社内報コラム

社内報アンケートの設問の作り方と要点

社内報アンケートの設問の作り方と要点

社内報がどの程度読まれているのか、どのようなテーマや内容に関心が持たれているのかを把握したりする効果測定や効果検証のための読者アンケートを定期的に取っている企業はたくさんあります。

しかし、そのアンケートが本当に効果的なのかどうかと問われると、疑問や不安を感じる方もたくさんいらっしゃるんじゃないでしょうか。

そこで今回は、読者アンケートで、何をどのような設問で聞くと効果的なのかという点についてお伝えします。

社内報アンケートは発行目的への貢献度を測るために行う

社内報の効果測定や効果検証をする際に言う「効果」とは、発行目的への貢献を指しています。

つまり、社内報の効果測定に向けた読者アンケートの究極的な目的は、現在の社内報が発行目的に対してどの程度貢献しているのかを測ること。

例えば、社内報の発行目的が「企業理念や経営ビジョンの浸透」「社員のモチベーションアップ」「社内コミュニケーションの活性化」の3つだとする場合、アンケートで測るポイントは、それぞれの目的の前期比です。

この考え方をもとにした読者アンケートの設問例は、

  • 企業理念や経営ビジョンを理解することに役立ちましたか?
  • モチベーションアップのきっかけになりましたか?
  • 社内コミュニケーションの活性化につながりましたか?

となります。

ただ、これだけでは効果の測定としては成り立っているのですが、得られるデータや情報の有効性としては、効果のあった項目とそうではなかった項目がわかる程度に留まってしまい、アンケート結果をもとに、次に向けた課題を設定したり、改善策を検討したりするといったような、効果の検証を行うためのデータや情報としては十分ではありません。

効果の検証を行えるように設問を考える

読者アンケートの設問を考える上での目的は、発行目的への貢献度を測ることだとお伝えしましたが、アンケートで得られる情報をもとに、課題の設定や改善策の検討を行うためには、発行目的への貢献度を測るといった効果測定だけを意図した設問ではなく、現在の社内報が発行目的で示していることに対して、読者である従業員の皆さまに、どのような効果が、どの程度あったのか、あるいはなかったのか、誰に効果があったのか、なぜ効果が生まれたのかといったように、多面的に聞くことが有効です。

そこで、アンケートの設問の軸は、誰が、いつの、どのテーマの、何によって、どのような影響があったのか、どの程度の影響があったのか、なぜそのような影響があったのかといった、もう少し踏み込んだことを聞く設問にすることが望ましいです。

ただし、設問数が多いと回答者数が少なくなるといった傾向がありますので、聞きたいことをヌケモレなく、ダブリもない設問を設定することを心がけましょう。

効果検証を行える設問をつくるための5W2H

そこで、コミュニケーションのフレームワークである5W1Hを少し調整した「5W2H」で整理する方法をご紹介します。

それは、

Who:誰が?(効果に至った人の属性)

When:いつの?(効果に至った号や配信)

Where:どのテーマの?(効果に至った記事)

What:何によって?(効果に至った要因)

How:どのような影響を受けた?(効果の方向)

How:どの程度の影響を受けた?(効果のレベル)

Why:なぜそのような影響を受けた?(効果に至った背景)

です。

もちろんこれらの「効果」とは、発行目的への貢献です。

設問は5W2Hに閲読・閲覧率を測るものを加える

設問は5W2Hでバランスよく作れば良いのかというと、実はそうではありません。

それぞれの設問の数値が良かったとしても、社内報の閲読率や閲覧率が低い場合、そもそも社内報を読んでいる人が少ないので、読んでいる人にとっては効果的な社内報だと言えるものの、従業員全体で見ると、その効果は極めて限定的なものといったことになります。このような場合、効果が得られているといった判断をすることはできないのですが、5W2Hだけの数値を見ると、効果が出ていることになり、結果としてミスリードを招いてしまいかねません。

そこで、読者アンケートで得るデータや情報を有効にするために、5W2Hによる設問軸に加えて、閲読率や閲覧率を測る設問軸を設けて実施します。

そうすることで、例えば先ほどのような、数値上では効果は得られていると見られる一方で、実情としてはあまり読まれていないといった場合でも、読まれさえすれば効果が得られる社内報になっているといった判断が可能となり、それをもとにした改善策の検討としては、内容や見せ方ではなく、届け方などの工夫をしていけば、より効果的な社内報にすることができるといった結論を得ることができるようになります。

5W2Hと閲読・閲覧率を測る設問と選択肢を考える

これらの考え方をもとに、冊子版の社内報に対してアンケートを、1年に1回実施することを想定した設問や、回答していただく選択肢の例をご紹介します。

  • Who:属性に関する設問(年齢層、勤続年数、役職、所属部門、職種など)
  • 閲読・閲覧:社内報をどの程度読んでいる?

選択肢:しっかり読んでいる・そこそこ読んでいる、ほとんど読んでいない、全く読んでいない

  • When:どの号が印象的だった?

選択肢:1年間で発行した社内報の号数や発行時期を記す

  • What:興味や関心のあった記事はどれ?

選択肢:1年間で掲載した企画やコンテンツの名前を記す

  • Where:その記事のどこに興味や関心を持った?

選択肢:記事のテーマ・メッセージの内容・情報や伝え方の切り口・掲載されている部署や取り組み・写真の内容や人の表情・その他

  • Why:なぜその記事に興味や関心を持った?

選択肢:疑問を感じていたから・日頃から興味があったから・仕事に役立つと思ったから・内容が面白そうだったから・その他

  • How:その記事はどのような効果があると思う?

選択肢:会社や経営の理解・モチベーションアップ・社内コミュニケーションの活性化・従業員同士の一体感や結束・仕事の息抜き・その他

  • How:その記事になぜそのような効果があると思う?

選択肢:難しいことをわかりやすく伝えている・他の部門や部署の仕事を知ることができる・人の仕事への想いに共感できる・新しい発見や新鮮な情報が得られる・いろいろな人の顔や価値観を知ることができる・その他

  • (②で「ほとんど読んでいない」「全く読んでいない」と回答した方のみ)

社内報を読まない理由は?

選択肢:忙しいので・情報量が多すぎて読む気がしないので、情報量が少なすぎて読む気がしないので、内容に興味がないので・手元に届いていない・その他

社内報が読まれない原因についてはこちらへ

クロス集計で効果が出ている点や効果が出ている範囲を測る

上に記した内容を聞くアンケートからも、かなりのデータや情報が得られるのですが、得られたデータや情報をもう少し深掘りするためには、クロス集計を行うことが有効です。

クロス集計とは、例えばAの設問とBの設問の2つの設問の回答をかけ合わせて、Aの設問で1の選択肢を選んだ人は、Bの設問で2の選択肢を選んでいるけれども、Aの設問で2の選択肢を選んだ人は、Bの設問で2の選択肢を選んでいるといった、回答の傾向をより深く考察することに役立つ集計方法です。

一般的にはAを属性の設問で、Bを内容に関する設問を設定して集計し、属性ごとの回答の傾向を割り出して、検証や課題設定、改善策の検討を行います。 

5W2Hと閲読・閲覧率の設問は標準的な考え方として活用する

ここまでお伝えしてきました、読者アンケートでの設問の作り方などは、いずれも基本的かつ標準的な考え方で、必ずしもこれが絶対的な内容だというわけではありません。

例えば、そもそも発行目的は企画の段階で強く意識して反映させており、それを部署内や上長の承認を得た上で編集やデザインを行っているため、読者アンケートでは発行目的への貢献度ではなく、より読まれる社内報、より愛される社内報にすることや、従業員の皆さまの役に立つ社内報としてレベルアップを図っていくことを目的に、現時点はどのレベルにあるのかを測ることが目的だという方もいらっしゃると思います。

そういった場合でも、設問を検討するためのフレームワークとして、5W2Hと閲読・閲覧率の2軸で設問をつくるという点は活かしていただけると思います。

また、現在の社内報がどのように読まれているのかといったことや、従業員の皆さまが社内報に対してどのような期待や要望を持たれているかを聞くアンケートにしたいといった場合も、5W2Hと閲読・閲覧率をベースに、WhatやWhyの設問を充実させたり、その他の設問は簡略化したり、省いたりする際のヒントにしていただけるんじゃないかと思います。

まとめ

社内報アンケートを定期的に実施しているけれども、上手に活用することができていないという声は意外と多く耳にします。これは恐らく、アンケートづくりやアンケートの活用に関する基本的な情報やノウハウが得られる機会が少ないことにあるからだと考えられます。

今回の記事は、そういった状態や状況に対して、少しでもお役に立つことができればと考えて、お伝えしてまいりました。

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