インナーブランディングとは?取り組む目的や施策を紹介
テレワークなどの働き方改革の推進をきっかけに、社内向けのブランディング活動である「インナーブランディング」の重要性があらためて見直されています。
そこで今回は、インナーブランディングの定義、いまだからこそ取り組む意義、インナーブランディングの進め方、具体的な施策についてご紹介します。
インナーブランディングとは
インナーブランディングとは、企業が社内に対して行うブランディングのことです。インターナルブランディングやインターナルマーケティングとも呼ばれます。具体的には、企業のブランド価値や企業理念、方向性を理解・浸透させるための活動のことを言います。
インナーブランディングは社内向けの施策なので、収益には直結しません。しかしながら長期的な視点に立てば、従業員の帰属意識の強化、業務効率アップ、サービス品質の向上など、さまざまな効果をもたらします。
なぜいま、インナーブランディングが重要なのか
新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、テレワークという働き方が広まり、働き方改革が進んでいます。
しかしその一方で、従業員同士のコミュニケーション不足、組織への帰属意識の弱体化、会社の方針やビジョンに対する熱が伝わりにくいなどの課題が生じていることが分かっています。2020年10月の『月刊総務』の調査によると、84.2%が「会社と社員とのつながりに課題を感じている」と答えています。
いまだ終息の見えないこのような状況だからこそ、企業としてインナーブランディングに取り組むことで、よりいっそうの組織力の向上につながると考えられるのです。
【参考】月刊総務+ テレワークで「会社の方向性が伝わりにくくなった」が79.1%。そのうち95.7%が社員のエンゲージメント低下を実感
https://www.g-soumu.com/linkage/2020/11/motivationquestionnaire.php
アウターブランディングとの違い
アウターブランディングとは、顧客や消費者など「社外」に向けてブランド価値や商品価値を伝えるブランディングのことです。商品やサービスに対するイメージはもちろんのこと、企業にとって収益を左右するきわめて重要な施策になります。
対してインナーブランディングは「社内」向けの施策になりますが、従業員エンゲージメントを向上させ、結果的にサービス品質の向上にも貢献します。
そのため、インナーブランディングはアウターブランディングの効果を増大させる働きがあります。
インナーブランディングの目的
基本的にインナーブランディングは、企業のブランド価値や企業理念、サービス、方向性を理解・浸透させることを目的としています。というのも、従業員ひとりひとりの言動や対応が、企業イメージに大きく影響を与えるからです。
たとえば、接客はアウターブランディングだけでなく、インナーブランディングにも関わっています。従業員は企業や商品に対して愛着がなければ、心から顧客にすすめることはできません。従業員ひとりひとりの企業理念やブランドコンセプトに基づいた行動によって、企業理念の実現やブランド価値の体現につながります。
インナーブランディングの重要ツール「社内報」の目的についてはこちら
インナーブランディングのメリット
企業がインナーブランディングに取り組むと、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは代表的な4つのメリットをご紹介します。
企業風土を醸成する
従業員に自社の目指すべき方向や価値を共有することは、企業文化や組織の一体感を育てることになります。そのため企業風土が醸成・強化され、結果的に組織力も向上するでしょう。
従業員満足度・モチベーションが向上する
自社の価値観を共有・浸透させることができれば、従業員の愛社精神が育まれやすくなります。その結果、従業員の満足度やモチベージョンの向上につながります。企業理念の実現に貢献している実感が持てれば、よりいっそう自発的な行動がとれる従業員が増えるでしょう。
従業員の離職率低下につながる
従業員が企業ブランドや商品に愛着を持つことで、従業員の離職率も低下します。企業で働く意義や目標を見出せるようになるからです。離職率の低下は事業や人材の安定につながり、結果的に収益向上に貢献します。
業務効率・サービスや商品の品質が高まる
インナーブランディングによって、業務効率アップも期待できます。従業員それぞれが業務に対して真摯に向き合えば、業務における効率的な方法だけでなく、製品・サービスの課題点を自発的に発見できるようになります。
その結果、商品やサービスの品質を改善でき、顧客満足度も高まるでしょう。
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インナーブランディングに取り組むときの注意点
反対に、インナーブランディングに取り組む場合、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。代表的な3つの注意点をご紹介します。
効果が出るまでに時間とコストがかかる
デメリットとしてまずあがるのが、時間と費用がかかることです。当然のことですが、インナーブランディングを無料で進めることはできません。従業員全員に情報を共有するにも、それ相応のリソースが必要となります。
さらに企業の価値観を従業員全体に浸透させるにも時間がかかります。今日から取り組み始めて、明日には効果が表れるような一朝一夕のものではないからです。
効果を可視化できない
インナーブランディングはアウターブランディングとは異なり、数値目標を立てることが難しいでしょう。どれぐらい従業員に浸透できたかを数値ではなかなか表せません。そのため、効果を可視化しづらいというデメリットがあります。
価値観の押し付けにならないようにする
インナーブランディングを進める際に気を付けなければならないのが、価値観の押し付けにならないようにすることです。従業員全体に価値観を共有できることが理想ですが、現実的には100%の達成は厳しいでしょう。
価値観の共有を求めすぎるあまり、価値観を共有できない従業員に対して排他的な態度にならないよう注意が必要です。
インナーブランディングの進め方
次にインナーブランディングの進め方について、基本的な3ステップをご紹介します。
ステップ1 現状の把握
インナーブランディングに取り組むなら、まずは社内の現状把握から始めましょう。
従業員の認識、社内環境、サービスや製品の品質などが把握できていなければ、適切な施策を検討することができないからです。現状が想定より良いのか悪いのかによっても、今後打つ手が変わってきます。
しっかりと現状の把握・分析をすることが、インナーブランディングへの第一歩です。
ステップ2 施策の検討
社内状況が明確になったら、インナーブランディングのための施策を検討します。
その際、自社に最も適した施策を選ぶことが大切です。どのような施策がよいのか、ひとつの施策にするのか、複数の施策を同時並行的に行うのかなどを決めます。PDCAを回しやすいように、目標を立てておくとなお良いでしょう。
ステップ3 施策の実行
施策が確定したら、計画通りに実行します。
実行後の従業員の様子を見ながら、インナーブランディングの効果を振り返りましょう。目標に対して結果がどうだったのかを確認して、あまり芳しくなければ軌道修正することも忘れてはいけません。
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■パーパスブランディングとは? 企業の存在意義と社員の共感で企業価値を高める
インナーブランディングの代表的な施策・ツール
実際にインナーブランディングに取り組む場合、次のような施策やツールが手段として考えられます。
社内報
社内報とは、紙面やWebなどの媒体を使って、定期的かつ継続的に会社の取り組みなどを発信するツールです。トップの意向やメッセージを従業員に伝えたり、顧客からの生の声を掲載したり、他部署の取り組みを共有したりすることができます。
クレド
クレドとは、従業員が心がける行動指針や信条のことです。目に触れるカードやポスターなどにして、理念や行動規範を浸透させます。多くの情報を掲載するよりも、パッと見てわかるようにシンプルなものが良いでしょう。
動画
企業やブランドの歴史、ビジョンなどを動画にすることも効果的です。動画はテキストよりも、短期間で熱量までしっかりと伝えることができます。
ポスター
自社専用のポスターを作成して、目につくところに貼ることも有効です。クレドのようにテキストだけだと味気ない印象がありますが、ビジュアル的に目を引きやすいため、従業員も興味をもちやすくなります。ただし押し付けがましくならないように、掲載数には注意を払いましょう。
研修
自社について学ぶ研修やセミナーを開催することも、インナーブランディングの手段として考えられます。従業員に対して、直接企業理念やブランド価値を伝える方法であり、それらの理解を深める良い機会となるでしょう。ただし回数が多いと、なかには不快感を覚える人もいるので注意が必要です。
その他
その他には、社内イベントの開催、社内SNSの活用、体験型ワークショップの開催などが考えられます。
まとめ
インナーブランディングとは、企業理念やブランド価値を従業員に浸透させるための社内向けの活動といえます。
重要なのは、インナーブランディングは結果的にアウターブランディングの効果を高める施策であるということです。収益に直結しないからといって軽視せずに、ニューノーマル時代だからこそ取り組む意義のある施策のひとつだと考えてみてください。
ひとつの手段として、社内報の活用も効果的です。経営トップの意向や他部署の取り組みなど、社内報ならではの情報を発信でき、従業員のモチベーションアップにつながります。ぜひ社内報をインナーブランディングに活用してみてください。
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