです。
最近ではドローンを用いた撮影も安価かつ容易に行えるようになったため、超ハイアングルや、距離の長いティルトアップ・ティルトダウンの撮影もしやすくなりました。
上述以外にも、映画のようにレールの上にトロッコのようなものを乗せて撮る方法や、ベルトコンベアやエレベーターといった工場や社内にある設備の上に載せて移動させながら撮る方法があったりと、カメラを移動させる方法は工夫次第でいろいろと試せますので、まずは固定を基準にしてさまざまな撮り方をして、撮った映像からどのような印象を受けるかを見て、感じてみることをおすすめします。
動画社内報を作成するにあたって予め知っておくべき法律やルールについてはこちらへ
空間の使い方・活かし方
映像を見て人が感じる共通の感覚を活かす撮り方は、レベルが少し高めの手法になりますが、人を撮る際に知っておくと役立つ考え方です。
例えば、登場人物が画面の左側から右側へ歩くと違和感がないけれども、その逆だとやや違和感があるといったことや、左右に分かれた人が向かい合っている映像では、その二人が親しい関係というよりも対立している関係に見えてしまうといったものです。
こうした、些細ではあるけれども誰もが持つ共通の感覚を活かすことを、動画撮影においては空間を活かすと言います。
基本的にはいずれも、画面のヨコ軸とタテ軸、そして奥行き軸の3次元の軸で、被写体の動きや立ち位置を、右と左、上と下、手前と奥で見たり、それらの軸を基準にして、その軸から被写体を唐突にずらすといったアクセントを加えるといったような考え方で、見る人の感じ方を設計していきます。
場所や風景の活かし方
動画では、動いていない被写体も、背景に何らかの動きがあると、何も動かない映像よりも長く見ることができますし、映像に表情が生まれます。
そのほか、被写体となる人物が歩きながら語るシーンでは、背景が被写体とは逆の方向に動き、背景そのものや動くスピード、明るさ、被写体の足音や木の葉がすれる音、風がマイクにあたる音などの環境音によって、被写体が語る内容に対する印象も変わります。
また、シーンのつなぎ目に「インサート」と言われる短時間の映像を挿入して、見る人を惹きつけたり、映像で伝えたい意図や意味を引き立てたりしますが、場所や風景などはインサート用動画としても効果的な素材となります。
照明のテクニック
照明は撮影する場所や被写体を明るく鮮明に映すために用いることはもちろん、使い方によって映像の効果を高めるといったことにも役立つ機材です。
一例として有名な方法を幾つかご紹介します。
まずは一般的な「テレビライティング」です。これは、テレビスタジオのように、全体を明るくして映像を鮮明にする方法。
続いて「レンブラント・ライティング」。こちらは照明によってその場の明るさにコントラストをつけるテクニックで、被写体に横から強い光をあてることで、光のあたっていない場所や背景などを暗くし、意味深な雰囲気やドラマティックな印象を醸し出します。こちらの名称は有名な画家「レンブラント」の絵画技法からつけられています。
ほかにも自然光や撮影場所に元から備えられている照明の光を活用する照明テクニック「モチベーテッド・ライティング」や、それとは逆の「アンモチベーテッド・ライティング」という被写体や撮影する場所をあえて暗いままにして撮る方法などがあります。
上記以外にもほのかに揺れる炎を光として用いたり、被写体に照明器具、あるいは懐中電灯やスマホの光を動かしながらあてることで、動かない被写体の存在に意味を与えたりするなど、光や照明のテクニックは映像の質や価値を各段に高めてくれる可能性を秘めています。ぜひいろいろと試してみてはいかがでしょうか?
画面の構図・画角
動画では基本的に、スチール撮影のようなトリミングを踏まえた撮り方は行わず、撮影時、あるいは企画段階から撮影シーンの構図や画角を確定しておいたり、撮影時にいくつかの構図や画角でのパターンで撮影をする必要があります。
動画で伝えたいことを適切かつ効果的に伝えるという意味でも、画面の構図・画角は非常に重要となってきます。
主なものとしては、一点透視や二点透視、三点透視といわれる、被写体とその背景を撮影する立ち位置との関係性があります。
一点透視は対象物を真正面から撮る構図。二点透視はカメラの傾きを地面に平行にして、被写体の斜め前から撮る構図。三点透視はカメラの傾きを地面に対して斜めにするなど角度をつけて、被写体の斜め前から撮る方法です。
上述の「撮影するカメラの位置」でもお伝えした通り、モノを見る場所によって、その見え方が変わることにより、伝わる内容や効果も異なりますので、ぜひこの点にも着目してみてください。
そのほか、均衡・不均衡といって、左右対称あるいは非対称にすることで生み出される、見る人の心理的な作用を利用したり、普段は見ない方向や位置から撮る方法、普段の認識とは異なるサイズ感で撮る方法などの工夫を加えることで、見る人の興味をぐっと惹きつけることができたり、言葉では表現できないようなダイナミックさ、あるいは繊細さといった感情的な表現も可能となります。まずはいろいろな映像を見たり、自ら撮影して、それを見て感じたことを記録したりしながら、映像表現の幅を拡げたり、レベルを高めたりすることをおすすめします。
まとめ
動画は社内報にも非常に有効で、これまで紙版やWEB版では不可能だったコミュニケーションができる可能性を多いに秘めていると思います。
また、以前よりも容易に撮影・編集ができるようになったことはもちろんですが、見る側の動画との親和性も社会的に、以前とは比較にならないほど高まっています。
さらには、スマホで自ら動画を撮影して、スマホのアプリを使って編集するといった人も、動画形式のSNSの流行などをきっかけに、飛躍的に増えてきています。
こうした背景を踏まえて、社内報の効果を高めたり拡げたりするために、今回の記事が少しでもお役に立つと嬉しく思います。
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