社内報コラム

【読まれる見出しの基礎知識1】「見出しづくり」が身につく6つのステップ

【読まれる見出しの基礎知識1】「見出しづくり」が身につく6つのステップ

読まれる社内報に欠かせないポイントの一つが「見出し」です。この「見出し」のつくり方については、お悩みをお持ちの方がたくさんいらっしゃいますので、複数の記事にわけてじっくりお伝えしていきます。

 

見出しづくりに必要なのはセンスではなく考え方

もっと読まれる社内報にするための改善のポイントは、1)テーマや企画など「内容」に関係すること、2)文章や見出しなど「伝え方」に関係すること、3)デザインや写真など「見せ方」に関係することの3つにわけることができます。

内容や見せ方に関することは、制作会社に相談したり、セミナーに参加したり、コンペを開いて提案を受けたりすることで解決の糸口を手繰り寄せることができます。

しかし、伝え方に関すること、なかでも特に「見出し」はさまざまな方法で勉強してもなかなか解決策を得られないことが多いようです。理由としては、本やセミナーから得られるノウハウが限定的だったり、そもそも教えてくれる場が少なかったり、内容も不十分だったりと、自助努力で解決することが難しいことがあげられます。また、記事の内容を短い言葉で端的に言い表す、テクニックだけではなくセンスや幅広い表現力が必要で、段階的にスキルを身につけることが難しい点も理由の一つかと思います。

ところが、見出しづくりは一定の知識さえあれば、劇的にレベルアップすることが可能です。ですが、本やセミナーなどの情報は、テクニックなどの方法論や断片的なスキルしか語られておらず、知識や概念についての情報がほとんどないのです。

見出しづくりのスキルを高める方法

どうすれば見出しをつくるスキルが身につくのか。

それには、次の6つのステップを踏むことをおすすめします。

「見出しづくり」が身につく6つのステップ

①考える手順を知る
②役割を知る
③種類と活用法を知る
④考え方と事前の準備を知る
⑤テクニックを知る
⑥見せ方を知る

これら6つのステップについて次回以降の記事で詳しくご説明していきます。今回の記事ではまず概要をお伝えしています。

①考える手順を知る

見出しを考える手順として

  • 本文を書いてから考える
  • 本文を書く前に考える

の2パターンに分かれると思います。

ところが、この2つの手順が、見出しが書けない、難しいと感じる原因になっています。それは、すでに記事に関する膨大な情報を得ているために、見出しとしてシンプルに表現したり、抽象化したりすることが難しくなってしまっているからです。そうなると、あれも言いたい、これも伝えたいと気持ちが先に立ってしまい、たくさんの情報の中で迷子になってしまうのです。

それを解決する方法は手順を変える、つまり見出しを考えるタイミングを変えることです。

見出しを考えるもっとも望ましいタイミングは、文章を書く工程や取材を行うよりもはるか前、企画を立てているときか、その前の企画の構想を練っているときです。

なぜなら、見出しは、読者に何を伝えるのか、読者にとってその情報がどのような価値やメリット、意味があるのかを表現するパーツだからです。見出しは文章を端的に要約するものという考え方に縛られてしまうことが、見出しづくりでの悩みが解消されない原因となっているのです。

「見出し」とは、文章を端的に要約したものではなく、情報を伝える側の意思や意図を読者に示すパーツであると理解しましょう。そのために、見出しを考えるのは企画段階をおすすめします。

②目的と役割を知る

見出しの目的は「情報と読者の関係を築く」ことです。

どれほど重要で読者にとって価値のある情報でも、読者に瞬時に伝わらないと、読者はその情報に到達することはできません。つまり読者はその情報との関係を築くことはできません。また、読者がその情報を正確に理解・判断できない場合も、読者はその情報と関係を築くことができません。

では、「情報と読者の関係を築く」ことができる見出しは、どうすればつくれるのか。それは、目的を役割に分解して理解し、見出しを考えるときにこの点をしっかり押さえることでクリアできます。

見出しの5つの役割

1.記事の内容を読者に端的に伝える
2.記事への興味や関心を生み出して本文に導く
3.大きなテーマを複数の小さなテーマに区分けする
4.情報の捉え方や正しい見方、理解の方向を示唆する
5.伝えるべき情報を読者にとっての必要性に関係づける

これらはいずれも、「情報と読者を関係づけること」を目的としています。

そのため、見出しは、この1〜5のどれかに該当していれば良いのではなく、1〜5のすべてがクリアされていることで、「情報と読者の関係を築く」ことができるのです。

 

見出しは、「情報と読者を関係づける」だけでは弱く、「築く」点を意識すると精度が高まります。ぜひこの点を強く意識していただければと思います。

③種類とそれぞれの活用法を知る

実際に見出しを考えてみても、短い文で言い表すことが難しかったり、インパクトに欠けたり、なんとなく収まりが悪い感じがしたりといったことが起こります。

解決策の一つとして、見出しの種類とその活用法を知っておくということがあります。

実は、見出しと一口に言ってもいろいろな種類あります。
そして、その種類と、種類ごとの活用法を知っていると、先ほどのような悩みが解消できる可能性が一気に高まります。

見出しの種類と位置、活用法
種類 位置 活用法
大見出し 記事全体にかかる見出し 読む意味や情報の理解の方向を示す
柱見出し 大見出しの上(または右)に配置 テーマを示す
肩見出し 大見出しの上(または右)に配置 注目点を示す
袖見出し 大見出しの下(または左)に配置 概要を示す
中見出し 情報のテーマが大きく変わるところに配置 分類や展開、情報の理解の方向を示す
小見出し パラグラフの冒頭に配置 要約や結論を示す

 

【大見出しと柱見出し】
まずは大見出しを立てますが、それだけでは何の記事なのかがわかりづらいことも多く、それをフォローするために柱見出しを立てます。

【肩見出し】
大見出しや柱見出しだけでは、記事の情報に対する読者の興味や関心を惹きつけることが難しい場合、肩見出しを立てます。

【袖見出し】
さらに、大見出しだけでは記事を読む必要性を感じないことが予想されたり、見出しだけでは言い切れない場合は、袖見出しでもう少し何が書かれている記事なのかがわかるようにフォローします。

【中見出し】
中見出しは情報の分類や展開が瞬時にわかるようにしたり、大見出しと同様に、記事の理解の方向を示したりします。

理解の方向という観点は見出しづくりにおいて、極めて重要なポイントです。この点について詳しくは別の記事でお伝えします。

【小見出し】
この見出しはパラグラフごとの区切りにしたり、パラグラフの概要や結論を示したりするほか、本文をじっくり読まなくても、およそ内容が理解できるようにするものと考えて活用します。

④考え方と事前の準備を知る

②で、見出しは「情報と読者の関係を築く」ことが目的だとお伝えしましたが、ここではこの点についてもう少し深く掘り下げます。

「情報と読者の関係を築く」ためには、伝えるべき情報をしっかり理解すると同時に、それが活きる情報だと感じられるようにしたり、社員の皆さまが自ら活かしたいと思える情報だと感じられるようにしたり、「情報の意味」を「読者の価値」に翻訳することが必要です。

この考え方は「①考える手順を知る」でお伝えした「見出しは企画の段階で考える」にも通じます。

社内報で伝える情報が、雑誌や本などのように読者自らの欲求に基づくものではないということと関係しています。つまり、社内報の見出しには、読者の欲求と直接関係しない情報を、読者である社員の「読みたい」という欲求と結びつけ、その欲求を瞬時に生み出すことが求められるのです。

そのために、伝える情報の「内容」だけではなく、読者である社員の皆さまが欲しいと感じる「価値の視点」でとらえて翻訳していくのです。

この一連の工程は企画そのものであり、つまり、見出しは企画の段階で考えることが望ましいことを理解していただけるのではないでしょうか。

 

ここで問題になってくることは、

  • 情報を読者にとっての意味として理解すること
  • そのために予め読者の欲求を知っておくこと

の二つなのですが、この点については次回以降の記事で詳しくご紹介します。

見出しを考えるタイミングと、その理由や効果についてはこちらへ

⑤テクニックを知る

見出しづくりのためのテクニックは、本やWebなどでたくさん紹介されていますが、「社内報ラボ」をご愛読いただいていらっしゃる方々にはもう一歩踏み込んで、「社内報としての見出しづくり」に活きるテクニックをお伝えできればと思います。


それは「読後感」と関連させることです。

社員の皆さまに社内報をもっと愛していただくために、見出しについても「読んで良かった」、「違う記事も読みたい」、「次号以降も読み続けたい」と思ってもらえるようなものにしたいと考えています。そこで、社員の皆さまが前向きになったり、モチベーションが高まったりする読後感と関連する見出しづくりのお手伝いができるよう、さまざまなテクニックをご紹介します。

そのテクニックとは、料理と同じ「さしすせそ」です。

  • さ:さすが
  • し:知れて良かった
  • す:すごい、ステキ
  • せ:センスがいい
  • そ:そうだったんだ

それぞれどういうことなのでしょう。詳細は次回以降の記事で、お伝えしていきますね。

 

⑥見せ方を知る

せっかくの見出しもデザインによって、その効果がさらに高くなることも、逆に効果が薄まってしまうこともあります。

そこで、見出しのつくり方の最後は、見せ方のポイントです。

見出しの見せ方のポイント

  • 文字数
  • フォト
  • サイズ
  • 字間
  • 行間
  • 配色
  • 位置
  • 余白
  • 向き
  • 加工
  • その他の要素

見出しの見せ方は、紙の場合は誌面全体のデザインと関連したり、Webの場合は文字数が大きく影響したりします。上記のポイントも含めて詳しくは次回以降の記事でお伝えします。

まとめ

見出しについて的確なノウハウや最適な情報は、なかなか見つからないのが実情です。とは言え、読まれる社内報をつくるために、見出しは欠かせないポイントです。

そこで、より良い社内報を通じてさまざまな会社や、働く社員の皆さまがもっと元気になることを願う社内報ラボでは、社内報の見出しづくりに特化して、全7回にわたってじっくりお伝えしてまいりますので、ぜひご期待ください。

 

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