社内報コラム

【はじめての社内報制作】 第10回 読まれる社内報をつくるための画像の知識

【はじめての社内報制作】 第10回 読まれる社内報をつくるための画像の知識

はじめて社内報を担当することになった皆さんへ。

シリーズ はじめての社内報制作は、皆さんが楽しく自信を持って社内報制作に取り組めるようサポートすることを目的に、社内報制作の基本から、読まれる社内報にする秘訣までを、できる限りわかりやすく解説してまいります。

 

「画質」は読まれる社内報にするための生命線

 

<上司>印刷会社から画像の容量が足りていないって連絡があったぞ。

<山田>またですか・・・。


寄稿された画像はそのまま使っても大丈夫?

<山田>この画像、そういえばWordに貼り付けられていた画像だったよな・・・。

こういった画像はいつも紙の社内報に使えるか、Webでもきれいに表示できるかがわからなくって困るんだよな。

 

<博士>ふむ、それは社内報を担当していると、必ず出くわす問題じゃな。

 

<山田>あ、博士!!!

<博士>確かにその画像じゃと、印刷では使えんわな。

<山田>実は、印刷できる画像について、インターネットで調べたり、生成AIに問いかけたりしているんですけど、いまいちよくわからなくって。

インターネットに載っていることは専門的でわかりづらいし、生成AIが言うことは正しいのかどうかわからず、調べなおさないといけないことも多いんですよね。

 

<博士>確かに画像に関して学ぶ機会も少ないからのう。

 

<山田>そんな研修って社内ではやらないですからね。

 

<博士>よし!

今日は「使える画像かどうか」を瞬時に見極められるようになるポイントや、これだけは押さえておかないといけないということを教えてやろうかのう。

 

なぜ画像には「形式」がいくつもあるのか?

<山田>お願いします!

ただ、使える画像かどうかを見極めるポイントの前に聞いておきたいんですけど、

そもそも画像ってなぜ、JPEGとかPNGとか、いくつもの形式があるんですか?

<博士>良い質問じゃ。

画像には「保存形式」がいくつかあるが、それぞれに優位性や利便性に違いがあるからなんじゃよ。

それをまとめたのがこれじゃ。

 

JPEG(.jpg)

写真など、色や濃淡の多い画像に向いている。

保存時にデータを圧縮するため容量は軽くなるが、画質は少し劣化する。

圧縮率が高いほど劣化も大きい。

一般的な用途では問題ないレベルで使われる最もポピュラーな形式。

PNG(.png)

色の再現性が高く、透明背景にも対応。

圧縮しても画質は劣化しない一方で、容量はJPEGより大きくなることが多い。

文字入りの画像や図、ロゴなどに向いている。

TIFF(.tif)

非圧縮または可逆圧縮。画質を一切劣化させない保存が可能。ただ、ファイルサイズが非常に大きくなるため、プロの印刷物やアーカイブに用いる場合が多い。

HEIC(.heic)
iPhoneなど、スマホで撮影した画像によく見られる形式。

画質と容量のバランスに優れるが、Windowsなど一部環境では開けないことがある。

JPEGへの変換が必要になることが多い。

 

<山田>なるほど、画像って全部同じように見えて、役割も違えば、保存の仕方で劣化することもあるんですね。

WordやExcelに貼り付けられた画像はNG?

<山田>ところでWordやExcelに貼られた写真は、画像ファイルではないですけど、そういった写真は紙の社内報やWeb社内報で使ってもいいんですか?

<博士>基本的にはNGじゃ。

WordやExcelに貼ると、画像の解像度が勝手に下げられる場合があるんじゃ。

しかも、貼り付けられた画像を保存し直すと、元の情報の多くが失われていることが多い。

 

<山田>そうなんですね。

なかにはタテヨコの比率が元の画像とは異なる状態で貼り付けられていることも、意外と多かったりするんですよね。

 

<博士>確かにそういったこともあると思うな。

いずれにしても寄稿や投稿をしてもらう画像は、JPEGやPNGといった元の画像ファイルを改めて送ってもらうことが必須じゃ。

 

<山田>寄稿を依頼するときに、「画像は原稿に貼らず、元データを添付してください」とお願いした方が良さそうですね。

 

<博士>それが一番の得策じゃな。

紙の社内報に適した画像とは?

<山田>あと、Web社内報では使えるけど、紙の社内報では使えないといったポイントや、その逆についても教えてもらえないですか?

<博士>その点も大切じゃからな。

まず、紙の社内報の場合は、画像の解像度がとても重要になる。

なぜなら、印刷物は画像を「拡大」して使うことが多く、その際に画質の粗さが目立ちやすいからじゃ。

<山田>そういえば、印刷会社の方にときどき「解像度が足りない」と言われます。

博士、そもそも解像度って何なんですか?

 

<博士>解像度とは、画像を構成するピクセルという「点」の密度のことじゃ。

具体的には、「1インチ(約2.54cm)あたりに何個の点があるか」を表していて、dpi(dots per inch)という単位で表す。

<山田>点の密度ですか。

 

<博士>例えば、350dpiというのは、1インチの中に350個の点があるということじゃ。

この数値が大きいほど、画像は細かく、滑らかに見える。

逆に72dpiや96dpiの画像を印刷に使うと、ジャギーというギザギザが出て、印象が大きく損なわれてしまうんじゃ。

 

<山田>印刷する場合はどの程度の解像度が必要なんですか?

 

<博士>印刷の場合は一般的に、350dpi以上が推奨されておる。

ファイル容量の目安としては、2MB~5MB以上あると安心じゃな。

紙の社内報の画像はなぜ350dpi?

<山田>なぜ350dpiが推奨されているんですか?

<博士>印刷はドットを「線」で描いて写真や文字を再現しているんじゃよ。

その線の本数が1インチあたり175本なので、画像の解像度はその倍の350dpiが推奨されておるんじゃよ。

 

<山田>その解像度であれば、十分な品質を確保しつつ、データ容量も必要以上に大きくならなくて良いように設定されているということですね?

 

<博士>その通りじゃ。

 

<山田>スマホで撮影した写真の画質は印刷用としても使えるんですか?

 

<博士>スマホで撮影した画像でも、設定や撮影サイズによっては十分に対応できることもある。

注意しないといけないこととしては、LINEやメール添付で圧縮された画像は、アプリが自動的に解像度を下げてしまうこともあるという点じゃな。

 

<山田>そういうこともあるんですね。

紙の社内報に使える画像かどうかを見極めるために覚えておくこととしては、解像度は350dpi(ドット・パー・インチ)以上必要だということですね?

 

<博士>そうじゃ。

 

<山田>ただ、画像を見ただけでは、その画像が350dpiかどうかわからないんですが。

 

<博士>そうじゃな。

目安としては、ファイル容量が2MB~5MB以上あれば概ね問題ないと言われておる。

今のスマホは解像度が高いので、撮影の設定を低くしたものでなければ、ほとんど問題なく使えるようになっておる。

ただ、LINEなどで送られた圧縮済みの画像はできる限り避けた方が良いと考えておいた方が無難じゃな。

Web社内報なら軽ければいい?

<山田>Web社内報の画像も350dpiの画質が必要なんですか?

<博士>Webの場合は画質より軽さが大事なんじゃよ。

もちろん軽すぎても、画像が粗くなって印象が悪くなるんじゃがな。

一般的には1MB未満が推奨されるが、使うサイズが小さい場合は100~300KB程度に調整しても問題ない。

 

<山田>確かに、容量が大きい画像は表示が遅くなったりしますよね。

 

<博士>加えて、Webでは表示サイズや比率が、閲覧する端末によって変わるため、解像度や容量だけではなく、構図や余白の取り方も重要じゃ。

 

<山田>そうですね。

実際、記事の中で使う写真をトップページのサムネイルに使おうとすると、必要な部分が切れてしまうということもあります。

 

<博士>Web社内報をPCで見たときには違和感がないけれども、スマホで見たときに、顔が切れているといったことや、画像化した図の文字が読めないなんてことが起きんよう、縦横のバランスや被写体の位置に配慮する必要があるということじゃよ。

明るさはどこまで補正できる?

<山田>ところで博士、暗い画像ってPhotoshopとかで明るくすれば使えますか?

<博士>ある程度は補正できる。

ただし、暗すぎる画像を無理に明るくすると、ノイズが出て画質が荒れてしまうことがあるんじゃ。

逆に明るい画像も「白飛び」といって、写真の中で明るすぎる部分が白く飛んでしまい、色の濃淡が失われてしまうこともあるので注意が必要なんじゃ。

 

<山田>色の濃淡が失われているということは、その部分は補正では戻せないということですね?

 

<博士>そうなんじゃよ。

ちなみに少し専門的ではあるんじゃが、画像編集ソフトやスマホアプリの「ヒストグラム」という機能を使えば、補正できる画像かどうかを判断することも可能じゃよ。

 

<山田>ヒストグラム?

 

<博士>画像編集ソフトやスマホアプリのヒストグラムというのは、画像の明るさの分布を示すグラフで、極端に偏っていると補正が難しいことを表しておる。

初心者が押さえるべき画像チェックポイント

<山田>画像についても、知っておくべきことがたくさんあるんですね。

 

<博士>そうじゃな。

改めてじゃが、忘れてしまわんように、社内報の初心者でも使える「画像チェックの簡易ポイント」を紹介しておくぞ。

画像チェックの簡易ポイント

・形式はJPEGまたはPNGが基本。

・WordやExcelに貼られた画像は避ける。

・紙の場合は2MB以上、350dpiが目安。

・Webは1MB未満でも可能。

・極端な明暗差があると補正できない場合がある。

・スマホ写真は概ねOK

・アプリで撮影、転送したものは基本的にはNG

・Web社内報では構図に注意。

ちなみに、画像のデータ容量は右クリックで「プロパティ」や「情報」を開くと確認できる。

 

<山田>画像ってこんなにたくさん気をつけることがあるんですね。

でも、理由がわかると判断しやすくなります!

 

<博士>画像はその記事の「第一印象」を決定づける非常に重要な素材じゃ。

そしてその画像の「画質」が良くないと、読者は写真の意味よりも先に嫌悪感を抱いてしまう場合もある。

つまり、画質は読まれる社内報の生命線とも言えるポイントなんじゃよ。

そういった点からも、画像の性質を正しく理解して適切に扱うことは、社内報づくりにおいて見逃しがちじゃが、意外と大切な視点だったりするんじゃよ。

 

<山田>確かにその通りですね!

写真は記事を目にした読者の興味を何よりも速く惹きつける素材ですし、そこで強い共感を得ることができると、もっと読まれて、みんなの心にもっと届くようにすることができるということですね。

 

<博士>うむ。

その心構えでしっかり取り組んでいくんじゃぞ!

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