プロの手を借りないで作る動画社内報の始め方
社内報で動画を取り入れる会社が急速に増えてきています。
動画を取り入れる目的は各社さまざまですが、共通する点としては、担当者自ら撮影して編集し、Web版の社内報に掲載するといった方法が一般化しつつあります。
そこで今回の記事では、プロの手を借りることなく、社内報に動画を取り入れるためのポイントや方法についてお伝えしてまいります。
社内報に動画を取り入れるメリットと注意点
社内報に動画を取り入れるお話を進めるにあたって、まずはそのメリットと注意するべきポイントについてお伝えします。
まずメリットですが、動画は冊子やWebと比べて、「印象」や「雰囲気」といった、言葉では語り得ない情報を伝えることができる点があげられます。
さらに、見る人の情緒にダイレクトに響く効果が期待できることも大きなメリットと言えます。
一方で注意点としては、印象や雰囲気を考えずに作られた動画や、見る人の情緒に響かない動画は、最後まで視聴されない可能性が極めて高くなります。
社内報で動画を取り入れるテーマと掲載方法
社内報で担当者自身が撮影し、編集する場合のテーマは主に、社長メッセージ、職場の紹介、新製品やサービスの紹介、ノウハウ紹介などがあげられます。
もちろんプロの手を借りて作成することも可能ですが、これらのテーマはいずれも、高いレベルや質よりも、どれだけたくさんの数を速やかに公開するかが重要となりますので、自身で撮影および編集することが望ましいと思われます。
それらの動画については、通常はWeb版社内報に掲載します。
掲載方法について、これまではWeb版社内報の記事の中に組み入れることが多かったのですが、最近ではコンテンツメニューの一つとして動画チャンネルを設けたり、Web版の内報とは別のサイトに動画社内報のチャンネルを設けたりするケースも増えています。
動画社内報の企画は絵コンテで視覚化する
動画の企画は、冊子版やWeb版のコンテンツを企画するときと同じように、目的やねらい、内容、ストーリー展開のほか、冊子版やWeb版での「読後感」と同じように、「視聴感」を考えます。
そして、動画ではそれらを「絵コンテ」というもので書き表していきます。
絵コンテとは、冊子版の台割やページ構成、サムネイル、記事のプロットと同じように、動画の内容や展開をシーンで区分けし、シーンごとの意図や見せ方を文字と簡単なイメージ画で視覚化するものです。
絵コンテを書く手順や内容は以下を参照してください。
絵コンテを書く手順と内容
・ストーリーを内容やシーンで区分けする
・シーンごとに、そのシーンの内容や意図を記す
・シーンごとに文字とイメージ画で伝える内容や見せ方を記す
・シーンごとにナレーションやインタビューのコメントの概略を加える
・シーンごとに撮影方法や撮影の段取りを記す
・シーンごとの編集計画やテロップの概要を記す
・シーンごとの時間配分を記す
・その他の補足事項や留意点などを記す
動画社内報の企画で考えることとしてはこれらのほかに、冊子版やWeb版にはないものとして、BGMがあります。
BGMは作る動画で醸し出す印象や雰囲気といった「視聴感」はもちろん、動画の編集にも大きく影響しますので、企画の段階でしっかりと考えて、どの曲を使用するかを決めておくことが大切です。
動画社内報の撮影に必要な機材は5つ
動画社内報の撮影は、企画で考えた絵コンテの内容や方法をもとに進めていきます。
ただ、社内報の動画撮影はロケハン(ロケーションハンティング)といった、撮影する現場を事前に確認したり、リハーサルをしておくことが難しい場合が多く、撮影する時間も限られていることが多いため、手際よく撮影することが求められます。
そこで、動画社内報の撮影で大切なことは、身軽に動けるように撮影機材はできる限り少なくしておくことと、それらの機材を使えるように、予めトレーニングをしておくことです。
また、動画撮影の機材のなかには、美しい動画を撮影するための機能などが充実しているものが年々増えてきていますが、動画社内報の場合は、あまり多くの機能を必要としないので、最初は、使い方がわかりやすいものを揃えることをおすすめします。
そういった観点を踏まえて、動画社内報の撮影のために、最初に揃える機材は5つです。
・動画撮影用のカメラ
・三脚
・ジンバル(スタビライザー)
・単一指向性マイク
・動画撮影用LEDライト
動画撮影用のカメラは種類が多く、どれを選べば良いのか迷いますが、フルHDの撮影が可能であれば問題なく動画社内報を作ることができますので、最初はスマートフォンのカメラでも十分です。
むしろスマートフォンのカメラの方が使いやすく、簡単にきれいな映像が撮影できますのでおすすめです。
あるいは既に使用されている一眼レフのカメラも、動画撮影が可能なものが多いので、それらを併用しても良いと思います。
その他、動画撮影用のカメラには高性能なものや、一眼レフのレンズを使用できるもの、アクティブに使えるアクションカメラなどがありますが、これらは最初は使いこなすことが難しいので、動画社内報の充実を図る過程で揃えていくといった考え方で問題ないと思います。
その他の機材として、三脚や単一指向性マイク、動画撮影用LEDライトなどは、予め揃えておくと便利です。
特に単一指向性マイクは、インタビュー動画を撮影する際には欠かせませんので、最初に揃えておくと良いと思います。
そうしたなかで、ぜひ手に入れてほしい機材が「ジンバル(スタビライザー)」です。
ジンバルとは、手持ちの三脚のようなもので、手振れを防いだり、歩きながらの撮影でもブレの少ない滑らかな動画を撮影したりするためには欠かせない機材です。
動画社内報は職場紹介など、歩いて撮影する機会が多いので、ぜひ手に入れて使いこなせるように、予めトレーニングすることをおすすめします。
またスマートフォンを用いて撮影する方法もあります。スマホによる撮影方法やポイントについてはこちらへ
動画社内報の編集はテロップが決め手
撮影が終わると、それを動画にしていくための編集作業となります。
動画編集は企画の内容をもとに、BGMのテンポやリズムに合わせて、撮影した映像をつないでいく作業となります。
そして、その作業が終わると、各シーンにテロップを入れていきます。
動画社内報は、インタビューを受けていただいた方が話す内容のみならず、話す声やトーンなども伝えられることが、冊子版やWeb版にはない魅力であり、これこそが社内報に動画を取り入れる意義といっても良いと思います。
けれども、話す内容は音声だけでは見る側に十分に伝わりづらかったり、インタビューを受けていただく方の言葉が聞き取りづらかったりすることもありますので、必ずテロップを入れて、そういった点をフォローします。
つまり、動画社内報を有益な情報ツールにするためには、魅力的な映像のみならず、テロップが極めて重要な要素だということを押さえておきましょう。
また、見られる動画にするためにはサムネイル画像が欠かせません。ここで言うサムネイルとは、冊子版での手描きラフではなく、動画の表紙にあたる画像です。
YouTubeでも「サムネイル7割」と言われるくらい、その動画が見られるかどうかのカギを握っているのがサムネイル画像です。
動画社内報の編集でも、この考え方を用いて、動画の内容だけではなく、従業員の皆さまの興味や関心を惹きつけるサムネイル画像を作成しましょう。
編集した動画をエンコードして完成
企画、撮影、編集を経て完成した動画は、最後にエンコードといって、掲載や収録するものに合わせたファイルに書き換える作業を行います。
エンコードは通常、編集ソフトの機能を用いて自動的に行いますので、それほど複雑な作業ではありません。
ただ、エンコードとは冊子版の印刷のようなものですので、編集した動画が正しく、問題なくエンコードされているどうかを、しっかりチェックする必要があります。
ときにはBGMが反映されていなかったり、動画とBGMがズレていたり、動画の途中に乱れが出る可能性もありますので、エンコードしたら終わりではなく、最後にしっかり確認をし、さらにはアップロードしたときも、しっかり安定して動くかどうかを確認してから公開するようにしてください。
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まとめ
動画社内報は一つのコンテンツ内での情報の豊かさといった点や、情報が伝わるスピード、伝わり方の深さといった点で、冊子版やWeb版の社内報を圧倒します。
加えて、動画を撮るための機材や編集ソフトは年々充実し、安価なものでも十分な性能を持つようになってきています。
見る側の視点としても、高度に完成された動画だけではなく、手作り感のある動画でも違和感なく、むしろ手作り感のある動画を、興味を持って見るような状況になってきています。
そして、何よりも動画によるコミュニケーションに対する期待は、ますます大きくなってきています。
ぜひその可能性や機会をとらえて、社内報にも迷うことなく取り入れて、社内のコミュニケーションをより豊かなものに膨らませていくことをおすすめします。
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