愉しい時間
先日ある仕事で「バン・ライファー」を取材する現場に立ち会った。
バン・ライファーとは、クルマの「バン」で生活を送る人々を表す造語だ。定住の場所を持たず、文字通りバンで暮らす人で、国内にも一定数いると言われている。
今回取材したのは、20代中盤に差し掛かるかどうかの若い女性だ。大学在学中から試験的に?バンで生活し、やってみたら意外にできるものだと実感し、今では季節に応じて、気が向くまま、会いたい人や見たい景色を求めて全国を移動しながらバンライフを楽しんでいる。
もちろん、仕事もしているのだ。当然だが、バンの中でだ。バンライフを始めたきっかけや、メリットとデメリットなどは一旦横に置いておく。
興味を持ったのは、その表現力だ。取材時の自分のことを話す言語化能力ももちろんだが、生き方の表現力というのだろうか。
どう生きたい、だからこういうスタイルだという表現を、話したり書いたりするだけでなく、実際にカタチにして実現する「チカラ」としての表現「力」に、ちょっと心を揺さぶられた気がした。
誰しも人生において、ターニングポイントや変化のタイミングはあると思う。そして、それによるワークスタイルとライフスタイルの変容が起こり、当然に、それによるストレスも想像される。
そんなことが想像できると、変化を諦める向きも多くいるはずで、実際、転居を伴うものや、生活の時間帯が変わるようなものには二の足を踏んでしまうのは、よく理解できる。
彼女がこのスタイルをこの先ずっと続けていくか、それは分からないし本人も分からないのだろう。
でも彼女の話しを聞いていると、その時に興味を持った分野やライフスタイルを、自らに偽ることなく真っすぐに進んでいくのだろうと、不思議と説得力を持って思うのだ。
もはや自分が意の向くままだけに生きていくことも許されず、年齢のせいにはしたくはないが、久しぶりに若さとその信念に羨ましくも清々しい気持ちになった。
Mさん、愉しい時間をありがとう!