社内報コラム

【はじめての社内報制作】 第9回 読まれる社内報にするための写真と撮影

【はじめての社内報制作】 第9回 読まれる社内報にするための写真と撮影

はじめて社内報を担当することになった皆さんへ。

シリーズ はじめての社内報制作は、皆さんが楽しく自信を持って社内報制作に取り組めるようサポートすることを目的に、社内報制作の基本から、読まれる社内報にする秘訣までを、できる限りわかりやすく解説してまいります。

写真は記事に読者を引き込むコミュニケーションの「武器」

<上司>最近の社内報は内容も見た目も良くなってきたんじゃないか?

<山田>ありがとうございます!(とは言ってみたものの、写真がまだまだイマイチなんだよな・・・。)


写真には、言葉よりも早く、読者の感覚に働きかける力がある

<博士>確かに、写真はまだまだじゃのう。

<山田>わっ!びっくりした!!!!

 

<博士>そんなに驚かなくても、さっきから隣におったわい。

<山田>(そうだったっけ?)博士、また相談しても良いですか?

 

<博士>うむ。遠慮せずになんでも聞いてこい。

 

<山田>ありがとうございます。

上司から社内報の内容や見た目を褒められるようになったんですけど、写真が同じような雰囲気のものばかりになってしまうんです。

 

<博士>確かにこの写真だと、まるで文章の「添え物」にしか見えんわな。

<山田>そう言われると、ちょっとキズつくんですけど、確かにその通りです・・・。

 

<博士>社内報の写真は、文章を補うための素材だと考えておらんか?

<山田>と言うと?

 

<博士>あのな、写真は読者の目や興味を記事に瞬時に引きつける導線なんじゃよ。

つまりは、誌面に配置するいろいろな素材を役者に見立てると、写真は芝居の内容よりも先に、観客に見たいと感じさせる「主演俳優」のような役割を果たしてくれるもんなんじゃ。

<山田>主演俳優……?写真ってそんなに重要な役割を持っていたんですね。

 

<博士>うむ。写真には「言葉よりも早く、読者の感覚に働きかける力」があるんじゃよ。

 

<山田>読者の感覚に働きかける力・・・。

<博士>そうじゃ。

例えば「面白そう」「なんだか気になる」といった、最初の感情をつくってくれるというのが、写真の大きな役割の一つなんじゃよ。

誌面や記事から読者に「何を感じてほしいのか」を考える

<山田>確かに、紙の社内報のページやWebの画面を開いたときに、読んでみたいと感じるかどうかといったことや、「これは何の記事かな?」といったことを感じるきっかけって、ほとんどが写真やイラストといったビジュアル素材ですね。

 

<博士>その通りじゃ。

社内報の写真には、他にもいろんな役割があるんじゃ。

1. 記事の第一印象を決定づける

記事の「空気感」や「トーン」を瞬時に伝える。

 

2. 読者の感情を揺さぶり、共感を促す

表情や場の雰囲気といった文章では伝えられない「印象」を伝える。

 

3. 記事の信頼性や説得力を補強する

文字やイラスト、図では表すことができない「真実」を伝える。

 

4. 記事に深みや奥行きをつくる

写真を見た人が自由に何かを感じ取るための「余白」を演出する。

<山田>一つ目のポイントは先ほどの「主演俳優」のことですね?

<博士>そうじゃ。

 

<山田>あとの三つは、文字やその他の要素では表現できないことを写真が担うということですか?

 

<博士>その通りじゃ。

写真には、文章や図で「説明する」のとは違って、何かを「感じさせる」といった素材と考えると、わかりやすいんじゃないかのう。

 

<山田>確かにその通りですね。

どれも文字などで叶えるのは難しいことばかりです。

 

<博士>そうじゃ。

つまり、どんな写真を載せるのかを考えたり、あるいはそのためにどんな写真を撮れば良いのかといったことを考える前に、まずはこの誌面や記事から読者に「何を感じてほしいのか」を考えることが大切なんじゃよ。

撮る前に「意図」をきっちり整理する

<山田>そういった考え方で今の社内報の写真を見てみると、例えば「みんなで並んで立っている」だけの記念写真のようなものや、「仕事をしているシーン」みたいな、何かを説明しようとしている写真ばかりのように感じます。

 

<博士>そうじゃな。ただ、そういった写真も全部が「悪い写真」というわけではないんじゃ。

ただ、そればかりだと「何も感じない」ような誌面になってしまいがちなんじゃ。

 

<山田>何も感じないような誌面だと、記事を読んだ人の記憶に残ったり、深い共感を得たりすることって難しいですよね?

 

<博士>そうじゃな。

その他にも、こんな写真に心当たりはないかの?

・背景がごちゃごちゃしていて撮影対象がわかりづらい

・みんなが笑顔で写っていて本当の感情が見えない

・場所を広く撮った写真ばかりで全体的に漠然としている

・1枚の写真の中に見せたいものがたくさん写っている

<山田>はぁ・・・全部、身に覚えがあります。

<博士>ただ、これは誰もがいずれぶつかる壁なんじゃよ。

<山田>壁ですか・・・。

その壁を乗り越えるためには、やっぱり撮影のテクニックを身につけていかないといけないんでしょうか?

 

<博士>いや、テクニックの前に必要なことがあるんじゃよ。

<山田>テクニックの前に必要なこと?

 

<博士>そうじゃ。

何が必要かというと、何を撮りたいのかといった「意図」を考えて、きっちり整理しておくことじゃ。

写真を撮る前に押さえておきたい5つのポイント

<博士>具体的には、例えばこんなことを意識するだけで、写真は劇的に変わるぞ。

1. 誰にどんな雰囲気を届けたいか?
読者像を思い浮かべて「この写真から何を感じてほしいか」を定める。

2. 何を、誰を撮りたいのか?
読者に「これを見せたい」といった主体や主役を定める。

3. どんな「感情」を醸し出したいのか?
伝えたい「感情」を表現するための表情やしぐさを定める。

4. 「邪魔」なものが写り込まないか?
見せたいことを妨げるものがないように状況や環境を整える。

5. 誌面にどのように配置しようとしているのか?
撮影する写真と誌面に配置する他の素材との関係の中での役割を明確にする。

<山田>つまり撮る前の段取りが大事ということですね?

 

<博士>そうじゃ。

カメラの機能や構図のテクニックよりもまず、「この写真で何を伝えたいのか」といった意図をはっきりさせることが、すべての出発点なんじゃよ。

ついでに言うと、撮影のテクニックは、伝えたいことを伝えるためのもので、テクニックが身につけば、社内報にとって最適な写真が撮れるようになるというものでもないんじゃよ。

 

<山田>つまり、伝えたいことが目的で、テクニックはそのための手段ということですね。

<博士>その通りじゃ。

良い写真が撮れるようになる5つの基本テクニック

<山田>肝に銘じておきます。

とは言っても、伝えたいことを明確にしたり、その準備をしても、やっぱりテクニックがないと、それをカタチにすることはできないでしょね。

 

<博士>確かにそうじゃな。

<山田>ただ、写真はその道のプロがいるくらいなので、簡単には身につかないんじゃないですか?

<博士>そうじゃな。

なので、まずはこの5つの基本テクニックをしっかり守ることから始めると良い。

1. 撮影者自身が動いて撮る
斜め・上・下・寄り・引きなど、さまざまな位置から撮影してみる。

2. 被写体の動きを捉えにいく
会話中や作業中の自然な動きが生まれる状況を作って撮り続ける。

3. 声がけで表情を引き出す
世間話で自然な表情を引き出しながらシャッターをたくさん押す。

4. 撮る枚数を惜しまない
不必要な写真は後で削除すれば良いと考えてたくさん撮る。

5. 自分の感情を大切にする
「良い写真が撮れた」といった手応えやその時の気持ちを大切に持っておく。

<山田>プロのようなテクニックがなくても良い写真が撮れそうな気がします。

紙の社内報とWeb社内報の写真の違い

<山田>ところで、最近はWeb社内報も作っているんですけど、紙の社内報とWeb社内報で、写真の役割や撮り方の違いってあるんですか?

 

<博士>基本的な考え方は共通じゃが、媒体ごとに注目すべき点も違う。

以下を覚えておくと良いぞ。

【紙社内報】

・記事は写真から見られることを想定しておく

・見る写真と知る写真を区分けする

・トリミングすることを考えて撮る

【Web社内報】・縦スクロールの流れを意識する

・紙の社内報以上に文章との関係を重視する

・端末ごとの表示サイズを考慮して撮る

<山田>なるほど。

Webだとトップで一覧表示にも使うので、そこも意識しないといけないんですね。

 

<博士>そうじゃな。

基本は同じなんじゃが、紙の社内報とWeb社内報では、写真の内容も撮り方も、少しずつ違うんだということを知って、いろいろと試してみることが大切じゃな。

一瞬で「この記事を読んでみたい」と感じる写真を選ぶ

<山田>ところで博士。最後に、良い写真の選び方についておしえてもらえないですか?

<博士>それは至ってシンプルなんじゃ。

その写真を見たその一瞬で、「この記事を読んでみたい」と感じる写真を見つける。

それこそが良い写真を選ぶコツなんじゃよ。

 

<山田>つまり、読者にとっての「記事の入り口」としての役割が果たせるかを、自分の目で確かめるということですね?

 

<博士>そうじゃ。写真は見出しやリード文と同じように、読者を記事やその内容に誘い込むための、コミュニケーションの「武器」なんじゃよ。

 

<山田>本当に武器のように、今日の話をしっかり自分のものにすることができると、社内報を作っていく時の大きな自信にもなりそうです。

<博士>それは良かった。

写真は「説明」するための素材ではなく、読者の「感情」を一瞬で動かすための素材。

そこを押さえれば、社内報はもっと読まれ、もっと届くようになるんじゃよ。

 

<山田>ありがとうございました!

 

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