社内報のフォーマットやテンプレートの作り方
社内報制作に関する業務の生産性を高める上で欠かせない考え方に、「フォーマット」や「テンプレート」というものがあります。
フォーマットとは「型」や「書式」、「形式」、「体裁」を表す言葉で、テンプレートとは、使用する目的や意図に基づいて作成されたフォーマットのことを指します。
今回の記事では、社内報のテンプレートを作成するためのポイントや、フォーマットの考え方、取り入れ方についてお伝えします。
社内報のテンプレートは企画の趣旨に基づく「マニュアル」のようなもの
業務の生産性を高めるためには、目指す成果や価値に対して、労力や技術、費用、時間などを、できる限り効率的に活用することが求められます。
それは、社内報の制作に関する業務においても同じで、会社として全従業員に伝えるべきことを、適切に伝わるようにすることを目的として、労力、技術、費用、時間を、いかに効率化するかが課題となります。
そして、この課題を解決するために欠かせない考え方や方法のひとつとして、フォーマットやテンプレートがあげられます。
テンプレートやフォーマットを作るために押さえておくべき考え方
テンプレートやフォーマットを作る上で最も重要なポイントは、作り手である皆さまと、読み手である従業員の方々とのコミュニケーションを、最適化、最良化することだという点です。
上述の通り、社内報におけるテンプレートやフォーマットは、他の業務のマニュアルと同じだという点です。
業務マニュアルは、その業務による成果や価値を受け取る相手が求める品質や効果に基づいて、定められた労力や技術、費用、時間を効率的に用いるための方法が示されたものです。
つまり、業務による成果や価値の届け手と受け手のコミュニケーションのためにあるとともに、そのコミュニケーションを最適化、最良化するためのものだとも言えます。
社内報のテンプレートやフォーマットも、同様に業務効率や生産性といった点はもちろんですが、何よりもまず、会社として全従業員に伝えるべきことを、適切に「伝わる」ようにするために、業務の成果や価値を受け取る相手である全従業員の方々が期待する品質や効果をもとに作成するといった、社内報の作り手と読み手のコミュニケーションを起点に考えることが最も重要なポイントとなるのです。
冊子版は全体のフォーマットを定めて各コーナーのテンプレートを作成する
冊子版は、まず全体のフォーマット…つまり「型」や「書式」、「体裁」を決めていきます。
従業員の皆さまにとって、その冊子がどのような意味や役割を持っているツールだと感じてもらいたいのかといったことをもとに、そのためにはどのような見え方になることが望ましいのかを考えながら決めていきます。
例えば、従業員の皆さまが冊子版社内報に期待することが、会社や経営者の考え方を知るためのツールだという点にあるとすると、少しでも経営者と従業員との距離感を縮めるために、経営者の意向や従業員との接し方として大切にされている考え方に基づいたトーンが望ましいとの答えになります。
一方で、従業員の皆さまが社内報に対して、従業員同士のヨコのつながりを感じることができるツールだという認識や期待を持たれているとすると、掲載する内容が経営メッセージが中心となる場合でも、冊子全体としては少し柔らかくてカジュアルなトーンが望ましいといった考え方が必要となります。
このような考え方で冊子全体のトーンの方向性を考えて作成します。そして次に、各コーナーのフォーマットを、各コーナーの企画の趣旨や掲載する情報の種類(要素)などを加味して、冊子全体のフォーマットを頼りにテンプレートを作成していきます。
Web版のフォーマットやテンプレートはサイト全体のテーマとともに考える
Web社内報は冊子版とは異なり、さまざまなコミュニケーション機能が付け加えられたり、コンテンツ間の連動性を持たせたりすることができます。
一方で、冊子版と同じ考え方でフォーマットやテンプレートを作成すると、メンテナンスやセキュリティなど、後々たくさんの問題が出てくる可能性があります。
そこでおすすめする方法は「テーマ」という、Webサイトの見栄えやトーンといったデザインだけでなく、Webサイト全体の構成や骨格、機能まで反映された、高品質なWebサイトを効率的に作成するテンプレートを用いて、それをカスタマイズする方法です。
もちろん、これらを内製で行う会社もありますが、Web制作に関する専門的な技術が必要となりますので、通常は社内報制作をサポートしている外部業者や、Web制作業者との協業が一般的です。
動画版はカテゴリーごとにシナリオや展開をフォーマット化する
動画版社内報の場合は通常、Web版社内報のコンテンツとして扱ったり、イントラネットのポータルに組み入れたりしますので、冊子版やWeb版のように、動画版全体としてのフォーマットやテンプレートを用いることは、あまりないかと思います。
フォーマットやテンプレートは作り手と読み手のコミュニケーションだとお伝えしました通り、冊子版やWeb版社内報は、フォーマットやテンプレートを最適なものにすることで、読者が全体や各コーナー、各コンテンツをさらっと見渡すだけでも、どのようなメッセージが伝えられているのかをイメージさせることができます。
けれど動画版の社内報の場合は、全体という枠組みもなく、加えて配信するそれぞれの動画についても、中身を見なければ何を語ろうとしているのか、何を伝えようとしているのかが、読者には伝わりません。
そこで、動画版のでは、サムネイルやサムネールといった画像の雰囲気を、カテゴリーごとにフォーマット化することのほか、カテゴリーごとに動画のシナリオや展開をフォーマット化し、それを各カテゴリーのテンプレートとして使用します。
こうすることで、見る側にとっては見る前から凡その展開やメッセージの方向感を、過去に配信された動画との連動で想像することが可能となり、その動画を見る前にイメージしたり期待したりしていただけるようになります。
テンプレートやフォーマットを用いるデメリットとその解消方法
最後に、テンプレートやフォーマットを用いるデメリットとその解消方法についてお伝えします。
テンプレートやフォーマットを用いることによる最も大きなデメリットは、誌面が「マンネリ化」することです。
テンプレートやフォーマットをある程度の期間にわたって使い続けると、見栄えが変わらず、読み手が飽きてきてしまう可能性があります。
それを解消する方法が、定期的なマイナーチェンジやリニューアルです。
他の業務で用いられているマニュアルも、定期的にメンテナンスを行ったり、状況に応じて改訂したりしますが、社内報のテンプレートやフォーマットも、定期的に見直していくことで、マンネリ化を防ぐ必要があります。
その期間として、マイナーチェンジは年に1回、リニューアルは企画の内容や全体の構成も含めて、3年程度が一般的です。
まとめ
フォーマットやテンプレートはマニュアルと同じだとお伝えしましたが、もう一つの考え方として、スポーツで言う「ルール」だと考えていただけると、その意義や効果をもっとイメージしていただけるのではないでしょうか?
スポーツは参加者共通の取り決めであるルールがあるからこそ、それぞれの技が磨けたり、それを前提にチームとしての戦略や戦術を練るなど、個人やチームの「質」の向上や、パフォーマンスのレベルアップを図ることができるようになります。
ぜひ、今回お伝えした考え方や方法を、社内報の品質の向上や、愛される社内報にするための工夫、皆さまの業務レベルの向上に活かしていただけると嬉しく思います。
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