社内報のインタビューでメモを取るコツ
読まれる社内報をつくるためにはインタビューが欠かせません。けれども、インタビューによってつくる記事は、インタビュー前の手配や準備、インタビュー後の文字を起こしなど、あまり生産的ではない手間がかかってしまいます。
そこで今回の記事では、インタビュー後の手間を極力減らす方法として、インタビューのメモの取り方についてお伝えします。
インタビューを効果的、効率的に行う5つのポイント
読まれる社内報づくりに向けて、経営のことや現場の活動について、できるだけフレッシュな情報を伝えたり、事実を正しく伝えたりするために、インタビューは欠かせません。
また、インタビューによって作成した記事が、従業員の皆さまの役に立ったり、おもしろかったと感想が届いたりすると、社内報担当者としてやりがいや誇らしさとなって、社内報づくりのモチベーションにつながることも多いのではないでしょうか。
けれども、社内報のインタビューにはさまざまな知識や情報、感覚が必要となるため、通常の業務スキルだけでは対応することが難しいのも事実です。
たとえばインタビュー相手が社長や役員など経営層から現場の若手社員、男性や女性、営業職や技術職と多種多様な方が対象となる点や、経営のことや仕事のこと、技術のことなど、内容が多岐にわたることが、その難しさの原因としてあげられます。
しかも、インタビューで記事を作成するためには、インタビュー前の段取りや準備に労力を要し、インタビュー後にも音源の聞き直しや文字起こしなどに膨大な時間がとられてしまい、他の業務に支障がでる心配がついて回ります。
そうした、限られた知識やスキル、時間だけでは対応することが難しいインタビューを、いかに効果的かつ効率的に行うためのポイントを5つにまとめてご紹介します。
社内報インタビュー実践のための5つのポイント
① 質問シートはメモ用のノートに貼り付けておく
② 想定される回答を予め考えてメモ用のノートに記しておく
③ 略語や記号を活用する
④ 「いつ」「どこで」「誰に」と「どうした」をしっかり押さえる
⑤ インタビュー直後にメモの補足を書き足しながら原稿の骨子を書き出す
① 質問シートはメモ用のノートに貼り付けておく
ひとつ目のコツは、「質問シートをインタビュー時のメモにあらかじめ貼り付けておくこと」です。
インタビューは通常、用意しておいた質問項目をもとに進めていきますが、メモ用のノートにその質問項目を貼り付けておくだけで、目線がインタビュー相手とノートを行き来するだけで済むために、質問や会話が安定しやすくなります。
さらに、質問項目に直接書き込むこともできるため、不要なメモをとる必要がなくなるので、会話により一層集中しやすくなります。
また、メモをとる際にも質問項目が目に入りやすくなり、次の質問を確認することもできます。
インタビューの質問事項についてはこちらへ
② 想定される回答をあらかじめ考えてノートに記しておく
「段取り八分」。段取りをしっかりしておくと、その仕事は8割がた完了したのも同然だと言われますが、インタビューでは特にこの言葉が重要となります。
特に大切なことは、質問に対して想定される回答を記しておくことです。
もっとも効率的な方法は、質問項目を作成するタイミングで想定回答も用意し、その段階で不明瞭な点をインタビューまでに調べ、質問項目に書き込んでおくことです。
こうしておく意味は三つあります。
一つ目は、何も知らない状態よりも、ある程度知っている状態で話を聞くことができるために、話が頭に入ってきやすいこと。
二つ目は、用意していた回答と違う回答だった場合、その点を注意深く掘り下げて聞くきっかけが得られること。
そして三つ目は、想定回答に限りなく近い回答を得られた際、メモをとる必要がなく、少し補足するだけですむこと。
これらによって、インタビューの質が高まると同時に、より価値の高い記事を作
成する効果が得られます。
③ 略語や記号を活用する
インタビューの準備として、話題のなかに出てくるキーワードを予測しておくこともあげられます。
そして、それらのキーワードを事前に略語にしておくと、メモを取る量を減らすことができます。
たとえば経営トップに社会課題と事業方針との関係を聞く際に、SDGsは丸S、ESG経営は丸E、カーボンニュートラルはCN、ダイバーシティ&インクルージョンはDIと決めておくと、わずかではあるものの簡潔にメモすることができます。
また、動きや変化については矢印、要点とその度合いは★マークとその数、特徴的なキーワードは罫線、思考を凝らした言い回しについては波線など、単に言葉を書き留めるだけではなく、インタビューで感じた印象や表情なども書き留めることが可能となり、息づかいが感じられる記事にしやすくなります。
④ 「いつ」「どこで」「誰が誰に」と「どうした」をしっかり押さえる
インタビューの受け答えやメモに集中していると、記事にする際の重要なポイントを聞き漏らすことがあります。
特に会話を再現した回答などは、誰が誰にどうしたのかといった話の骨格が不明瞭になることが多々あります。
そこで、一連の回答をうかがったあとで、改めてその話の骨格を整理するために、「いつ」「どこで」「誰が誰に」「どうした」のかといったシンプルな構文で聞き返します。
こうすることで、確認前の内容がその骨格に対する肉付けとなり、正確さとわかりやすさに加えて、表現としてもナチュラルで抑揚のある記事にしていくことが可能となります。
⑤ インタビュー直後にメモの補足を書き足しながら原稿の骨子を書き出す
聞いた内容を忘れるスピードを示す「エビングハウスの忘却曲線」では、1時間後には50%のことを忘れるとあります。
インタビューは通常、1時間から1時間半程度を要するため、この曲線に従うと、インタビューの最初の話はインタビュー後には忘れてしまっている可能性があります。
そのために、インタビューを終える際には、手元のメモを見ながら忘れてしまった点がないかを確認することが大切です。
そして、インタビューの準備から本番にかけて、時間や労力をかけて行ったことをムダにしないためにも、インタビューが終わって一息つく前に、すぐに改めてメモを見渡しながら、記憶を頼りに補足を書き足したり、不鮮明なメモを修正したりして、メモの内容を補強します。
そして、短い文でも構わないので、話の道筋とその要点について紐づける要領で、文章の骨格を書き進めておきます。
こうすることで、音源の聞き直しや文字起こしが不要になり、重要な部分だけの聞き返しで済むようになります。
また、膨大な時間を要していた作業を大幅に削減できるのはもちろん、インタビューの温度感や躍動感なども記事に反映しやすくなり、より質の高い記事を作成することが可能となります。
まとめ
インタビュー記事は、読者が直接聞くことのできない情報を得る機会となるため、社内報の価値や特別感を高めるためには欠かせないもの。
ただ、インタビューには一定の知識やスキルが必要となるだけではなく、どうしても聞き漏れや聞き逃しがつきものですし、膨大な時間と労力が必要となりがちです。
けれども、それらは今回お伝えしたように、事前のしっかりとした準備と、事後の段取りによって大幅に改善することができます。
ぜひ、従業員の皆さまの役に立ち、喜んでいただける社内報にしていくために、インタビューを積極的に取り入れていただき、今回お伝えしたノウハウを活かしていたただければと思います。
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