社内報コラム

【はじめての社内報制作】 第8回 読まれる社内報の「デザイン」の工夫

【はじめての社内報制作】 第8回 読まれる社内報の「デザイン」の工夫

はじめて社内報を担当することになった皆さんへ。

シリーズ はじめての社内報制作は、皆さんが楽しく自信を持って社内報制作に取り組めるようサポートすることを目的に、社内報制作の基本から、読まれる社内報にする秘訣までを、できる限りわかりやすく解説してまいります。


デザインの勝負どころは読者の目に止まる「瞬間」にある

<上司>最近の社内報、読み応えのあるものになってきたな。

<山田>ありがとうございます!

 

<博士>何やら嬉しそうじゃのう?

 

<山田>
あ!博士。

さっき上司から、社内報のことで少し褒められたんです。

<博士>おお!それは良かったじゃないか。

デザインで大切なポイントは「読みやすさ」だけではない

<山田>そうなんです。社内報の記事づくりは、少しずつ自信を持って臨めるようになってきたんです。

ただ、デザインはまだ自信がなくって・・・。

<博士>
デザインは奥が深いからのう。

 

<山田>はい。しかも、自分にはデザインのセンスがないので。世の中の流行にも疎いですし・・・。

<博士>おいおい、デザインはセンスやトレンドで考えるもんじゃない。

<山田>え!そうなんですか?

<博士>そうじゃ。デザインで必要なことは「読者のための工夫」なんじゃよ。

 

<山田>そうなんですね?

だったら自分にもできそうです。ただ、専門的な知識や技術を学ぶ必要はありますよね?

 

<博士>確かにデザインは奥が深いのでその通りなんじゃが、それでもそんなに身構える必要がないのも確かで、まずは「基本」をしっかり押さえることから始めれば良いんじゃよ。

<山田>デザインの基本って、「読みやすさ」のことですか?

 

<博士>もちろん「読みやすさ」は大切なんじゃが、デザインで大切なことはそれだけじゃないぞ。

例えば記事を見た人が、一瞬でその記事に興味を持つようにしたり、言葉だけでは伝わらない空気やメッセージを感じてもらったりするといったことも大切なんじゃよ。

<山田>たしかに、パッと見て「なんだか面白そう」と思ったり、「何か気になるな」と思えると、つい読みたくなりますよね。

 

<博士>そうじゃ。デザインはよく、「読みやすくする」といったことや、「見栄えを良くする」といったことに重点が置かれがちじゃ。

けれども、デザインの本当のチカラは、瞬時に相手に何かを「感じ取ってもらう」といったことや、言葉では表現できないような、語りの「トーンを醸し出す」といったことを担うといった、コミュニケーションの再現を図ったり、それを媒介したりする技術とも言えるんじゃよ。

 

デザインを良くする5つのポイント

<山田>デザインは、コミュニケーションの再現や媒介の技術?

<博士>その通りじゃ。

つまり、デザインはメッセージや情報、感情、情景、温度感や空気感などを、時間や場所の制約を越えて伝える技術なんじゃよ。

 

<山田>なんだかとっても難しく感じます。

 

<博士>すまん。少し難しく言ってしまったが、そういうもんなんだとだけ覚えてもらえれば良い。

その上で、どんなデザインにするかを考えるときは、この5つを押さえておくと良い。

 

①発行目的の意図を汲んだ編集方針をもとに、統一感のあるツールづくりを目指す

②情報の重要度の違いや主従関係をはっきりさせて理解の流れを滑らかにする

③写真、イラスト、図、色、見出し、本文量、余白のバランスでメッセージのトーンを示す

④最初に目に止まる写真や見出しを大きく扱って読み手の目線を惹きつける

⑤読者の目線の流れを意図して、見出しや段落をしっかり分けて配置する

<山田>この5つのポイントを意識してみると、文章だけでは伝えきれない、メッセージのトーンや雰囲気も伝えられそうですね。

 

<博士>デザインは、読みやすさや見栄えを考えることと捉えられがちなんじゃが、本当に大切なことは、伝えたいメッセージや情報に含まれている意図やその語り口を、時間と場所の制約を越えて、たくさんの人に豊かに伝えることにあるんじゃよ。

 

文字量や余白もデザインの重要な要素

<山田>ところで博士。

写真や色と一緒に、文字量や余白ってありますけど、これもデザインと関係するんですか?

<博士>良いところに気づいたのう。

実は文字量や余白は非常に重要なポイントなんじゃよ。

<山田>なんとなくわかるような気がするのですが・・・。どういうことですか?

 

<博士>このポイントはそんなに難しいことじゃないんじゃ。

例えば普段のコミュニケーションでも、たくさんの情報を早口で、意見を挟む間もなく捲し立てられると、しんどく感じたりするじゃろ?

 

<山田>そういえば、前に写真も文字もいっぱい入れてにぎやかにしたら、「何を伝えたいのか分からない」と指摘されたことがありました。

 

<博士>それはありがちなNG例じゃな。

情報は多すぎず、要点がすぐ伝わる工夫が大切なんじゃ。

小さな文字が隙間なく、たくさん詰め込まれた誌面を目の前にすると、人は抵抗を感じやすくなって、理解が捗らんようになるんじゃよ。

 

<山田>イメージするとそうなるだろうなと感じます。

 

<博士>つまり文字量や余白は、伝えたいことが適切に伝わるようにするための、話す量、話すスピード、話し方の熱量、対話の間の取り方など、直接コミュニケーションすると同じような心掛けをカタチにするための要素と言えるんじゃよ。

 

<山田>なるほど。文字量や余白が、コミュニケーションツールとしてすごく大切なことだとわかりました。

デザインってそういった役割を果たすためのものでもあるんですね。

<博士>それがわかるだけでも、デザインの質は一気に高まるんじゃよ。

紙とWeb、デザインの共通点と違い

<山田>すごく良いことを聞けた気がします。

ところでウチの会社は、紙の社内報もWeb社内報も作っていますが、紙とWebのデザインの違いとして知っておくべきことってありますか?

<博士>基本の考え方は共通しておるが、確かに違いもある。

その違いをまとめるとこんな感じじゃ。

 

【紙の社内報】

・ページをめくる楽しさや流れを意識する

・紙の質感もデザインの一部として扱う

・統一感と記事ごとの違いのバランスを保つ

・限られたスペースを有効に活用するためWebよりも情報整理を綿密に行う

 

【Webの社内報】

・PCやスマホなど、閲覧する端末で見え方が変わる

・スクロールして読むので、見出しや区切りを紙より明確にする

・ツールの信頼性を高めるために紙よりも統一感を重視する

・1ページあたりの情報量を抑えて回遊性を高める

・紙よりも表現の柔軟性が低いのでビジュアル素材をしっかり工夫する

<山田>なるほど、媒体それぞれの特性によって、デザインも注力するポイントが変わるんですね。

 

<博士>そうじゃな。

あと、Webは使用するCMSによってデザインの制約が変わることも気をつけておく必要がある。

 

<山田>確かに、以前使っていたものは、ファイル共有を目的にしたツールでしたので、デザインにかなり制約があって困っていたようです。

 

<博士>そういうこともあるな。

ただ、そんな場合でも写真などのビジュアル素材をしっかり工夫することで、メッセージ性の高い記事を作ることも可能なんじゃよ。

 

<山田>そうなると、ますますWeb化が進む今となっては、デザインもそうですけど、ビジュアル素材についての勉強も必要ですね?

 

<博士>うむ。それはまた別の機会にでも教えてやるかのう。

<山田>ぜひお願いします!

 

デザインの良し悪しは「読者目線」で判断する

<山田>今日もいろいろとアドバイスをしていただいて、ありがとうございました。

最後に、もう一つの悩みを聞いてほしいんですけど、良いですか?

 

<博士>何を遠慮しておるんじゃ?なんでも聞けば良い。

 

<山田>ありがとうございます。

実は、以前の担当者が作った過去の社内報を見ると、もっとこんなデザインにすれば良かったのにと思うことがあるんですが、自分で作ったものだと、そんな感じで客観的に見ることができなくって・・・。

<博士>それはデザインに限らず良くあることじゃな。

そんな時は、「読者の目になって」見返してみるのが一番じゃ。

たとえば、作ったデザインを見た瞬間、

・社内報の記事だと感じるか?

・読み進めてみたいと感じるか?

・目が惹きつけられる場所は最適か?

・一番大事なことが何かがすぐ分かるか?

・読んでいる途中で目線が迷子にならないか?

といった視点でチェックしてみると、自然と改善点が見つかるものじゃよ。

 

<山田>つまり、読者の視点に立って見返してみるということですね?

 

<博士>それが何よりも大切なんじゃ。

 

勝負どころは読者の目に止まる「瞬間」にある

 

<山田>今日のお話を振り返ると、デザインの勝負どころは「読みやすさ」だけでなく、読者が見た瞬間にあるといった感じですね。

 

<博士>まさにその感覚が重要なんじゃよ。

そして、「読者の気持ち」になって、伝えたいことをどう見せるかを、楽しみながら工夫してみることが、良いデザインにするために欠かせない姿勢と言えるんじゃ。

<山田>つまり、デザインで迷ったら「読者がどう感じるか」を考えてみる。

それが最も大切な視点ですね。

デザインは難しいと感じる一方で、良いデザインになるとモチベーションも高まるので、これからもいろいろな工夫をしてみます!

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